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3:冒険者ギルド
ギルド再び。3
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ワタシを見もせずに、ワタシへの自己紹介もなく説明し始めたギルドマスターとやらをじとーっと半眼で見つめてみたら、ワタシの視線に気付いたのかチラッとこっちを見てきたので、今度はガッツリと目を開いてガン見してみた。
「え......とぉ...?」
何故か可愛らしく目をぱちくりぱちくりとさせて、なんでかは分からないけどちょびっとのけ反りつつ狼狽えてるけど、んなもん知るか!
ギルドマスターとやらのもワタシのも、特に自己紹介もなく急に説明を始めんな!
せめて、ギルドマスターのお名前をプリーズ!
「クリスちゃん、その人はただの子供見知りだから、あんまり目を見開いてガン見しないであげてくれる?
これがここのギルドマスターで、ジルヴァ。
性別は男、歳は今年46、因みにバツイチで3人の子有りだよ。
典型的な男で、家事育児を丸っと奥さんに任せっきりにしてたから、3人目を妊娠中に出ていかれたらしいよ。」
「ちょっと?!
最後のはいらないよね?!」
「いやいや、自分で名乗らないのが悪いんだろう?」
「うぅ...子供は苦手なんだよ。」
「クリスともうします。」
「あ、うん。
ギルドマスターのジルヴァです。」
よし、ちゃんと名乗りあえたからワタシとしてはスッキリー!
ワタシ的にはいらない情報も込みだったけど、ティルダさんがにこやかにギルドマスターのプライベートなことまで教えてくれた。
うーん、いつか必要な時がくるのかもしれないから一応覚えておこう。
ギルドマスターのジルヴァさんって、見た目は人畜無害そうな草臥れたおじさんだけど、典型的な亭主関白な人なんだね...ちょいと有害だわぁ。
「そっか、ギルドマスターの持つ子供への苦手意識について、クリスにはまだ教えてなかったね...ごめんね。」
「ん?だいじょうぶ。
はなし、つづけてよいよ?」
「フフフ、分かった。
でも、一応後でギルド員が知ってることくらいは教えておくね。」
「はーい!」
リーダーさん、ギルドマスターって、もしかして子供にトラウマとかあるの?
ワタシと少し言葉を交わしただけなのに、さっきよりも草臥れてんだけど?
ギルドマスターやってて大丈夫なの?この人。
「じゃあ、次は2人組について説明するよ。
男女2人組のパーティーで、彼らは、一昨年にタンダという街で冒険者ギルドに2人組のパーティーとして登録したようだ。
タンダの近くの村の出身らしい。」
「タンダ?ここからはかなり遠いな...そいつらは、クリスの依頼を受けて、タンダからここに来たのか?」
「いや、ここから南に進むとオリバという村とグルジフという町があるだろ?」
「あぁ、あるな。」
「その、2つの先にあるシュフレーという街で依頼を受けてここまで来たらしい。」
「あー、シュフレーか...。」
「シュフレーにはドワーフの鍛冶職人がいるから、新人冒険者は必ず行きたいと思う街だな。」
「片方は、シュフレーで買っただろうドワーフ謹製の剣を所持していたそうだ。」
へぇー、町とか村とかの名前を言われても、何も分からん。
シュフレーって街には、ドワーフが住んでるのかぁー。
ドワーフを見てみたいから、いつか行ってみたいなぁ。
気難しかったりするのかな?
...ん?
「ワタシ、シュフレーにすんでたのか?」
「あ...え?
えっと、依頼書によると、君はシュフレーの住民では無い筈だよ。」
「ギルドマスター、ギルドにはきちんと報告した筈なのですが、どうやらクリスは記憶が無いらしいんです。」
「あー、そうなのか?
えっと、君は、ゲーテリという町に母親と2人で住んでいたそうだよ。
あ、ゲーテリは、シュフレーの西にある町だ。」
「うーん、まったくわからにゃい。」
「クリス、無理しなくて良いんだよ。」
「そうそう、ゆっくりで大丈夫だ。」
「うん、君はまだ幼いし、無理をしては駄目だ。」
「はい、ありがとう。」
リーダーさんやガルドさんは、思い出せずともよいと頭を撫でてくれる。
そして、ザイルさんは無言で頬をワタシの頭にスリスリしてくる。
一瞬、ザイルさんがいたの忘れてた...お膝に座らせてもらってるのに、ごめんね。
何故かワタシと話す度に緊張しているギルドマスターも、無理はするなと言ってくれる。
ちょいと有害な亭主関白な人だけど、悪い人ではないみたい。
*
「え......とぉ...?」
何故か可愛らしく目をぱちくりぱちくりとさせて、なんでかは分からないけどちょびっとのけ反りつつ狼狽えてるけど、んなもん知るか!
ギルドマスターとやらのもワタシのも、特に自己紹介もなく急に説明を始めんな!
せめて、ギルドマスターのお名前をプリーズ!
「クリスちゃん、その人はただの子供見知りだから、あんまり目を見開いてガン見しないであげてくれる?
これがここのギルドマスターで、ジルヴァ。
性別は男、歳は今年46、因みにバツイチで3人の子有りだよ。
典型的な男で、家事育児を丸っと奥さんに任せっきりにしてたから、3人目を妊娠中に出ていかれたらしいよ。」
「ちょっと?!
最後のはいらないよね?!」
「いやいや、自分で名乗らないのが悪いんだろう?」
「うぅ...子供は苦手なんだよ。」
「クリスともうします。」
「あ、うん。
ギルドマスターのジルヴァです。」
よし、ちゃんと名乗りあえたからワタシとしてはスッキリー!
ワタシ的にはいらない情報も込みだったけど、ティルダさんがにこやかにギルドマスターのプライベートなことまで教えてくれた。
うーん、いつか必要な時がくるのかもしれないから一応覚えておこう。
ギルドマスターのジルヴァさんって、見た目は人畜無害そうな草臥れたおじさんだけど、典型的な亭主関白な人なんだね...ちょいと有害だわぁ。
「そっか、ギルドマスターの持つ子供への苦手意識について、クリスにはまだ教えてなかったね...ごめんね。」
「ん?だいじょうぶ。
はなし、つづけてよいよ?」
「フフフ、分かった。
でも、一応後でギルド員が知ってることくらいは教えておくね。」
「はーい!」
リーダーさん、ギルドマスターって、もしかして子供にトラウマとかあるの?
ワタシと少し言葉を交わしただけなのに、さっきよりも草臥れてんだけど?
ギルドマスターやってて大丈夫なの?この人。
「じゃあ、次は2人組について説明するよ。
男女2人組のパーティーで、彼らは、一昨年にタンダという街で冒険者ギルドに2人組のパーティーとして登録したようだ。
タンダの近くの村の出身らしい。」
「タンダ?ここからはかなり遠いな...そいつらは、クリスの依頼を受けて、タンダからここに来たのか?」
「いや、ここから南に進むとオリバという村とグルジフという町があるだろ?」
「あぁ、あるな。」
「その、2つの先にあるシュフレーという街で依頼を受けてここまで来たらしい。」
「あー、シュフレーか...。」
「シュフレーにはドワーフの鍛冶職人がいるから、新人冒険者は必ず行きたいと思う街だな。」
「片方は、シュフレーで買っただろうドワーフ謹製の剣を所持していたそうだ。」
へぇー、町とか村とかの名前を言われても、何も分からん。
シュフレーって街には、ドワーフが住んでるのかぁー。
ドワーフを見てみたいから、いつか行ってみたいなぁ。
気難しかったりするのかな?
...ん?
「ワタシ、シュフレーにすんでたのか?」
「あ...え?
えっと、依頼書によると、君はシュフレーの住民では無い筈だよ。」
「ギルドマスター、ギルドにはきちんと報告した筈なのですが、どうやらクリスは記憶が無いらしいんです。」
「あー、そうなのか?
えっと、君は、ゲーテリという町に母親と2人で住んでいたそうだよ。
あ、ゲーテリは、シュフレーの西にある町だ。」
「うーん、まったくわからにゃい。」
「クリス、無理しなくて良いんだよ。」
「そうそう、ゆっくりで大丈夫だ。」
「うん、君はまだ幼いし、無理をしては駄目だ。」
「はい、ありがとう。」
リーダーさんやガルドさんは、思い出せずともよいと頭を撫でてくれる。
そして、ザイルさんは無言で頬をワタシの頭にスリスリしてくる。
一瞬、ザイルさんがいたの忘れてた...お膝に座らせてもらってるのに、ごめんね。
何故かワタシと話す度に緊張しているギルドマスターも、無理はするなと言ってくれる。
ちょいと有害な亭主関白な人だけど、悪い人ではないみたい。
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