思い付き短編集

神谷 絵馬

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最近更新。

拾ったら、最後まで責任を持ちましょう。4

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えっと、どこまで話しましたっけ?
あ、そうそう、ホワークに名前を付けたところまででしたね。

それで、ホワークに名前を付けて...ホワークが飛べることに驚いて、甘えるホワークを抱っこして撫でていたら、険しい顔をしたアルフさんがホワークを見つめてて、少し怖かったのです。
どうしたのかな?ってアルフさんを見つめていたら、苦笑したカーマリさんがアルフさんの肩をどつきました。
ドスンと鈍い音がしていたので、結構痛いと思います。
アルフさんも、どつかれた方の肩を押さえて悶えてましたもん。

痛みから戻ってきたアルフさん曰く、ホワークは国王陛下の愛竜の子供の可能性が高いのだそうです。
国王陛下の愛竜であるシュトレリーは、光の加減で銀にも見える灰色の鱗を持ったオスで、王竜とも呼ばれる貴重な竜種らしいです。
そのシュトレリーの番は、淡い水色の竜でウィンティーヌと言うらしいのですが...そのウィンティーヌが産み、夫婦共に大切に育んでいた卵を盗まれたのだそうです。
シュトレリーの番になれなかった色ボケ竜の仕業であるということが直ぐに分かり、竜は直ぐに尋問にかけられて適切に処罰されたそうなのですが、子供の行方が分からぬままだったのだそうです。
銀竜の子供は白竜の可能性が高いと言われているので、確認のためにもホワークをシュトレリーとウィンティーヌに会わせたいらしいのです。

ホワークが家族に会えるのならば私は構いませんが、カーマリさんが怒りました。
私がまだ栄養失調の状態にあるのに、ここからだと結構距離のある王都になんて行かせられないそうです。
ホワークだけを連れていくことは、私が名前を付けたので無理らしいです。
竜に名前を付けるだけで主従の契約が結ばれて、一定期間(5年程)離れられなくなるだなんて知らなかったので、私は悪くありません。
カーマリさんのあまり怖くない睨みに負けて、アルフさんが国王陛下にホワークのことを報告に行くことになりました。
アルフさんって、カーマリさんに弱味とか握られてるのかな?

王都までは1ヶ月くらいだと聞いていたけど、旅立ったアルフさんが戻るまで半年もかかりました。
お腹以外はガリッガリで医師団の皆様から心配されまくっていた私は、5歳の誕生月を迎えて、重度の栄養失調も改善されてとても元気になっていました。
ホワークは、出会った頃の2倍程に大きくなり、悪戯をしては皆様に怒られる日々を過ごしていたけど、カーマリさんにだけは逆らわなくなりました。
ホワークったら、何かやらかしたのかな?未だに謎なんです。

到着して直ぐのアルフさんは、国王陛下の乗っているらしい豪華な馬車を無視して、お出迎えをしていた私を抱き上げてクルクルと回って、私が元気になったことと私との再会を喜んでくれました。
国王陛下の乗っているらしい豪華な馬車を護衛している騎士様方が憤慨していましたが、いつの間にか私の横にいた筈のカーマリさんが背後に忍び寄っていて、なにやら紙を見せながらお話ししていました。
こちらをチラチラと見ながら悲しそうに顔を歪めて話していたのでかなり気になったけど、それよりも気になるものが目に入ってきてて...そう、ホワークのお父さんかもしれない銀竜、シュトレリーです。





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