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After Story
ちょっと前進
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ヴォイド爺に数学を教え始めて2週間ほど経った水曜日、ついに城下町デートの日がやってきました! 昨日の夜ちょっと雨降ってたから心配だったんだけど、起きてみたらすごく晴れてました!! 絶好のデート日和で嬉しいです。
「ダグラスが今日のためにと用意したご衣装になります。帽子を深くかぶる必要があるので髪留めをつけることは難しいですが、お洋服がダグラスからのものなのでそちらでお許しくださいね」
「うん!」
ダグにもらったものはブレスと指輪だけになるかなってちょっとがっかりしてたから嬉しいです。全身ダグからのものを身につけられるなんて!! ……まぁ、今日も沢山買いそうなのにそれまでにも買ったなんて……とは思うけども……買ってしまったものはしょうがないよね。僕の寸法に合わせちゃったんだろうし……あとでお礼言います!
リディアに着替えさせてもらい、とりあえずヴェールと帽子はまだつけないでダグの部屋へ。
「ダグ!! 服ありがとう!!」
「ユキ。よく似合っている。綺麗な髪を隠さなければならないのはもったいないな」
するっと髪を1束取られ、ちゅっとキスをされた。思わず真っ赤になってしまいます。
「そのままだったらやっぱりダメなのかなぁ。危ない?」
「そう治安の悪い国ではないが、危険がないとは言い切れない。実際に城にいても事件はあっただろう?」
「そっかぁ……」
そのままでデートしたいなって思うけど、仕方ないよね。迷惑はかけられないし……我慢しなくちゃ。
「我慢をさせて悪いな」
「ううん、ダグのせいじゃないもん。デート出来るだけで十分幸せ」
「そうか、俺もユキとデート出来て幸せだ」
2人で見つめ合いながらニコニコ。幸せです。
「そろそろお時間ですよ。お手洗いなどを済ませたらヴェールをつけましょう」
「はぁい」
一度離れてトイレを済ませて今度は僕の部屋へ集合。リディアにフード付きのコートを着せてもらい、ヴェールを被せてもらったらダグと手を繋いで庭に寄せてもらってる馬車へ。お馴染みの外から見ても窓から中が見えない馬車ですよ。
馬車に乗り込んでも僕とダグは手を繋いだまま。リディアは繋がれた手を見ないように目を逸らしてます。あ、アルバスさんも誘ったらよかったかな!? リディアとデートどうですかって! お休み取れるかわからないけど……
馬車が走り出すと今日の予定をダグに聞く。まだまだお城の敷地内なのに楽しみすぎてソワソワしてます。
「今日は前とは別のところへ行く。ユキはどっちが好きだろうな」
「前のとこも楽しかったから楽しみ! フルラあるかなぁ」
「あると思うぞ。食べながら見るか」
「うん!」
外で買うもの食べれるのか? んーと、多分? 今すっごくテンション高いしノリでいけないかなって。フルラ大好きだし、周りの人が買ってるものに毒混入とかはないと思うし……リハビリも兼ねて!!
僕もね、そろそろなんでも食べれるようになりたいのです。少しずつリハビリしなくちゃね。だってリディア結婚したら僕たちの時みたいに1ヶ月くらいお休みになるんじゃって……その間のご飯が大変になるからリディア達以外が用意したものでも少しでも食べれるようになったら……! ダグもラギアスもお仕事あるから僕のご飯に気をとられるのは申し訳ないし……僕も頑張る!!
しばらく馬車が走り、デートするところに近づけばリディアに帽子をかぶらされた。髪の毛は低い位置で1つに縛ってコートの中へ。そのままフードも被れば完璧!
「行ってらっしゃいませ。ユキ様、こちらは陛下からです。お好きなだけ使って良いとのことです。ご無理はなさらないように、何かございましたらダグラスに言うのですよ」
「うん、ありがとう!! 行ってきます!」
今回もずっしりと重たいお財布を渡されました。ポシェットに大事にしまっておきます。ちゃんと自分のお金も持ってきてるよ!! ダグへのプレゼント買って、騎士さんへのお酒の手配をしなくては……!
馬車を降りるのはダグから。先に降りて手をスッと出してエスコートしてくれるのです! かっこいい!
降りたらもちろん手を繋いで歩きます。ゆらゆらと繋いだ手を揺らしながらウキウキです。
「早速フルラがあるぞ」
「わぁ! 買わなくちゃ!」
フルラから始まるデート! 前と一緒でなんだかワクワクしちゃうね!
「とりあえず前と同じ量でいいか?」
「うん!」
「わかった。すまない、3掬いくれるか」
「かしこまりました、900ギルです」
「ちょうどある」
またダグが払っちゃった! 予想してたからお財布出してたのに……僕の手を遮ってダグがパパッとお会計を済ませちゃいました。
「ありがと、ダグ。でもダグはお金使いすぎだと思う!」
「これくらいなんの問題もない。妻に金を出させる情けない夫にしないでくれ」
「ダグは情けなくなんかないもん」
常にかっこいい僕の自慢の旦那様です。あ、可愛い時もあるよ! でもダサいって思ったことは一度もないような? フィルターかかってるのかなぁ。いやいや、ダグはかっこいいもん!
「つま……? おっ、と……?」
僕とダグを交互に見ながら目を白黒させてる店員さん。明らかに12歳くらいの身長の僕と年齢通りの見た目のダグが夫婦ってことに違和感しかないようだ。
ちょっとまずくないかなこれ……
「妻は遠い国の背の低い一族の人間でな。背は低いがちゃんと成人している」
「そ、そうだったんですね! たしかに他国には小柄な方が住んでいる集落があると聞いたことがあります!」
ダグナイス!! そんな集落があるなんて知らなかったけどごまかせてよかった!!
「こちらお品物になります。どうぞお幸せに!」
「ありがとうございます」
フルラが入った紙袋を受け取り、ルンルンとまた歩きだす。デートが強制終了にならなくてホッとしました。
「ダグありがとね。バレなくてよかった」
「そうだな。俺も今日を楽しみにしていたからなんとしてでも強制終了は阻止したいところだ」
そっかぁ、ダグも楽しみだったんだ! 僕もすっごく楽しみにしてたからダグも同じ気持ちで嬉しいです! あまりの嬉しさに思わず腕にぎゅーっとしがみつく。
「……フルラ食べるか?」
「食べる! 食べさせて?」
「わかった」
少し……いや、かなり心配そうなダグが袋から1つフルラを取り出し、ゆっくりと僕の口元へ運んでくる。ダグの指につままれたフルラから嫌な感じは全くしない。問題なく食べられると思う。
そっとヴェールを口元だけ上げるとさらに近づいてきたフルラをパクリ。優しい甘みが口の中にふわりと広がった。
「美味しい!」
「そうか、よかった」
そう言ったダグは本当にホッとした様子で。僕もちょっと嬉しくなった。
たったこれだけのことだけど、僕にとっては結構大きな一歩で。ダグもずっと気にかけてくれてたから、僕が外で買った物を食べられたのは結構安心できたんじゃないかなって。こうやって少しずつトラウマを克服できたら嬉しいな!
フルラを食べながらゆっくりと街を歩く。賑わっているけれど平日だから人でいっぱいってわけでもなくて、割とのんびり歩けます。前に行ったところとはまた違った趣で、こっちの方がワイワイしてるかな? ガヤガヤしてるわけではないけど、弾き語りをしている人や大道芸をしている人がチラホラいて、笑顔が溢れている街っていうイメージです。
「ここもいいところ! 見てるだけで楽しいなぁ」
「ここは前行ったところよりも一般市民向けなんだ。その分賑やかだろう?」
「うん! なんだか僕も歌いたくなっちゃう」
「ユキの歌声が聴けるなら俺はいくらだって払うぞ」
「……僕歌わない」
僕別にチップが欲しいわけじゃないもん! ダグなら平気で大金をポンと出しそうだから歌わないことにします。
「残念だ。帰ったらいつか聞かせてくれ」
「チップはいらないからね!」
「わかった」
チップを出さないなら歌いますよ! 僕はピアノを弾くのも好きだけど、歌を歌うのも好きなのです。今度この国の曲を弾き語りアレンジしたいなって思ってます!
「ダグラスが今日のためにと用意したご衣装になります。帽子を深くかぶる必要があるので髪留めをつけることは難しいですが、お洋服がダグラスからのものなのでそちらでお許しくださいね」
「うん!」
ダグにもらったものはブレスと指輪だけになるかなってちょっとがっかりしてたから嬉しいです。全身ダグからのものを身につけられるなんて!! ……まぁ、今日も沢山買いそうなのにそれまでにも買ったなんて……とは思うけども……買ってしまったものはしょうがないよね。僕の寸法に合わせちゃったんだろうし……あとでお礼言います!
リディアに着替えさせてもらい、とりあえずヴェールと帽子はまだつけないでダグの部屋へ。
「ダグ!! 服ありがとう!!」
「ユキ。よく似合っている。綺麗な髪を隠さなければならないのはもったいないな」
するっと髪を1束取られ、ちゅっとキスをされた。思わず真っ赤になってしまいます。
「そのままだったらやっぱりダメなのかなぁ。危ない?」
「そう治安の悪い国ではないが、危険がないとは言い切れない。実際に城にいても事件はあっただろう?」
「そっかぁ……」
そのままでデートしたいなって思うけど、仕方ないよね。迷惑はかけられないし……我慢しなくちゃ。
「我慢をさせて悪いな」
「ううん、ダグのせいじゃないもん。デート出来るだけで十分幸せ」
「そうか、俺もユキとデート出来て幸せだ」
2人で見つめ合いながらニコニコ。幸せです。
「そろそろお時間ですよ。お手洗いなどを済ませたらヴェールをつけましょう」
「はぁい」
一度離れてトイレを済ませて今度は僕の部屋へ集合。リディアにフード付きのコートを着せてもらい、ヴェールを被せてもらったらダグと手を繋いで庭に寄せてもらってる馬車へ。お馴染みの外から見ても窓から中が見えない馬車ですよ。
馬車に乗り込んでも僕とダグは手を繋いだまま。リディアは繋がれた手を見ないように目を逸らしてます。あ、アルバスさんも誘ったらよかったかな!? リディアとデートどうですかって! お休み取れるかわからないけど……
馬車が走り出すと今日の予定をダグに聞く。まだまだお城の敷地内なのに楽しみすぎてソワソワしてます。
「今日は前とは別のところへ行く。ユキはどっちが好きだろうな」
「前のとこも楽しかったから楽しみ! フルラあるかなぁ」
「あると思うぞ。食べながら見るか」
「うん!」
外で買うもの食べれるのか? んーと、多分? 今すっごくテンション高いしノリでいけないかなって。フルラ大好きだし、周りの人が買ってるものに毒混入とかはないと思うし……リハビリも兼ねて!!
僕もね、そろそろなんでも食べれるようになりたいのです。少しずつリハビリしなくちゃね。だってリディア結婚したら僕たちの時みたいに1ヶ月くらいお休みになるんじゃって……その間のご飯が大変になるからリディア達以外が用意したものでも少しでも食べれるようになったら……! ダグもラギアスもお仕事あるから僕のご飯に気をとられるのは申し訳ないし……僕も頑張る!!
しばらく馬車が走り、デートするところに近づけばリディアに帽子をかぶらされた。髪の毛は低い位置で1つに縛ってコートの中へ。そのままフードも被れば完璧!
「行ってらっしゃいませ。ユキ様、こちらは陛下からです。お好きなだけ使って良いとのことです。ご無理はなさらないように、何かございましたらダグラスに言うのですよ」
「うん、ありがとう!! 行ってきます!」
今回もずっしりと重たいお財布を渡されました。ポシェットに大事にしまっておきます。ちゃんと自分のお金も持ってきてるよ!! ダグへのプレゼント買って、騎士さんへのお酒の手配をしなくては……!
馬車を降りるのはダグから。先に降りて手をスッと出してエスコートしてくれるのです! かっこいい!
降りたらもちろん手を繋いで歩きます。ゆらゆらと繋いだ手を揺らしながらウキウキです。
「早速フルラがあるぞ」
「わぁ! 買わなくちゃ!」
フルラから始まるデート! 前と一緒でなんだかワクワクしちゃうね!
「とりあえず前と同じ量でいいか?」
「うん!」
「わかった。すまない、3掬いくれるか」
「かしこまりました、900ギルです」
「ちょうどある」
またダグが払っちゃった! 予想してたからお財布出してたのに……僕の手を遮ってダグがパパッとお会計を済ませちゃいました。
「ありがと、ダグ。でもダグはお金使いすぎだと思う!」
「これくらいなんの問題もない。妻に金を出させる情けない夫にしないでくれ」
「ダグは情けなくなんかないもん」
常にかっこいい僕の自慢の旦那様です。あ、可愛い時もあるよ! でもダサいって思ったことは一度もないような? フィルターかかってるのかなぁ。いやいや、ダグはかっこいいもん!
「つま……? おっ、と……?」
僕とダグを交互に見ながら目を白黒させてる店員さん。明らかに12歳くらいの身長の僕と年齢通りの見た目のダグが夫婦ってことに違和感しかないようだ。
ちょっとまずくないかなこれ……
「妻は遠い国の背の低い一族の人間でな。背は低いがちゃんと成人している」
「そ、そうだったんですね! たしかに他国には小柄な方が住んでいる集落があると聞いたことがあります!」
ダグナイス!! そんな集落があるなんて知らなかったけどごまかせてよかった!!
「こちらお品物になります。どうぞお幸せに!」
「ありがとうございます」
フルラが入った紙袋を受け取り、ルンルンとまた歩きだす。デートが強制終了にならなくてホッとしました。
「ダグありがとね。バレなくてよかった」
「そうだな。俺も今日を楽しみにしていたからなんとしてでも強制終了は阻止したいところだ」
そっかぁ、ダグも楽しみだったんだ! 僕もすっごく楽しみにしてたからダグも同じ気持ちで嬉しいです! あまりの嬉しさに思わず腕にぎゅーっとしがみつく。
「……フルラ食べるか?」
「食べる! 食べさせて?」
「わかった」
少し……いや、かなり心配そうなダグが袋から1つフルラを取り出し、ゆっくりと僕の口元へ運んでくる。ダグの指につままれたフルラから嫌な感じは全くしない。問題なく食べられると思う。
そっとヴェールを口元だけ上げるとさらに近づいてきたフルラをパクリ。優しい甘みが口の中にふわりと広がった。
「美味しい!」
「そうか、よかった」
そう言ったダグは本当にホッとした様子で。僕もちょっと嬉しくなった。
たったこれだけのことだけど、僕にとっては結構大きな一歩で。ダグもずっと気にかけてくれてたから、僕が外で買った物を食べられたのは結構安心できたんじゃないかなって。こうやって少しずつトラウマを克服できたら嬉しいな!
フルラを食べながらゆっくりと街を歩く。賑わっているけれど平日だから人でいっぱいってわけでもなくて、割とのんびり歩けます。前に行ったところとはまた違った趣で、こっちの方がワイワイしてるかな? ガヤガヤしてるわけではないけど、弾き語りをしている人や大道芸をしている人がチラホラいて、笑顔が溢れている街っていうイメージです。
「ここもいいところ! 見てるだけで楽しいなぁ」
「ここは前行ったところよりも一般市民向けなんだ。その分賑やかだろう?」
「うん! なんだか僕も歌いたくなっちゃう」
「ユキの歌声が聴けるなら俺はいくらだって払うぞ」
「……僕歌わない」
僕別にチップが欲しいわけじゃないもん! ダグなら平気で大金をポンと出しそうだから歌わないことにします。
「残念だ。帰ったらいつか聞かせてくれ」
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