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4 : お父様は、頭がおかしいのですね。
28~お兄様side~+
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「ごめん!ちょっと課題を片付けていたら遅くなってしまった。
ジークレン君、大変なときなのに我が家に来てくれてありがとう。」
「グレイ坊ちゃま、少しは落ち着いてください。
さ、ジークレン様が戸惑っておいでですので、まずはジークレン様を離してください。
ジークレン様、申し訳ございません。
グレイ坊ちゃまは、軽い報告を聞いてから少々慌てておられまして...こういう場合は少々暴走なさいますので、どうぞお気をつけくださいませ。」
「シュルツ?」
ミネルヴァ様と和やかに話していると、突然扉が開かれて、いつの間にか抱きしめられていた。
えっと...グレービス生徒会長だよね?
執事さんに適当にあしらわれているけど、グレービス生徒会長だよね?
普段の様子からは想像できてなかったな...家ではこんな感じなんだ。
執事のシュルツさんがグレービス生徒会長の腕から僕を救い出してくれたけど、果たしてその扱いで良いのかな?
なんか、しょんぼりしてるのだけど...。
「グレイ坊ちゃま、鬱陶しいです。
醜態を晒してしまいお恥ずかしいのかもしれませんが、どうぞソファにお座りくださいませ。」
「シュルツが、冷たい...。」
「もう、グレイったら、どんなに慌てていても暴走したら駄目でしょう?
いつも注意しているのに...反省なさい。」
「...姉さんまで!
そんなに責めなくても...酷いよ...。」
「ジークレン様、外では取り繕えるのですが...普段はこんな坊ちゃまで申し訳ございません。
ですが、皆様のことを心配していただけですので、どうかお目こぼしをいただけますと...。」
うん、公爵家の方々にいつもこんな扱いされてるんだね。
なら...良いのかな?
「えっと...僕達のことを大変心配してくださって、とても嬉しいです。
僕達の父は、あのように抱き締めたりはしてくださいませんでしたので、少し戸惑っておりますが、その、暖かかったです。」
「...くっ!ジークレン君が可愛い。」
「ちょっと?」
「分かってるよ、姉さん。
でも、頬をちょっぴり赤くしてるジークレン君が可愛いのは、事実なんだから仕方無いでしょう?」
「ウフフ、それには同意するわ!」
ミネルヴァ様もグレービス生徒会長も、恥ずかしいので、こちらを微笑ましそうに眺めるのはやめてください。
「さて、これからが面倒ですわね。
証拠探しなど、私達も尽力いたしますので遠慮無く甘えてね。」
「はい、ありがとうございます。
アリアのこと、よろしくお願いいたします。」
「ウフフ、お願いされましたわ。
そうそう、貴方はアレストリッド大公の養子になるのでしょう?
それなら、私達の従兄弟になるのよね?」
「リュシーちゃんも、ドルヴォルザール公爵家の養女だったよね?
皆が親戚でいられるのか...そこは安心出来るね。」
「はい、そうなります。」
そっか、お2人とは従兄弟になるんだったね...アリアやリュシーとも離れ離れにはなってしまうけど、皆ににずっと会えなくなる訳ではないんだ。
「ロビン君の治療、長引いてるわね...心配になってきたわ。」
「ん?治療?」
「えぇ、ジークレン君の侍従の子が頬を怪我していたの。
号泣しながら、錆びた鉄柵に頬擦りしてたんですって...いじらしいわよね。」
「消毒は滲みるだろうし、泣いてないかな?」
ロビンなら泣いてるかも...目の腫れが酷くなってなければ良いけど。
戻ったら、アリアやリュシーに心配されるんだろうなぁ。
そして、2人にいつも以上に優しくされて、なんだかいたたまれない顔をして、どうしよう?ってこっちを見てくるんだろうなぁ。
うん、ま、そんなロビンも可愛いからいいか。
*
ジークレン君、大変なときなのに我が家に来てくれてありがとう。」
「グレイ坊ちゃま、少しは落ち着いてください。
さ、ジークレン様が戸惑っておいでですので、まずはジークレン様を離してください。
ジークレン様、申し訳ございません。
グレイ坊ちゃまは、軽い報告を聞いてから少々慌てておられまして...こういう場合は少々暴走なさいますので、どうぞお気をつけくださいませ。」
「シュルツ?」
ミネルヴァ様と和やかに話していると、突然扉が開かれて、いつの間にか抱きしめられていた。
えっと...グレービス生徒会長だよね?
執事さんに適当にあしらわれているけど、グレービス生徒会長だよね?
普段の様子からは想像できてなかったな...家ではこんな感じなんだ。
執事のシュルツさんがグレービス生徒会長の腕から僕を救い出してくれたけど、果たしてその扱いで良いのかな?
なんか、しょんぼりしてるのだけど...。
「グレイ坊ちゃま、鬱陶しいです。
醜態を晒してしまいお恥ずかしいのかもしれませんが、どうぞソファにお座りくださいませ。」
「シュルツが、冷たい...。」
「もう、グレイったら、どんなに慌てていても暴走したら駄目でしょう?
いつも注意しているのに...反省なさい。」
「...姉さんまで!
そんなに責めなくても...酷いよ...。」
「ジークレン様、外では取り繕えるのですが...普段はこんな坊ちゃまで申し訳ございません。
ですが、皆様のことを心配していただけですので、どうかお目こぼしをいただけますと...。」
うん、公爵家の方々にいつもこんな扱いされてるんだね。
なら...良いのかな?
「えっと...僕達のことを大変心配してくださって、とても嬉しいです。
僕達の父は、あのように抱き締めたりはしてくださいませんでしたので、少し戸惑っておりますが、その、暖かかったです。」
「...くっ!ジークレン君が可愛い。」
「ちょっと?」
「分かってるよ、姉さん。
でも、頬をちょっぴり赤くしてるジークレン君が可愛いのは、事実なんだから仕方無いでしょう?」
「ウフフ、それには同意するわ!」
ミネルヴァ様もグレービス生徒会長も、恥ずかしいので、こちらを微笑ましそうに眺めるのはやめてください。
「さて、これからが面倒ですわね。
証拠探しなど、私達も尽力いたしますので遠慮無く甘えてね。」
「はい、ありがとうございます。
アリアのこと、よろしくお願いいたします。」
「ウフフ、お願いされましたわ。
そうそう、貴方はアレストリッド大公の養子になるのでしょう?
それなら、私達の従兄弟になるのよね?」
「リュシーちゃんも、ドルヴォルザール公爵家の養女だったよね?
皆が親戚でいられるのか...そこは安心出来るね。」
「はい、そうなります。」
そっか、お2人とは従兄弟になるんだったね...アリアやリュシーとも離れ離れにはなってしまうけど、皆ににずっと会えなくなる訳ではないんだ。
「ロビン君の治療、長引いてるわね...心配になってきたわ。」
「ん?治療?」
「えぇ、ジークレン君の侍従の子が頬を怪我していたの。
号泣しながら、錆びた鉄柵に頬擦りしてたんですって...いじらしいわよね。」
「消毒は滲みるだろうし、泣いてないかな?」
ロビンなら泣いてるかも...目の腫れが酷くなってなければ良いけど。
戻ったら、アリアやリュシーに心配されるんだろうなぁ。
そして、2人にいつも以上に優しくされて、なんだかいたたまれない顔をして、どうしよう?ってこっちを見てくるんだろうなぁ。
うん、ま、そんなロビンも可愛いからいいか。
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