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第一章
17.映画はデートじゃない ②
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そして、約束をしていた日曜日がやってくる。
待ち合わせ場所は、映画館の現地集合。
浮かれていると思われても嫌だったから時間ぎりぎりに着くと、先に遠野が来ていた。矢神の姿を見つけるなり、手を振って駆け寄ってくる。
「来てくれたんですね」
「……あたりまえだろ」
そういう心配をするのは、遠野らしくないと感じた。普段見ていても悩みがなさそうに見えるから、不安に思うことがあることに驚きだ。
学校で着てる派手なジャージで来るのではないかと疑念を抱いていたが、いくら遠野でもそんなことはなかった。
パーカーにジーンズというラフな格好で、こういう方がいいのにと何気なく思う。
「上映時間は大丈夫か?」
「はい。ちょうどいいですよ」
既に遠野が前売券を交換してくれていたから、ポップコーンと飲み物を買って中に入った。
人気の作品というだけあって、けっこう席が埋まっていたのだが、不自然な光景だと感じた。それはほとんどが女性で、男性は自分たちくらいしか見かけなかったからだ。
「おい、遠野……オレ、何の作品か聞かなかったけど、どんな内容なんだ」
「時代物です」
「時代物?」
女性に人気の作品なのだろうか、と首を傾げた。
男性というだけでも浮いているというのに、男二人だと余計にそう感じる。何だかさっきから視線を感じ、見られているような気もした。
背が高くて日本人離れした顔の遠野と一緒にいれば仕方がないとは思うが、さすがに居心地が悪い。映画に来てこんな風に感じたのは始めてだ。
だが、上映が始まれば辺りも暗くなり、映画に集中するからそんなことも気にしなくなるだろう。
そう思っていたのが間違いだと気づくのは、映画を観終わってからなのであった。
待ち合わせ場所は、映画館の現地集合。
浮かれていると思われても嫌だったから時間ぎりぎりに着くと、先に遠野が来ていた。矢神の姿を見つけるなり、手を振って駆け寄ってくる。
「来てくれたんですね」
「……あたりまえだろ」
そういう心配をするのは、遠野らしくないと感じた。普段見ていても悩みがなさそうに見えるから、不安に思うことがあることに驚きだ。
学校で着てる派手なジャージで来るのではないかと疑念を抱いていたが、いくら遠野でもそんなことはなかった。
パーカーにジーンズというラフな格好で、こういう方がいいのにと何気なく思う。
「上映時間は大丈夫か?」
「はい。ちょうどいいですよ」
既に遠野が前売券を交換してくれていたから、ポップコーンと飲み物を買って中に入った。
人気の作品というだけあって、けっこう席が埋まっていたのだが、不自然な光景だと感じた。それはほとんどが女性で、男性は自分たちくらいしか見かけなかったからだ。
「おい、遠野……オレ、何の作品か聞かなかったけど、どんな内容なんだ」
「時代物です」
「時代物?」
女性に人気の作品なのだろうか、と首を傾げた。
男性というだけでも浮いているというのに、男二人だと余計にそう感じる。何だかさっきから視線を感じ、見られているような気もした。
背が高くて日本人離れした顔の遠野と一緒にいれば仕方がないとは思うが、さすがに居心地が悪い。映画に来てこんな風に感じたのは始めてだ。
だが、上映が始まれば辺りも暗くなり、映画に集中するからそんなことも気にしなくなるだろう。
そう思っていたのが間違いだと気づくのは、映画を観終わってからなのであった。
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