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帝国動乱
第7話 腕試し
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眩い陽光が二人の体を照らし影が建物の方向に延びている。もちろんその建物とはシンシアが泊まっている宿だ。皇子たちが帝国に行くまで数週間ほど空白の期間があるのでその間は普通に冒険者業を続けることにしたのである。この冒険者としての活動も俺にとっては作戦に必要なのだ。中に入ろうと扉に手を掛けようとした時不意に少女が顔を覗かせる。
「にい。何でそんな変な仮面付けてるの?」
ノインは首をこてんと傾け不思議そうな声を上げる。
「そういえば俺の冒険者としての姿を見るのは初めてだったか。単純にカームベルとの関係性を公にはしたくないからだ」
「知られたら何か問題あるの?」
「俺自身に問題はないが王国にとっては問題だろうな。俺は一応王国に所属している攻略者だ。だが同時にカームベルにも所属している。どっちの指示が大事かと言われればもちろんカームベルだ。つまりは国が戦力を借りてるような状況にあるわけだ。まあ、こうなるまでの過程は色々あるがこれがばれれば他の国が干渉してくるのは間違いない。それは面倒だろう?」
「ん、確かにめんどい。じゃあ呼び方とかも変えた方がいい?」
「いや、アインという名前を出さなければいい」
「わかった」
ノインはこくりと頷いた。それを見届けると改めて扉を開ける。そこには流石迷宮都市最高級の宿に恥じない光景が広がっていた。ロビー全体を煌々とシャンデリアが照らし、透き通るような白い石で作られた床がそれに呼応するような輝きを放っておりまるで宝石のようだ。以前にも利用したことはあったが何度見ても飽きない美しさである。俺がそのような感銘を受けている中近づいて来る人影が見える。
「先生!おはようございます!」
輝く金髪を携えた少女は元気よく挨拶した。格好は冒険者風なため若干浮いている。だが、ここは迷宮都市なので他にも冒険者がいるためかあまり気にならない。シンシアは俺の隣の少女を見つけ問いかける。
「先生。その子はどちら様でしょうか」
「こいつはノイン。俺の妹のようなものだ」
「妹さんでしたか。私はシンシア。よろしくね、ノインちゃん」
シンシアはノインの前まで歩み寄り手を差し出す。
「ん、よろしく。あとノインでいい。私もシンシアって呼ぶから」
ノインはシンシアの手を握り返した。この様子に俺は安堵した。ノインは気まぐれなやつだ。シンシアと上手くやれるは不安だったのだ。そんな心配をよそに二人の少女は仲良く話している。
「おい、二人とももう行くぞ。ここでの立ち話は目立ちすぎる」
俺はそう言って催促する。この場所であまり目立つと貴族やら商人やらから面倒なちょっかいを掛けられかねない。今は他の問題を抱えるわけにはいかないのだ。俺は踵を返し外へと向かう。その後ろを少女たちが追従する。
「先生、これからどこへ行くんですか。まずはギルドでしょうか?」
「いや、依頼の方はもう取ってきた。直接現地に向かうぞ」
そう言うと目の前に黒い門が出現する。三人の姿はそれに吸い込まれ跡形もなく消えた。
三人は迷宮都市近隣の山地に来ていた。標高は千メートルほどで麓のほうは木々が生い茂っているが山頂に近づくほど岩肌が露出し切り立った作りとなっている。現在は山頂を目指しその岩肌を上っている最中だ。
「先生、今回の依頼はどんな依頼なんですか?」
「今回の依頼は<翼竜/ワイバーン>の討伐だ」
「ワイバーンですか? それって白磁の新人が受けられるようなものなんですか? 昨日の資料によると討伐の適切ランクは紅玉ってなってましたけど……」
「まあ、そのとおりだ。俺がいなければ受けられないな。それくらいには強い魔物だ」
「えー。私たちに倒せるんですか?」
「お前には多分無理だな。ノインは余裕だろうが」
「ノインは倒せるんですか!」
「当たり前。私結構強い」
ノインは薄い胸を張り自慢げである。シンシアは悔しそうに唸っている。実際のところ今まで貴族のお嬢様として生きてきた人間と暗殺と戦闘訓練ばかりしてきた人間に差が出るのは当たり前なのだがシンシアにそのことを知るよしもない。
そうしているうちに山頂へと着いた。そこはごつごつとした岩ばかりで見晴らしの良い場所だった。その中央に岩や枯れ木なんかで作られた巣があった。そのため、上空を何匹もの翼竜が羽ばたいていた。その姿は浅黒い皮膚で覆われ、尻の部分からは中途半端な長さの尾が生えており無数の棘が付いていた。
「よし、それじゃあ狩りを始めるぞ」
「え、あんな上空にいるのにどうするんですか?」
「巣に近づけば勝手に下りてくるんだよ。ノイン、手本を見せてやれ」
「ん、わかった」
ノインは腰の双剣を抜き一直線に巣の方角へと飛びこんで行った。
「にい。何でそんな変な仮面付けてるの?」
ノインは首をこてんと傾け不思議そうな声を上げる。
「そういえば俺の冒険者としての姿を見るのは初めてだったか。単純にカームベルとの関係性を公にはしたくないからだ」
「知られたら何か問題あるの?」
「俺自身に問題はないが王国にとっては問題だろうな。俺は一応王国に所属している攻略者だ。だが同時にカームベルにも所属している。どっちの指示が大事かと言われればもちろんカームベルだ。つまりは国が戦力を借りてるような状況にあるわけだ。まあ、こうなるまでの過程は色々あるがこれがばれれば他の国が干渉してくるのは間違いない。それは面倒だろう?」
「ん、確かにめんどい。じゃあ呼び方とかも変えた方がいい?」
「いや、アインという名前を出さなければいい」
「わかった」
ノインはこくりと頷いた。それを見届けると改めて扉を開ける。そこには流石迷宮都市最高級の宿に恥じない光景が広がっていた。ロビー全体を煌々とシャンデリアが照らし、透き通るような白い石で作られた床がそれに呼応するような輝きを放っておりまるで宝石のようだ。以前にも利用したことはあったが何度見ても飽きない美しさである。俺がそのような感銘を受けている中近づいて来る人影が見える。
「先生!おはようございます!」
輝く金髪を携えた少女は元気よく挨拶した。格好は冒険者風なため若干浮いている。だが、ここは迷宮都市なので他にも冒険者がいるためかあまり気にならない。シンシアは俺の隣の少女を見つけ問いかける。
「先生。その子はどちら様でしょうか」
「こいつはノイン。俺の妹のようなものだ」
「妹さんでしたか。私はシンシア。よろしくね、ノインちゃん」
シンシアはノインの前まで歩み寄り手を差し出す。
「ん、よろしく。あとノインでいい。私もシンシアって呼ぶから」
ノインはシンシアの手を握り返した。この様子に俺は安堵した。ノインは気まぐれなやつだ。シンシアと上手くやれるは不安だったのだ。そんな心配をよそに二人の少女は仲良く話している。
「おい、二人とももう行くぞ。ここでの立ち話は目立ちすぎる」
俺はそう言って催促する。この場所であまり目立つと貴族やら商人やらから面倒なちょっかいを掛けられかねない。今は他の問題を抱えるわけにはいかないのだ。俺は踵を返し外へと向かう。その後ろを少女たちが追従する。
「先生、これからどこへ行くんですか。まずはギルドでしょうか?」
「いや、依頼の方はもう取ってきた。直接現地に向かうぞ」
そう言うと目の前に黒い門が出現する。三人の姿はそれに吸い込まれ跡形もなく消えた。
三人は迷宮都市近隣の山地に来ていた。標高は千メートルほどで麓のほうは木々が生い茂っているが山頂に近づくほど岩肌が露出し切り立った作りとなっている。現在は山頂を目指しその岩肌を上っている最中だ。
「先生、今回の依頼はどんな依頼なんですか?」
「今回の依頼は<翼竜/ワイバーン>の討伐だ」
「ワイバーンですか? それって白磁の新人が受けられるようなものなんですか? 昨日の資料によると討伐の適切ランクは紅玉ってなってましたけど……」
「まあ、そのとおりだ。俺がいなければ受けられないな。それくらいには強い魔物だ」
「えー。私たちに倒せるんですか?」
「お前には多分無理だな。ノインは余裕だろうが」
「ノインは倒せるんですか!」
「当たり前。私結構強い」
ノインは薄い胸を張り自慢げである。シンシアは悔しそうに唸っている。実際のところ今まで貴族のお嬢様として生きてきた人間と暗殺と戦闘訓練ばかりしてきた人間に差が出るのは当たり前なのだがシンシアにそのことを知るよしもない。
そうしているうちに山頂へと着いた。そこはごつごつとした岩ばかりで見晴らしの良い場所だった。その中央に岩や枯れ木なんかで作られた巣があった。そのため、上空を何匹もの翼竜が羽ばたいていた。その姿は浅黒い皮膚で覆われ、尻の部分からは中途半端な長さの尾が生えており無数の棘が付いていた。
「よし、それじゃあ狩りを始めるぞ」
「え、あんな上空にいるのにどうするんですか?」
「巣に近づけば勝手に下りてくるんだよ。ノイン、手本を見せてやれ」
「ん、わかった」
ノインは腰の双剣を抜き一直線に巣の方角へと飛びこんで行った。
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