赤字国家に召喚されたので、まずは売却から始めます──でも断られたので価値を爆上げして帝国に頭を下げさせることにしました【TOP3入り感謝】

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第三章:資本の光は辺境から

第一節:貴族会議と新秩序

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 反乱は、終わった。

 加賀谷零は、玉座の間ではなく、執務机の前にいた。山積みの書類、判の押印、疲れ切った顔の役人たち──戦の興奮が消えた今、待っていたのは現実の処理だった。

 「降伏した貴族の名簿です。重臣家門のほとんどが……」

 「処罰は軽くていい。金を払わせろ。それが一番堪える」

 加賀谷は淡々と書類に目を通しながら、筆を走らせる。血を流すより、財布を空にするほうが支配には効く──それが、彼のやり方だった。

 今回の反乱で判明したのは、公国の内部がまだ“旧時代”に縛られているという事実だった。金も権力も、古い家柄が牛耳っている。だが、制度が動き始めた今、それも変えていかねばならない。

 「貴族会議を開く。各家の代表に通知を。欠席は降伏の意思なしとみなす」

 「はっ」

 命令を受けた文官が走り出す。

 加賀谷はその背を見送りながら、胸中で呟いた。

 (“古い秩序”は崩れた。なら、新しい秩序を打ち立てる番だ)

 そして──三日後。

 王城の大広間に、名だたる貴族たちが集まっていた。

 金の刺繍が煌めく衣装、威圧的な眼差し、陰で舌打ちする声。誰もが、“新参者の大公”を値踏みする目で加賀谷を見ていた。

 だが、彼は怯まない。

 「まず一言。反乱に与した者たちは、もう“領主”ではありません」

 会場がどよめく。

 「代わりに、租税管理人として契約を更新する。公国の制度に従い、一定の成果を納めた者のみ、任を継続する」

 これはつまり、地位の“終身性”を否定する宣言だった。

 名ばかりの貴族ではなく、“仕事をする者”が評価される仕組み──加賀谷はそれを始めようとしていた。

 「そして……これからの時代、公国は“金で回る”国になる」

 次の瞬間、全員の目が鋭くなった。

 「通貨、信用、そして交易。すべてを整備し、帝国にも勝る“経済圏”を作る。協力する者には、利益を。逆らう者には、税と規制を」

 静かに、だが確かに、その場に“空気の変化”が生まれた。

 (利で刺す。これが俺の戦い方だ)

 会議のあと、多くの貴族が個別に面会を求めてきた。脅す必要はなかった。金の流れを握れば、彼らのほうから“すり寄って”くる。

 その夜、加賀谷は日報の一枚を読み上げて呟いた。

 「明日からは通貨改革だな。……ミロ、準備は?」

 「もちろんです、れいしゃちょー! 封印書の試作品も、なんとか間に合いました……!」

 頷く加賀谷の表情には、もう迷いはなかった。

 この国は、変わる。

 金を武器に、未来を奪い返す。




◆あとがき◆
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