ココハドコ?ワタシハ幼女!!

神谷 絵馬

文字の大きさ
28 / 32
3:冒険者ギルド

ギルド再び。3

しおりを挟む
ワタシを見もせずに、ワタシへの自己紹介もなく説明し始めたギルドマスターとやらをじとーっと半眼で見つめてみたら、ワタシの視線に気付いたのかチラッとこっちを見てきたので、今度はガッツリと目を開いてガン見してみた。

「え......とぉ...?」

何故か可愛らしく目をぱちくりぱちくりとさせて、なんでかは分からないけどちょびっとのけ反りつつ狼狽えてるけど、んなもん知るか!
ギルドマスターとやらのもワタシのも、特に自己紹介もなく急に説明を始めんな!
せめて、ギルドマスターのお名前をプリーズ!

「クリスちゃん、その人はただの子供見知りだから、あんまり目を見開いてガン見しないであげてくれる?
これがここのギルドマスターで、ジルヴァ。
性別は男、歳は今年46、因みにバツイチで3人の子有りだよ。
典型的な男で、家事育児を丸っと奥さんに任せっきりにしてたから、3人目を妊娠中に出ていかれたらしいよ。」

「ちょっと?!
最後のはいらないよね?!」

「いやいや、自分で名乗らないのが悪いんだろう?」

「うぅ...子供は苦手なんだよ。」

「クリスともうします。」

「あ、うん。
ギルドマスターのジルヴァです。」

よし、ちゃんと名乗りあえたからワタシとしてはスッキリー!
ワタシ的にはいらない情報も込みだったけど、ティルダさんがにこやかにギルドマスターのプライベートなことまで教えてくれた。
うーん、いつか必要な時がくるのかもしれないから一応覚えておこう。
ギルドマスターのジルヴァさんって、見た目は人畜無害そうな草臥れたおじさんだけど、典型的な亭主関白な人なんだね...ちょいと有害だわぁ。

「そっか、ギルドマスターの持つ子供への苦手意識について、クリスにはまだ教えてなかったね...ごめんね。」

「ん?だいじょうぶ。
はなし、つづけてよいよ?」

「フフフ、分かった。
でも、一応後でギルド員が知ってることくらいは教えておくね。」

「はーい!」

リーダーさん、ギルドマスターって、もしかして子供にトラウマとかあるの?
ワタシと少し言葉を交わしただけなのに、さっきよりも草臥れてんだけど?
ギルドマスターやってて大丈夫なの?この人。

「じゃあ、次は2人組について説明するよ。
男女2人組のパーティーで、彼らは、一昨年にタンダという街で冒険者ギルドに2人組のパーティーとして登録したようだ。
タンダの近くの村の出身らしい。」

「タンダ?ここからはかなり遠いな...そいつらは、クリスの依頼を受けて、タンダからここに来たのか?」

「いや、ここから南に進むとオリバという村とグルジフという町があるだろ?」

「あぁ、あるな。」

「その、2つの先にあるシュフレーという街で依頼を受けてここまで来たらしい。」

「あー、シュフレーか...。」

「シュフレーにはドワーフの鍛冶職人がいるから、新人冒険者は必ず行きたいと思う街だな。」

「片方は、シュフレーで買っただろうドワーフ謹製の剣を所持していたそうだ。」

へぇー、町とか村とかの名前を言われても、何も分からん。
シュフレーって街には、ドワーフが住んでるのかぁー。
ドワーフを見てみたいから、いつか行ってみたいなぁ。
気難しかったりするのかな?
...ん?

「ワタシ、シュフレーにすんでたのか?」

「あ...え?
えっと、依頼書によると、君はシュフレーの住民では無い筈だよ。」

「ギルドマスター、ギルドにはきちんと報告した筈なのですが、どうやらクリスは記憶が無いらしいんです。」

「あー、そうなのか?
えっと、君は、ゲーテリという町に母親と2人で住んでいたそうだよ。
あ、ゲーテリは、シュフレーの西にある町だ。」

「うーん、まったくわからにゃい。」

「クリス、無理しなくて良いんだよ。」

「そうそう、ゆっくりで大丈夫だ。」

「うん、君はまだ幼いし、無理をしては駄目だ。」

「はい、ありがとう。」

リーダーさんやガルドさんは、思い出せずともよいと頭を撫でてくれる。
そして、ザイルさんは無言で頬をワタシの頭にスリスリしてくる。
一瞬、ザイルさんがいたの忘れてた...お膝に座らせてもらってるのに、ごめんね。
何故かワタシと話す度に緊張しているギルドマスターも、無理はするなと言ってくれる。
ちょいと有害な亭主関白な人だけど、悪い人ではないみたい。





*
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

俺の伯爵家大掃除

satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。 弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると… というお話です。

最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。

処理中です...