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本編
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「──────リリスベル・アナジスタ・ナサリオール子爵令嬢への王命である。」
お祖父様より、国王陛下の印の押された書状と共に告げられたのは、一通りの任務を終えて北の辺境より戻ったばかりの昨日のことでした。
孫である私のことを、ご自分の勝手にできる所有物だとでも勘違いなさっておられるお祖父様は、国王陛下に擦り寄る為だけに、女である私を過酷な竜騎士として差し出しました。
竜の言葉を理解出来るという、100人に1人が可能だというただそれだけの理由で...男だらけの竜騎士団へ5歳という幼さで入団させられましたの。
それからはただただ地獄でしたわ。
男だらけの竜騎士団では、男と女という性別によるプライドによっての苛めもありましたわね。
今となっては、憎らしくもおりますけれどもとても懐かしいですわ。
当時、まだ幼い私に任されたのは、竜騎士達の騎竜達を世話することでした。
騎竜達の世話をすること自体は何の苦もありませんでしたわ。
共に世話をする係の方々も、私がまだ幼いこともありとても気にかけてくださいましたし、騎竜達は幼い私にとても優しかったのですもの...まるで自分達の子供かのように接してくださいましたのよ?
ただ、私が世話をした騎竜の主の方が、根も葉も無い難癖をつけてくるのだけが面倒でしたわね。
騎竜は気持ち良く空を飛べているのに、私の世話が悪いから騎竜が気持ち良く飛べていないとよく怒鳴られましたけれど、自分が上手く飛べていなかったのか...と、騎竜の機嫌を損ね、落ち込ませるだけですわ。
それに、自分の騎竜が痩せているだとか、鱗の色艶が悪いだとか、私が関与していない世話まで私のせいだと罵られましても、その作業はしていませんと答えるしかありません。
当時の私がしていたのは、毎日行われる健康診断の際に通訳をすることと、騎竜候補である幼竜の遊び相手でしたから...。
私が竜騎士団へと預けられてから会議を開いて決定して、直ぐに全団員へと通達されている筈ですのに、彼らはコロッと忘れておられたらしいですわ。
ですから、騎士団の方々からも使用人の方々からも、竜騎士って阿呆ばかりだと不名誉な噂もされておりましたわね。
あまりの醜態を見かねた係の方々も、何度となく説明してくださいましたが、お分かりになられないのはかなり残念でしたわ。
そうやって、竜騎士の方々が謂れの無い罪によって私を罰することで、私を可愛がってくださっていた騎竜の一部が、私を苛める主を拒否するという事態にまで発展いたしましたのは、仕方ありませんわよね。
まぁ、それも私のせいにされましたけれど、私は与えられた仕事をキチンと熟しておりましたし、上の方々が私の調査をしたところで処罰などされることもなく......どんどんと事態は加速度的に悪くなっていくばかりで、騎竜達の機嫌は全く治りませんでしたの。
拒否された主達の中には、機嫌を直そうとスキンシップを測ろうとして片腕や指を数本噛み千切られた方もいたそうですわ。
自業自得ですけれど、竜とはやはり恐い生き物なのだと再確認できましたわ。
その時、同盟国である隣国へ竜騎士の育成のために出張されておられました竜騎士団長のグレイブスさんが戻って来られて、理不尽にも私を苛めていた殆どの竜騎士が即日で解雇されましたの。
副団長までもが加担しておりましたから、それはもう大変な騒ぎとなりまして...中には、逆恨みする方もおられましたけれど、いつも騎竜達が側にいて守ってくれましたので大丈夫でしたわ。
*
お祖父様より、国王陛下の印の押された書状と共に告げられたのは、一通りの任務を終えて北の辺境より戻ったばかりの昨日のことでした。
孫である私のことを、ご自分の勝手にできる所有物だとでも勘違いなさっておられるお祖父様は、国王陛下に擦り寄る為だけに、女である私を過酷な竜騎士として差し出しました。
竜の言葉を理解出来るという、100人に1人が可能だというただそれだけの理由で...男だらけの竜騎士団へ5歳という幼さで入団させられましたの。
それからはただただ地獄でしたわ。
男だらけの竜騎士団では、男と女という性別によるプライドによっての苛めもありましたわね。
今となっては、憎らしくもおりますけれどもとても懐かしいですわ。
当時、まだ幼い私に任されたのは、竜騎士達の騎竜達を世話することでした。
騎竜達の世話をすること自体は何の苦もありませんでしたわ。
共に世話をする係の方々も、私がまだ幼いこともありとても気にかけてくださいましたし、騎竜達は幼い私にとても優しかったのですもの...まるで自分達の子供かのように接してくださいましたのよ?
ただ、私が世話をした騎竜の主の方が、根も葉も無い難癖をつけてくるのだけが面倒でしたわね。
騎竜は気持ち良く空を飛べているのに、私の世話が悪いから騎竜が気持ち良く飛べていないとよく怒鳴られましたけれど、自分が上手く飛べていなかったのか...と、騎竜の機嫌を損ね、落ち込ませるだけですわ。
それに、自分の騎竜が痩せているだとか、鱗の色艶が悪いだとか、私が関与していない世話まで私のせいだと罵られましても、その作業はしていませんと答えるしかありません。
当時の私がしていたのは、毎日行われる健康診断の際に通訳をすることと、騎竜候補である幼竜の遊び相手でしたから...。
私が竜騎士団へと預けられてから会議を開いて決定して、直ぐに全団員へと通達されている筈ですのに、彼らはコロッと忘れておられたらしいですわ。
ですから、騎士団の方々からも使用人の方々からも、竜騎士って阿呆ばかりだと不名誉な噂もされておりましたわね。
あまりの醜態を見かねた係の方々も、何度となく説明してくださいましたが、お分かりになられないのはかなり残念でしたわ。
そうやって、竜騎士の方々が謂れの無い罪によって私を罰することで、私を可愛がってくださっていた騎竜の一部が、私を苛める主を拒否するという事態にまで発展いたしましたのは、仕方ありませんわよね。
まぁ、それも私のせいにされましたけれど、私は与えられた仕事をキチンと熟しておりましたし、上の方々が私の調査をしたところで処罰などされることもなく......どんどんと事態は加速度的に悪くなっていくばかりで、騎竜達の機嫌は全く治りませんでしたの。
拒否された主達の中には、機嫌を直そうとスキンシップを測ろうとして片腕や指を数本噛み千切られた方もいたそうですわ。
自業自得ですけれど、竜とはやはり恐い生き物なのだと再確認できましたわ。
その時、同盟国である隣国へ竜騎士の育成のために出張されておられました竜騎士団長のグレイブスさんが戻って来られて、理不尽にも私を苛めていた殆どの竜騎士が即日で解雇されましたの。
副団長までもが加担しておりましたから、それはもう大変な騒ぎとなりまして...中には、逆恨みする方もおられましたけれど、いつも騎竜達が側にいて守ってくれましたので大丈夫でしたわ。
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