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3:冒険者ギルド
ギルド再び。5
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「クリスの母親が依頼したのは、自分の曾祖母の生家へ行く娘の護衛。
依頼書によると、母親は同行せず娘のみの護衛となっている。
3歳という幼い娘を頼むことと2つの町と村を経由することから、十分以上に報酬が設定されている。」
「自分の曾祖母の生家に、クリスを預けるつもりだったってことなのか?」
「それは依頼書からは分からない。
彼らは、ギルドに張り出されていたクリスという女の子の護衛依頼を受けただけで、その子を護衛する理由とかは知らないらしい。」
「普通、聞くと思うが?」
「依頼さえ無事に終えれば大丈夫だと思って、深くは聞かなかったそうだ。」
「もしも、クリスちゃんを誘拐してきていて、隠すためにどこぞかに運べっていう犯罪絡みの依頼だったとしたら、どうするのかねぇ?」
「あー、彼らにそれを指摘したら、
『はぁ?!
ギルドに張り出されてた依頼だぞ?
そんな犯罪めいた依頼なんてあるわけないだろ?!!』
と怒鳴られたらしい。」
「え?依頼主と直接会って、受けようとしている依頼が犯罪に抵触しないかを確認するのは、依頼を受ける側の義務でしょう?」
「そうねぇ、ギルドでも一応裏は取るけど、全て完璧にというわけにはいかないから...最終的な判断は冒険者側に委ねているのよねぇ。」
へぇー、依頼を受けるときに、この依頼を受けても大丈夫なのかを自分で確認するのが義務ってことは、冒険者って結構責任が重い仕事なんだね。
まぁ、ギルドも、依頼される度に完璧に裏取りをすることは難しいよね。
依頼する方にも、いついつまでには依頼を受けてほしいっていう希望とかがあるだろうから、裏取りに時間をかけ過ぎるのもギルド運営に支障を来たすだろうし、おかしくはないかな。
「クリス、これが君の母親が曾祖母の生家に向かう君に持たせた手紙だ。
この封蝋は特殊なもので、それなりの値段を払い遺書や密談によく使用されるもの。
この蝋に個人の魔力を登録すれば、登録された人しか開けられない手紙となる。
これには、君の魔力を登録されていると思われる。」
「へー、あけてみる。」
「あぁ、もしもクリスが開けられないのなら、クルスク家の...あ、ここにはザイルがいたな。
クリスが開けられなかったら、ザイルに試してもらおうと思う。」
「...ん、分かった。」
ほぇー、これって、そんなに特殊な封蝋なんだー。
ちょっと歪んでるけど、真ん中にあるのは無限大のマークっぽいんだよね。
よし、いざ!
「あ、あいたよ?」
「なら良かった。
クリスは、中身を読めるか?」
「よめんです?
はい、ガルドさん。」
「アハハ、リーダー、頼む。」
「はいはい、貸して?」
開けられたので、半分に折られている中身の紙を出して開いてみると、やっぱりミミズがのたくっている。
うーん、この文字覚えられるのかな?不安でしかない。
ワタシには読めないので、ガルドさんに渡してみると、ガルドさんはチラッと中を見てからリーダーさんに渡した。
あれ?ガルドさんも読めなかったのかな?
「あー、これは...クリスに宛てたというよりは、クルスク家に宛てたものみたい。
クリスの母親の名前はクレア。
クレアの曾祖母は、クルスク家からダリージェ子爵家へと普通に嫁いだ方。
3人産んだ中の末っ子がクレアの祖父で、その方は騎士として身を立てていたそうだよ。
クリスの曽祖父の方は騎士爵をお持ちで、ダルス・バルマンというお名前だそうだ。
うん、今話したお2人はもう亡くなられているみたいだね。」
「そっか、それで?」
ほうほう、ワタシの母はクレアって言うのね。
今のところ、何かやらかしてワタシの先祖がクルスク家から追放されたっぽくはないね。
「クリスの曽祖父、ダルス・バルマンの長男がクレアの父親らしくて、名前はディーノというみたい。
あ、父親が騎士爵だから、息子には苗字が受け継がれないんだよ。」
「うん。」
うん、騎士爵って1代限りのやつでしょ?
ワタシの曽祖父が騎士爵を持っていても、1代限りの騎士爵は子供に引き継がれないから、息子に苗字が無いのは分かる。
「ディーノの妻は裕福な商家の娘で、ディーノは商家の跡取りとして妻の実家に入り仲睦まじく暮らしていたが、結婚から数年経ち若い愛人を囲い子を産ませた。
その子供がクレアらしい。」
「愛人の子か...複雑になってきたな。」
うーん、愛人ってことは不義の子。
ハァー、お祖父さんや、なんてことをしてくれてんのよ!
愛人の子供として産まれてきた母の立場とかも、ちょっとは考えてよね?
依頼書によると、母親は同行せず娘のみの護衛となっている。
3歳という幼い娘を頼むことと2つの町と村を経由することから、十分以上に報酬が設定されている。」
「自分の曾祖母の生家に、クリスを預けるつもりだったってことなのか?」
「それは依頼書からは分からない。
彼らは、ギルドに張り出されていたクリスという女の子の護衛依頼を受けただけで、その子を護衛する理由とかは知らないらしい。」
「普通、聞くと思うが?」
「依頼さえ無事に終えれば大丈夫だと思って、深くは聞かなかったそうだ。」
「もしも、クリスちゃんを誘拐してきていて、隠すためにどこぞかに運べっていう犯罪絡みの依頼だったとしたら、どうするのかねぇ?」
「あー、彼らにそれを指摘したら、
『はぁ?!
ギルドに張り出されてた依頼だぞ?
そんな犯罪めいた依頼なんてあるわけないだろ?!!』
と怒鳴られたらしい。」
「え?依頼主と直接会って、受けようとしている依頼が犯罪に抵触しないかを確認するのは、依頼を受ける側の義務でしょう?」
「そうねぇ、ギルドでも一応裏は取るけど、全て完璧にというわけにはいかないから...最終的な判断は冒険者側に委ねているのよねぇ。」
へぇー、依頼を受けるときに、この依頼を受けても大丈夫なのかを自分で確認するのが義務ってことは、冒険者って結構責任が重い仕事なんだね。
まぁ、ギルドも、依頼される度に完璧に裏取りをすることは難しいよね。
依頼する方にも、いついつまでには依頼を受けてほしいっていう希望とかがあるだろうから、裏取りに時間をかけ過ぎるのもギルド運営に支障を来たすだろうし、おかしくはないかな。
「クリス、これが君の母親が曾祖母の生家に向かう君に持たせた手紙だ。
この封蝋は特殊なもので、それなりの値段を払い遺書や密談によく使用されるもの。
この蝋に個人の魔力を登録すれば、登録された人しか開けられない手紙となる。
これには、君の魔力を登録されていると思われる。」
「へー、あけてみる。」
「あぁ、もしもクリスが開けられないのなら、クルスク家の...あ、ここにはザイルがいたな。
クリスが開けられなかったら、ザイルに試してもらおうと思う。」
「...ん、分かった。」
ほぇー、これって、そんなに特殊な封蝋なんだー。
ちょっと歪んでるけど、真ん中にあるのは無限大のマークっぽいんだよね。
よし、いざ!
「あ、あいたよ?」
「なら良かった。
クリスは、中身を読めるか?」
「よめんです?
はい、ガルドさん。」
「アハハ、リーダー、頼む。」
「はいはい、貸して?」
開けられたので、半分に折られている中身の紙を出して開いてみると、やっぱりミミズがのたくっている。
うーん、この文字覚えられるのかな?不安でしかない。
ワタシには読めないので、ガルドさんに渡してみると、ガルドさんはチラッと中を見てからリーダーさんに渡した。
あれ?ガルドさんも読めなかったのかな?
「あー、これは...クリスに宛てたというよりは、クルスク家に宛てたものみたい。
クリスの母親の名前はクレア。
クレアの曾祖母は、クルスク家からダリージェ子爵家へと普通に嫁いだ方。
3人産んだ中の末っ子がクレアの祖父で、その方は騎士として身を立てていたそうだよ。
クリスの曽祖父の方は騎士爵をお持ちで、ダルス・バルマンというお名前だそうだ。
うん、今話したお2人はもう亡くなられているみたいだね。」
「そっか、それで?」
ほうほう、ワタシの母はクレアって言うのね。
今のところ、何かやらかしてワタシの先祖がクルスク家から追放されたっぽくはないね。
「クリスの曽祖父、ダルス・バルマンの長男がクレアの父親らしくて、名前はディーノというみたい。
あ、父親が騎士爵だから、息子には苗字が受け継がれないんだよ。」
「うん。」
うん、騎士爵って1代限りのやつでしょ?
ワタシの曽祖父が騎士爵を持っていても、1代限りの騎士爵は子供に引き継がれないから、息子に苗字が無いのは分かる。
「ディーノの妻は裕福な商家の娘で、ディーノは商家の跡取りとして妻の実家に入り仲睦まじく暮らしていたが、結婚から数年経ち若い愛人を囲い子を産ませた。
その子供がクレアらしい。」
「愛人の子か...複雑になってきたな。」
うーん、愛人ってことは不義の子。
ハァー、お祖父さんや、なんてことをしてくれてんのよ!
愛人の子供として産まれてきた母の立場とかも、ちょっとは考えてよね?
応援ありがとうございます!
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