普通の女子高生が異世界に行っても魔法は使えませんがたくましく生きます。

アオ

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1章

13

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 あっという間にお披露目の前日の夜になった。


 前日ともあればもう王宮内はそわそわし、浮き立っている。
 どうも大変なのは私だけでみんなはお祭りモード。
 まあ、そりゃそうか、予言の少女が現れてみんな見たくてしょうがないんだもんね。
 いいよなぁ。
 私なんか儀式のセリフを覚えるのに精一杯だというのに。
 ああ、神様、どうか肝心な時に噛みませんように。
 暗記とか、苦手な上に普段使わない言葉とかあってさ、
 せっかくこの世界に来てテストとかないぜとちょっと喜んでたのになぁ。
 ニコなんか、私が着るドレスに合わせる装飾選びでとても楽しそう。
 言っとくけど何回もそんなの着ないからね。
 あんなに腰を締められちゃたまんないわよ。
 稽古着よりも辛いったらありゃしない。
 ブツブツ文句を言ってる私のことは無視した状態で
 ネックレスがどうとか、ドレスに合うのはこっちの方だと他のメイドさんと盛り上がってて
 楽しそうだよ。

 そんなそわそわムードから抜け出したく明日挨拶するときに出るテラスに出た。
 ここは外の広場が見える所で、この日は一般開放されるらしい。

 テラスにたったら気持ちいい風が頬を撫でた。
 ちょうど秋になる気候でだけど、
 まだ昼間は温かくて日向ぼっこにむいてる。
 日本にいた時は運動会とか、文化祭の時期だな。
 日本かぁ。今頃みんなどうしてるのかな?
 奈美は心配してるだろうな。部員のみんなも。
 で、テレビで「インターハイ優勝美少女、突然いなくなる!!彼女に何があったのか!」
 とかテレビで騒いでたりして・・・。
 なんて、ありえないか。所詮、家出あつかいだろうな。
 日本にいつか帰れるのかな。
 実はずっと心の中で疑問に思ってたけど誰にも聞けなかった。
 帰れないって言われるのが怖くって。
 ずっとここで生活するんだよって言われるのが怖くって。
 まあ、どっちに住んでも家族がいないから同じなようだけど、
 せめて写真とか位牌とかあればなぁ。
 寂しくないんだろうけどさ。
 こっちの人たちはとても親切だけどそれは予言の少女だからであって
 ひなた自身が大事なわけじゃないと思っていた。
 微妙な壁を感じていたのだ。
 「そう、転校生な気分というのかな?」
 「テンコウセイとはなんだ?」
 後ろにはロンが立っていた。
 びっくりしたなぁ。もう。
 「どうした。表情が暗いぞ。なにかあったのか?」
 こんな時よく気がつくんだよね、この人は。
 ちょっと疲れたなーとかしんどいなーとか思うと必ず現れる。
 それはそれは絶妙なタイミングで。
 「なんでもない。ちょっと緊張してるだけ」
 無理やり笑顔を作って首を振ると睨まれた。
 「ヒナタは嘘が下手だよな。顔に出てるぞ。何でもいいから
 オレにははなせよ。力になるから」
 「何でもないよ。ほんと、大丈夫だよ。心配しな・・・・・・」


 シュッ。シュッ。

 剣の振り切る音がしたと同時に反射的に相手の攻撃をかわし相手の懐に入り手首を捻り上げ
 剣を奪い取る。
 後ろではロンがもう一人の敵に対して攻撃していた。
 やっぱりな。出ると思ったんだよ。
 王宮で生活するようになってあまりにも静かすぎると思った。あんなに私に対して
 大勢で襲ってきたくせにこのまま何もしないなんてことはしないだろう、
 お披露目の前に隙をみて出てくると思った。
 ロンと背中あわせで敵の攻撃をかわす。


 全部で10人か。キツイなぁ。か弱き乙女に対してどうよこの人数。


 「いや、お前は十分か弱くないから」
 背中に目でもあるのかい。あなたは。つうかつっこむところ違うでしょう。
 どんどん相手の攻撃をかわして倒していく、ロン。
 国王って頭だけじゃないのね。
 一人一人と倒してやっと残り2人に。
 その2人がなかなか強くって攻撃も早い。
 私はよろけて相手に追い詰められた。
 なんて、油断させて思いっきり投げ飛ばした。
 座ってても相手を投げる方法もあるのさ、合気道には。まあ、みんな知らないだろうけど。
 私達が戦い終わって騎士団の人たちがテラスに駆けつけ、倒した人たちを次々に縛って連れて行った。
 最後の一人が連れていかれるのを見届け、私達も動こうとした時、
 足首に違和感を感じた。
 あれ、足がなんだか痛い。捻ったかな。
 「見せて」
 ロンに言われたけど、国王にはいそうですかって足を出せるわけないじゃん。
 嫌がったけど、近くにあった椅子に無理やり座らされ、
 目の前に膝間ついたロンは自分の膝に私の右足を乗せて足首を見た。恥ずかしくて逃げ出したかったのに
 私の足首をグリグリ回したもんだからぎゃーって叫んでしまった。
 ムチャクチャ痛い!!
 どうも足首の筋を痛めたみたい。
 昔、練習でいためてから癖になったのかたまに痛めるのよね。
 急にふわっと浮いたかと思うとロンの顔が至近距離に。
 これはお姫様抱っこというものですか。
 かなり恥ずかしいんだけど。
 「これくらい歩けるから大丈夫。下ろして!」
 「だめ、ちゃんと守れなかった俺に責任がある。
 部屋まで送らせてほしい」
 「やめてよ、はずかしい。あなたは馴れてるのかもしれないけど
 私はなれてないんだから」
 ジタバタしても意外と力があるロンは私を抱えたまま動かない。
 そしてどんどん私の部屋まで進んでいく。
 私たちの姿を驚いたように色んな人が見るけど
 涼しい顔で気にも止めずに進む。
 恥ずかすぎて暴れる私をちらりと見たら、涼しい顔のままロンはボソリと呟いた。

 「だまって言うことをきく。じゃないと口をふさぐぞ」
 

 口をふさぐ?・・・・・・・・・・。
 ぎゃ~~~~~~~~~~~!!
 そんな、そんな漫画みたいなセリフを言われるなんて。
 しかも本物の王子様に!!いや、彼は国王なんだけどさ。
 勝手に想像して勝手に赤くなってる私を見て大爆笑するロン。
 ひどい、からかったのね。
 むー、口きいてやんない。
 「ヒナタ」
 プイッと横をむいた。
 しらん、無視無視。
 「ヒーナータ」 
 明日まで無視無視。
 「ごめん、言い過ぎた。ヒナタをからかうと面白くって」
 ムキー!!私はちっとも面白くありません。
 ぎゃあぎゃあ言いながらも私は部屋へつれてかれた。


 
 そのやり取りをとある人物が廊下の柱の陰で見ていた。
 それはそれはとても恐ろしい形相で。
 このことにより私に後ほど大きな災害がやってくることとなる。



 結局、倒した彼らは塀の中で隙をついて舌を噛み自害していた。
 なので情報を得られず。
 なんで自害するかなぁ。
 もっと命を大事にしようよ。
 そんなに自分の命をかけていいほどすばらしい国なら
 死ぬという手段でなくその分頑張ればいいのに。
 私は平和ボケしてるから考えがあまいのかな。
 コーナンから少しだけ報告を聞いたら泣きそうになった。
 さっきまで少しでも関わって生きてた人がとなりで死んじゃうというのは
 今の私にはまだしんどい。どうしても両親のことを思い出す。
 生きたくても生きられない人だっているのに・・・。
 うつむいて泣くのを我慢してると私の足首を治療しにきてくれたお医者さんが痛いのと勘違いして
 痛み止めをくれた。
 この痛み止めじゃ心の痛みは消してくれないんだな。
 ため息をつきながら布団に入り明日に備えることにした。

  
   

  
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