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「可愛い。なんて可愛いんだろう?おめめがぱっちり。お義兄さんに似てる~。おはだが白くてすべすべで、とっても甘い香りがする~」
「そうだろう?うちの子供は世界一、いや宇宙一可愛いのだ!」
「…大丈夫?…」
大学3年目の夏休み。夏樹は春に産まれたばかりの甥っ子に会うために、兄の家を訪れていた。義兄はもうそろそろ離乳食がはじまるという時期になり、慣れない子育てにてんやわんやだ。
兄は実家の本社で忙しく働いており、育児の戦力としては役に立たないそうである。うちの実家の母や義兄の母が子育てを手助けしているという。
夏樹は、長い夏休みを利用して金沢グループ本社でインターンをしている。颯介がインターンで本社の経営陣の後について、既にはじめていた実務を更に習得しているのだが、夏樹も同時期にインターンに採用して貰った。夏樹は大学で昨年グループワークで取り組んで以来興味のある地域活性化のグランドデザインを本社のチームに混ざって実地で学ばせて貰っている。
颯介は、二人の将来についてもパートナーの夏樹に専業主婦を強制することはなく、夏樹のしたいことの意思を尊重してくれるそうだ。
とてもありがたいが家庭と仕事の両立は出きるのだろうか。子供にさみしい思いをさせたくないしなと夏樹なりに悩んでいた。
「夏樹。夏休みとインターンの終わりに、数日休みを作ろう。うちの甥っ子と軽井沢に泊まって一緒に遊ばない?」
「うん。良いね、楽しそう」
「夏樹ちゃん。こんにちは」
「こんにちは」
颯介の兄はとてもきれいなオメガ男性だ。高校の時にはもう婚約していて、大学卒業後すぐに結婚したその相手は幼なじみだそうだ。バース性に悩む中高生時に、話し相手になったり、つきまとう男性から助けてくれたりしたという。
アルファで創業家の跡取りである相手の会社のためにも、早く跡継ぎを産みたかった。働く経験の無いまま専業主婦になった。しかし、産まれた息子は食物アレルギー、喘息、アトピー性皮膚炎でとても肩身の狭い思いをしたという。
「でも夫がね、無事産まれてくれたんだから大丈夫だって。僕もこの子が生きているだけで幸せだよ」
去年お世話になった別荘にお泊まりしながら甥っ子くんが楽しめるように颯介と行程を企画する。
公園や美術館、身体を使う遊びにオモチャや絵本。いつもと違う人と接するのは、刺激になって楽しいようできゃっきゃっと笑ってくれるのが楽しい。
基本的に食事は別荘でアレルギーに配慮して自炊する。抗アレルギー薬、ステロイド薬、喘息の吸入薬、そしてアレルギー対策のエピペン。準備も対策も注意が必要である。
自分達が充分に気を付けて、事前に連絡をしていても受け入れを断られる宿泊施設や飲食店がある。
そうなると、迷惑な存在であると思って、義兄はやっぱり気落ちするのだという。幼い甥っ子が悲しい思いをするのは、颯介や僕も辛い。
「颯介。日本人での食物アレルギーの有症率は1~2%もあるんだって。対応が大変だけど、配慮して食事を提供する施設とか、旅館とか、その分手間をかけて高価になっても利用したい人はいるんじゃないかな」
「そうだな。何より喜ばれたら嬉しいな」
「それを地産地消で提供できたら活性化に繋がるよね」
「医療機関や消防とも連絡が必要だな」
「いずれ、そういう仕事を出来たら良いな。僕達に子供が産まれて、その子が同じようにアレルギーがある可能性もあるよ」
「兄と俺の遺伝的素因はありそうだからな。俺達が就職したらやってみよう」
「そうだね。そういう目標が出来ると、働きたい気持ちになってきた」
「うん。会社としても発情休暇や生理休暇、産育休制度を充実させて、皆が働きたい会社でありたい。長期的にはその方がパフォーマンスが良いというデータもある。俺も頑張るよ」
僕も仕事をしてみたい。でも子供だって欲しい。色々な欲張り心がわいてきたが、それが誰かの役に立つ仕事だったら尚更嬉しい。
夏休みを終えて、大学生活に戻った。就職は幸い決まったので後は卒論に向けて頑張るのみ。そして、就職後の6月に結婚する事が決まった。
これからは、結婚式の準備も始まる。なので、決めること、相談する事が増えるから颯介と一緒に暮らす事にした。
今まで颯介が住んでいた部屋でも良いんじゃないかと夏樹は言ったのだが
「就職、結婚で忙しくなるだろう?そうこうしているうちに子供が出来たら手狭になる。その時になって引っ越すのは大変だから、今のうちに広い所を探そうよ」
「そう?勿体無くない?」
「無いよ。両親からも家を買ったら良いと言われているんだ。働くモチベーションになるって」
夏樹の知らないうちに、颯介の実家のある高級住宅街にめぼしい住宅が見つけられていた。
「実家の近くで俺も土地に馴染みがあるんだ。築浅の中古で夏樹好みにリフォームしたらわりと早めに引っ越しできるし、良いかなと思った。見に行かない?」
「見に行くのは楽しそうだけど、高くない?」
「まあ。庭も広めで、遊ばせたり、犬飼ったりも出来るし車も複数台おけるからそれなり」
「え?高そう…」
都内出身ではない夏樹には具体的な高級地域の価格はわからないものの、高そうだとは思った。颯介が率先して見学を決めたので、とりあえず見に行くことになった。
「すごい…」
都心なのに広い敷地に屋根付きカーポート、芝生の庭もあり、室内も使いやすそう。築年数が浅いからか、殆ど直すところは見つからない。
「間取りを少し変えて子供部屋を作っておいたり、水回りのリフォームだけで良いんじゃないかな?照明や壁紙、カーテンなんかは夏樹の好みで決めて」
「そうかも知れないけど本当に高そう」
「払うために頑張るんだよ。良いよね?」
早速、購入してリフォームすることになってしまった。どんどん話が進んでしまって、大丈夫だろうか。でもこんなに広い家なら子供が出来てもそのまま住める。颯介の実家に近いのも安心だ。ここで二人の生活をするのかと思うと、ワクワクもした。
「そうだろう?うちの子供は世界一、いや宇宙一可愛いのだ!」
「…大丈夫?…」
大学3年目の夏休み。夏樹は春に産まれたばかりの甥っ子に会うために、兄の家を訪れていた。義兄はもうそろそろ離乳食がはじまるという時期になり、慣れない子育てにてんやわんやだ。
兄は実家の本社で忙しく働いており、育児の戦力としては役に立たないそうである。うちの実家の母や義兄の母が子育てを手助けしているという。
夏樹は、長い夏休みを利用して金沢グループ本社でインターンをしている。颯介がインターンで本社の経営陣の後について、既にはじめていた実務を更に習得しているのだが、夏樹も同時期にインターンに採用して貰った。夏樹は大学で昨年グループワークで取り組んで以来興味のある地域活性化のグランドデザインを本社のチームに混ざって実地で学ばせて貰っている。
颯介は、二人の将来についてもパートナーの夏樹に専業主婦を強制することはなく、夏樹のしたいことの意思を尊重してくれるそうだ。
とてもありがたいが家庭と仕事の両立は出きるのだろうか。子供にさみしい思いをさせたくないしなと夏樹なりに悩んでいた。
「夏樹。夏休みとインターンの終わりに、数日休みを作ろう。うちの甥っ子と軽井沢に泊まって一緒に遊ばない?」
「うん。良いね、楽しそう」
「夏樹ちゃん。こんにちは」
「こんにちは」
颯介の兄はとてもきれいなオメガ男性だ。高校の時にはもう婚約していて、大学卒業後すぐに結婚したその相手は幼なじみだそうだ。バース性に悩む中高生時に、話し相手になったり、つきまとう男性から助けてくれたりしたという。
アルファで創業家の跡取りである相手の会社のためにも、早く跡継ぎを産みたかった。働く経験の無いまま専業主婦になった。しかし、産まれた息子は食物アレルギー、喘息、アトピー性皮膚炎でとても肩身の狭い思いをしたという。
「でも夫がね、無事産まれてくれたんだから大丈夫だって。僕もこの子が生きているだけで幸せだよ」
去年お世話になった別荘にお泊まりしながら甥っ子くんが楽しめるように颯介と行程を企画する。
公園や美術館、身体を使う遊びにオモチャや絵本。いつもと違う人と接するのは、刺激になって楽しいようできゃっきゃっと笑ってくれるのが楽しい。
基本的に食事は別荘でアレルギーに配慮して自炊する。抗アレルギー薬、ステロイド薬、喘息の吸入薬、そしてアレルギー対策のエピペン。準備も対策も注意が必要である。
自分達が充分に気を付けて、事前に連絡をしていても受け入れを断られる宿泊施設や飲食店がある。
そうなると、迷惑な存在であると思って、義兄はやっぱり気落ちするのだという。幼い甥っ子が悲しい思いをするのは、颯介や僕も辛い。
「颯介。日本人での食物アレルギーの有症率は1~2%もあるんだって。対応が大変だけど、配慮して食事を提供する施設とか、旅館とか、その分手間をかけて高価になっても利用したい人はいるんじゃないかな」
「そうだな。何より喜ばれたら嬉しいな」
「それを地産地消で提供できたら活性化に繋がるよね」
「医療機関や消防とも連絡が必要だな」
「いずれ、そういう仕事を出来たら良いな。僕達に子供が産まれて、その子が同じようにアレルギーがある可能性もあるよ」
「兄と俺の遺伝的素因はありそうだからな。俺達が就職したらやってみよう」
「そうだね。そういう目標が出来ると、働きたい気持ちになってきた」
「うん。会社としても発情休暇や生理休暇、産育休制度を充実させて、皆が働きたい会社でありたい。長期的にはその方がパフォーマンスが良いというデータもある。俺も頑張るよ」
僕も仕事をしてみたい。でも子供だって欲しい。色々な欲張り心がわいてきたが、それが誰かの役に立つ仕事だったら尚更嬉しい。
夏休みを終えて、大学生活に戻った。就職は幸い決まったので後は卒論に向けて頑張るのみ。そして、就職後の6月に結婚する事が決まった。
これからは、結婚式の準備も始まる。なので、決めること、相談する事が増えるから颯介と一緒に暮らす事にした。
今まで颯介が住んでいた部屋でも良いんじゃないかと夏樹は言ったのだが
「就職、結婚で忙しくなるだろう?そうこうしているうちに子供が出来たら手狭になる。その時になって引っ越すのは大変だから、今のうちに広い所を探そうよ」
「そう?勿体無くない?」
「無いよ。両親からも家を買ったら良いと言われているんだ。働くモチベーションになるって」
夏樹の知らないうちに、颯介の実家のある高級住宅街にめぼしい住宅が見つけられていた。
「実家の近くで俺も土地に馴染みがあるんだ。築浅の中古で夏樹好みにリフォームしたらわりと早めに引っ越しできるし、良いかなと思った。見に行かない?」
「見に行くのは楽しそうだけど、高くない?」
「まあ。庭も広めで、遊ばせたり、犬飼ったりも出来るし車も複数台おけるからそれなり」
「え?高そう…」
都内出身ではない夏樹には具体的な高級地域の価格はわからないものの、高そうだとは思った。颯介が率先して見学を決めたので、とりあえず見に行くことになった。
「すごい…」
都心なのに広い敷地に屋根付きカーポート、芝生の庭もあり、室内も使いやすそう。築年数が浅いからか、殆ど直すところは見つからない。
「間取りを少し変えて子供部屋を作っておいたり、水回りのリフォームだけで良いんじゃないかな?照明や壁紙、カーテンなんかは夏樹の好みで決めて」
「そうかも知れないけど本当に高そう」
「払うために頑張るんだよ。良いよね?」
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