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6 : 裁判を終えて...待ち人の元へ参りましょう。
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「お祖父様ッ...。」
お祖父様の暖かな微笑みに、何故か涙が溢れてしまいましたわ。
王家から婚約の命令が来たときに、涙は全て流し尽くしたと思っておりましたのに......まだ残ってましたのね。
久しぶりにお祖父様の胸で流す涙は、暖かくて...しょっぱいですわ。
「ティリーは、良く頑張ったよ。
もう少しだ...この際、王家との柵を全て捨て去ってしまおう。
スーも屋敷の皆も一緒に、皆で帝国に行こうね。」
「はぃ...はい。」
「王都に近い公爵領は王家に返して、国境近くの公爵領を帝国に併合してもらうことにするよ。
そしたら、スリゼルの家族とも一緒にいられるよ。」
「そうですか。」
「王家との話し合いは、皆で行こう。
勿論、ユークリス達も一緒だよ?」
「私、家で待っておりますわよ?」
「それは、セブルスが寂しがるのぉ...。
ティリーの為にと、色々と飛び回っておるのだがなぁ。」
チラッとこちらを見ながら、セブ爺を引き合いに出してくるなんて、お祖父様も私が話し合いに参加した方が良いとお考えなのね?
仕方ありませんわね...面倒くさいですけれど、参加いたしますわ。
「分かりましたわ。
私もセブ爺に会いたいですし、一緒に参りますわ。」
「ティリー、ありがとう。
セブルスもユリーシャも喜ぶよ。」
「王家との話し合いが終わったらそのまま国境近くの領地へ向かうから、領地に帰る準備をしておいてね。
王都を離れたら直ぐにこのタウンハウスは売りに出すから、家具とかで気に入っているものとかがあるなら、それは先に領地に送っておいてね?」
「分かりましたわ。」
あぁ、話し合いを終えたらそのまま領地へ帰るのですね?
それなら、皆で行く方が効率的ですわね。
お兄様ったら、色々と画策していてくださいましたのね。
優しい兄を持てて、幸福者ですわね。
ウフフ、何を持って帰ろうかしら?
あら?マリオさん達のことはどうするのかしら?
お兄様が忘れている筈ありませんわよね?
「さて、お祖父様、この甘味を作った菓子職人は、どこで見つけられたのですか?」
「ん?リリスと住んでいた家で雇っていたシェフだよ。
リリスの姪が、変わった菓子を作るからと寄越してくれてね。
女だからと放置されていた自分に唯一優しかったリリスに、是非に食べさせたかったらしい。」
「その方は厨房にいますの?
是非、会いに参りましょう。」
「お祖父様、その菓子職人は僕らと同じ異界の知識を持っているかもしれませんよ?」
「本当にそうなら、楽しみだよね。
どんな甘味を知っているのかな?」
そちらも大事でしたわ!
領地に帰る荷物は後でも構いませんから、菓子職人に会いに参りましょう。
スリゼル、折角人化したのに、また尻尾が出ておりますわよ?
「ズボンが完成しましたよ?
スー坊っちゃん、まずは試着なさってくださいませ。」
「グレイシオ!獣化しているときに着替えるの初めてだから、手伝ってくれる?」
「うん良いよ、あっちに行こうか。」
「こちらに衝立をご準備いたしましたので、どうぞ。」
お針子さん、随分と早かったのね...お疲れなのではないかしら?
後で、甘味を差し入れしましょう。
今は、ズボンを穿いたスリゼルが気になるわね。
チャチャッと試着してから、菓子職人に会いに向かいましょうか。
お針子さんが感想を待っているでしょうからね。
*
お祖父様の暖かな微笑みに、何故か涙が溢れてしまいましたわ。
王家から婚約の命令が来たときに、涙は全て流し尽くしたと思っておりましたのに......まだ残ってましたのね。
久しぶりにお祖父様の胸で流す涙は、暖かくて...しょっぱいですわ。
「ティリーは、良く頑張ったよ。
もう少しだ...この際、王家との柵を全て捨て去ってしまおう。
スーも屋敷の皆も一緒に、皆で帝国に行こうね。」
「はぃ...はい。」
「王都に近い公爵領は王家に返して、国境近くの公爵領を帝国に併合してもらうことにするよ。
そしたら、スリゼルの家族とも一緒にいられるよ。」
「そうですか。」
「王家との話し合いは、皆で行こう。
勿論、ユークリス達も一緒だよ?」
「私、家で待っておりますわよ?」
「それは、セブルスが寂しがるのぉ...。
ティリーの為にと、色々と飛び回っておるのだがなぁ。」
チラッとこちらを見ながら、セブ爺を引き合いに出してくるなんて、お祖父様も私が話し合いに参加した方が良いとお考えなのね?
仕方ありませんわね...面倒くさいですけれど、参加いたしますわ。
「分かりましたわ。
私もセブ爺に会いたいですし、一緒に参りますわ。」
「ティリー、ありがとう。
セブルスもユリーシャも喜ぶよ。」
「王家との話し合いが終わったらそのまま国境近くの領地へ向かうから、領地に帰る準備をしておいてね。
王都を離れたら直ぐにこのタウンハウスは売りに出すから、家具とかで気に入っているものとかがあるなら、それは先に領地に送っておいてね?」
「分かりましたわ。」
あぁ、話し合いを終えたらそのまま領地へ帰るのですね?
それなら、皆で行く方が効率的ですわね。
お兄様ったら、色々と画策していてくださいましたのね。
優しい兄を持てて、幸福者ですわね。
ウフフ、何を持って帰ろうかしら?
あら?マリオさん達のことはどうするのかしら?
お兄様が忘れている筈ありませんわよね?
「さて、お祖父様、この甘味を作った菓子職人は、どこで見つけられたのですか?」
「ん?リリスと住んでいた家で雇っていたシェフだよ。
リリスの姪が、変わった菓子を作るからと寄越してくれてね。
女だからと放置されていた自分に唯一優しかったリリスに、是非に食べさせたかったらしい。」
「その方は厨房にいますの?
是非、会いに参りましょう。」
「お祖父様、その菓子職人は僕らと同じ異界の知識を持っているかもしれませんよ?」
「本当にそうなら、楽しみだよね。
どんな甘味を知っているのかな?」
そちらも大事でしたわ!
領地に帰る荷物は後でも構いませんから、菓子職人に会いに参りましょう。
スリゼル、折角人化したのに、また尻尾が出ておりますわよ?
「ズボンが完成しましたよ?
スー坊っちゃん、まずは試着なさってくださいませ。」
「グレイシオ!獣化しているときに着替えるの初めてだから、手伝ってくれる?」
「うん良いよ、あっちに行こうか。」
「こちらに衝立をご準備いたしましたので、どうぞ。」
お針子さん、随分と早かったのね...お疲れなのではないかしら?
後で、甘味を差し入れしましょう。
今は、ズボンを穿いたスリゼルが気になるわね。
チャチャッと試着してから、菓子職人に会いに向かいましょうか。
お針子さんが感想を待っているでしょうからね。
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