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After Story
楽しいお出かけと
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授業を受けて放課後はサダン君に部活を案内してもらって……って過ごしているうちに土曜日になった。ついに街に行く日です。少しだけ早起きした僕は着替えさせてもらった後にウキウキと髪飾りを選ぶのだった。
ダグがくれたものやリディアが用意したもので僕の髪飾りは随分と多くなった。ロイ達もくれたりするしね。だからこそ選ぶのが大変なんだけども……なんとなく直感で2つに絞りました。その2つを手にとってじーっと見比べてみるけれどどっちがいいか決めきれず、結局ダグに聞くことに。
「ダグ、ダグ。こっちとこっち、どっちがいいかな?」
あ、もちろん遮音結界張ってますよ。もう日課になってるのです。だから部屋の中ならダグって呼んでも問題ないしダグも僕に敬語使わなくてOKなのです。魔法具は……まだ出来てないのです……えっちの時困るからすぐにでも作りたいんだけど……なかなかうまくいかないのです……ダグったら手加減してくれないから声抑えるの大変なの……! いや、一応お金持ちの学園なだけあって寮の防音は結構しっかりしてるんだけどさ……やっぱり気になるじゃん!
「どっちも良く似合うが、服やカフとのバランスを考えるとこっちだな」
「じゃあこっちにする! リディアお願い!」
「かしこまりました」
ブラシを片手に微笑んだリディアはいつものごとくささっと梳かしてあっという間に綺麗な髪型にしてくれた。今日は三つ編み混じりのハーフアップです。服にしっかりマッチしててやっぱりダグとリディアのセンスに任せておいたら間違いないなぁって思いました。
え? 僕のセンス? 悪くはないけど地味、らしいです。だってダグとリディアが選ぶものって煌びやかなんだもん。日本じゃそういうのって着なかったからイマイチわかんないんだもん。だから僕が自分で選ぶ時はリディアが合わせてくれたセットで着るか、1個選んで他を合わせてもらってるよ。
「ではお食事にいたしましょうか。本日の朝食はユキ様のお好きなチーズリゾットですよ」
「やった!!」
とろとろのチーズリゾット! 大好きです! ダグに食べさせてもらったらもっと美味しいんだけど、そうしたらついついイチャイチャモードになって時間を忘れちゃうので今日は自分で食べます。
しっかり堪能しつつ朝ごはんを食べて少ししたら寮の入り口へ。今日の待ち合わせ場所なのです。でもつい楽しみすぎて早く部屋を出てしまったから待つことになるかなぁ……と思っていたら意外にもサダン君は早くあらわれまして。
「おはようサダン君!」
「ったく……やっぱりか。昨日のユーキが明らかに楽しみそうにしてたから早く来るんじゃないかって思ったんだよ。俺も早く出てきてよかった」
「う……ごめんね、サダン君」
まさか気を遣われたとは……有り難いけど申し訳ないね。だって待ち合わせ時間を決めた意味ないもん。次からはちゃんと時間通りにします……
「ま、いいよ。早く出た分色々見れるしな」
「……うん!」
「んじゃ行くか!」
街までは学園から出ている馬車を使います。申請したら自由に乗れるらしくて、今回はサダン君が申請してくれていたのです。帰りは乗り合いの馬車を使うか、時間と場所を指定していたら学園から迎えの馬車が来てくれるらしい。さすがお金持ちの学園だね。
サダン君と馬車に乗り込み、お喋りしながらガタゴトと揺られる。それなりにスプリングが効いているのかあまり振動はないけれど、今までに乗っていた馬車よりは振動がある。あとマジックミラー仕様じゃないみたいです。その代わりしっかりとしたカーテンがついてるけどね。
「部活は決まったか?」
「うーん、やっぱり魔研かスイーツ同好会かで迷ってるの」
他にも天文部とか薬草研究会とかいろいろ見せてもらったんだけど、やっぱり魔法研究会とスイーツ同好会の雰囲気とかが好きで、どっちがいいかなぁって迷い中です。土日中に決めて月曜からでも参加したいんだけど……
「掛け持ちはどうだ? 活動日確か被ってないだろ」
「うー……それ考えたんだけど体力がもたないだろうって言われちゃって……」
ちらりとダグとリディアに視線をやれば納得された。
「確かに。決めきれないようなら1週間ずつくらいで体験入部したらどうだ? 期間外だけど留学生ってことでいけるだろ」
「出来るの?」
「本来なら入学式が終わってから4月中いっぱいくらいまでに仮入部期間があるんだ。その間は自由に行ったり来たりしてOKでな」
「……決めきれなかったらそうする!」
「おう、そうしな」
そうこうしているうちに街についた。ガヤガヤと賑わっていて活気のある街は新婚旅行で行った港町の市場を思い出させます。
「逸れるなよ」
「逸れないもん! ね、ね、どこ行くの?」
「まずはあっちだな」
「わーい!」
サダン君が示した方は雑貨だとか服だとかのお店が並ぶ通りだった。装飾品のお店とかもあって見応えがありそうです。
「向こうは昼頃な」
「うん!」
向こう、というのはお肉の串焼きだとかピタパンサンドだとか色んな食べ物を売っている屋台が並んでいる通り。美味しそうな匂いが漂っていてしっかり朝ごはんを食べてきたのにお腹が空きそうです。お昼まで我慢我慢……
「よし、片っ端から行くぞ!」
「おー!」
サダン君のオススメのお店を中心に気になったお店をはしごしているうちにあっという間にお昼時に。楽しいと時間が過ぎるのが早いのはいつものことだね。でも沢山見れたので良しとしましょう。いい物も買えたし!
例の屋台の通りに戻ってくると、お昼時なこともあって人でごった返していた。屋台のおじさん達はみんな忙しそうだけど慣れたようにお客さんをさばいてます。プロだね。
「やっぱ人多いな。ユーキちっこいから逸れそうだ」
「逸れないってば!」
僕19歳だもん! 言えないけど19歳だもん!! サダン君より年上なんだからね。え? 年齢というより身長が問題? ……うぅ、何も言い返せない……
「はは、冗談だ。ま、気をつけるに越したことはないから気をつけろよ」
「はぁい」
「んじゃ、まずはあの串焼き食うぞ!」
「うん!」
いっぱい食べるぞ!
──って意気込んだんだけども……
「ど、どうしよう……」
「あー……道はわかるが……これだけ人が多いと入れ違いになりそうだし大人しくしてようぜ。その内ラグルス達が迎えに来てくれるだろ」
「そ、そうだよね」
うぅ、ダグにあれだけ逸れるなって言われてたのに逸れちゃったのです……いや、逸れるつもりはなかったんだよ? でもね、人波に揉まれて揉まれて、あっという間に離されて……そのまま流されて現在に至ります。焦った表情で手を伸ばしたダグが頭から離れません。
不幸中の幸いは土地勘のあるサダン君も一緒に流されたことかな。もしもいつまでたってもダグ達と合流できなければサダン君と学園へ戻ることもできるからね。見つからないってなったらダグ達の内の誰かしらが学園へ様子を見に来たりするだろうし。
とりあえず逸れたら動かないのが迷子の鉄則。今は大人しく迎えを待ちましょう。
……なんて思ってる時に限って悪いことっていうものは起こるもので。
「おやおや、こんなところに身なりのいい坊ちゃんが2人も」
「おまけに見目がいいときた。いいねぇ……」
突然現れた2人組は明らかにまともではない雰囲気を纏っていた。品定めするような視線にゾクリと来て、身の危険を感じた僕は麻痺を展開────
「悪いな、坊主」
「ユーキッッッ!!!」
────しまった、3人組だった……
気付いた時にはもう遅く、首に衝撃を受けた僕は焦ったサダン君の表情を最後に意識を飛ばした。
ダグ、助けて────
ダグがくれたものやリディアが用意したもので僕の髪飾りは随分と多くなった。ロイ達もくれたりするしね。だからこそ選ぶのが大変なんだけども……なんとなく直感で2つに絞りました。その2つを手にとってじーっと見比べてみるけれどどっちがいいか決めきれず、結局ダグに聞くことに。
「ダグ、ダグ。こっちとこっち、どっちがいいかな?」
あ、もちろん遮音結界張ってますよ。もう日課になってるのです。だから部屋の中ならダグって呼んでも問題ないしダグも僕に敬語使わなくてOKなのです。魔法具は……まだ出来てないのです……えっちの時困るからすぐにでも作りたいんだけど……なかなかうまくいかないのです……ダグったら手加減してくれないから声抑えるの大変なの……! いや、一応お金持ちの学園なだけあって寮の防音は結構しっかりしてるんだけどさ……やっぱり気になるじゃん!
「どっちも良く似合うが、服やカフとのバランスを考えるとこっちだな」
「じゃあこっちにする! リディアお願い!」
「かしこまりました」
ブラシを片手に微笑んだリディアはいつものごとくささっと梳かしてあっという間に綺麗な髪型にしてくれた。今日は三つ編み混じりのハーフアップです。服にしっかりマッチしててやっぱりダグとリディアのセンスに任せておいたら間違いないなぁって思いました。
え? 僕のセンス? 悪くはないけど地味、らしいです。だってダグとリディアが選ぶものって煌びやかなんだもん。日本じゃそういうのって着なかったからイマイチわかんないんだもん。だから僕が自分で選ぶ時はリディアが合わせてくれたセットで着るか、1個選んで他を合わせてもらってるよ。
「ではお食事にいたしましょうか。本日の朝食はユキ様のお好きなチーズリゾットですよ」
「やった!!」
とろとろのチーズリゾット! 大好きです! ダグに食べさせてもらったらもっと美味しいんだけど、そうしたらついついイチャイチャモードになって時間を忘れちゃうので今日は自分で食べます。
しっかり堪能しつつ朝ごはんを食べて少ししたら寮の入り口へ。今日の待ち合わせ場所なのです。でもつい楽しみすぎて早く部屋を出てしまったから待つことになるかなぁ……と思っていたら意外にもサダン君は早くあらわれまして。
「おはようサダン君!」
「ったく……やっぱりか。昨日のユーキが明らかに楽しみそうにしてたから早く来るんじゃないかって思ったんだよ。俺も早く出てきてよかった」
「う……ごめんね、サダン君」
まさか気を遣われたとは……有り難いけど申し訳ないね。だって待ち合わせ時間を決めた意味ないもん。次からはちゃんと時間通りにします……
「ま、いいよ。早く出た分色々見れるしな」
「……うん!」
「んじゃ行くか!」
街までは学園から出ている馬車を使います。申請したら自由に乗れるらしくて、今回はサダン君が申請してくれていたのです。帰りは乗り合いの馬車を使うか、時間と場所を指定していたら学園から迎えの馬車が来てくれるらしい。さすがお金持ちの学園だね。
サダン君と馬車に乗り込み、お喋りしながらガタゴトと揺られる。それなりにスプリングが効いているのかあまり振動はないけれど、今までに乗っていた馬車よりは振動がある。あとマジックミラー仕様じゃないみたいです。その代わりしっかりとしたカーテンがついてるけどね。
「部活は決まったか?」
「うーん、やっぱり魔研かスイーツ同好会かで迷ってるの」
他にも天文部とか薬草研究会とかいろいろ見せてもらったんだけど、やっぱり魔法研究会とスイーツ同好会の雰囲気とかが好きで、どっちがいいかなぁって迷い中です。土日中に決めて月曜からでも参加したいんだけど……
「掛け持ちはどうだ? 活動日確か被ってないだろ」
「うー……それ考えたんだけど体力がもたないだろうって言われちゃって……」
ちらりとダグとリディアに視線をやれば納得された。
「確かに。決めきれないようなら1週間ずつくらいで体験入部したらどうだ? 期間外だけど留学生ってことでいけるだろ」
「出来るの?」
「本来なら入学式が終わってから4月中いっぱいくらいまでに仮入部期間があるんだ。その間は自由に行ったり来たりしてOKでな」
「……決めきれなかったらそうする!」
「おう、そうしな」
そうこうしているうちに街についた。ガヤガヤと賑わっていて活気のある街は新婚旅行で行った港町の市場を思い出させます。
「逸れるなよ」
「逸れないもん! ね、ね、どこ行くの?」
「まずはあっちだな」
「わーい!」
サダン君が示した方は雑貨だとか服だとかのお店が並ぶ通りだった。装飾品のお店とかもあって見応えがありそうです。
「向こうは昼頃な」
「うん!」
向こう、というのはお肉の串焼きだとかピタパンサンドだとか色んな食べ物を売っている屋台が並んでいる通り。美味しそうな匂いが漂っていてしっかり朝ごはんを食べてきたのにお腹が空きそうです。お昼まで我慢我慢……
「よし、片っ端から行くぞ!」
「おー!」
サダン君のオススメのお店を中心に気になったお店をはしごしているうちにあっという間にお昼時に。楽しいと時間が過ぎるのが早いのはいつものことだね。でも沢山見れたので良しとしましょう。いい物も買えたし!
例の屋台の通りに戻ってくると、お昼時なこともあって人でごった返していた。屋台のおじさん達はみんな忙しそうだけど慣れたようにお客さんをさばいてます。プロだね。
「やっぱ人多いな。ユーキちっこいから逸れそうだ」
「逸れないってば!」
僕19歳だもん! 言えないけど19歳だもん!! サダン君より年上なんだからね。え? 年齢というより身長が問題? ……うぅ、何も言い返せない……
「はは、冗談だ。ま、気をつけるに越したことはないから気をつけろよ」
「はぁい」
「んじゃ、まずはあの串焼き食うぞ!」
「うん!」
いっぱい食べるぞ!
──って意気込んだんだけども……
「ど、どうしよう……」
「あー……道はわかるが……これだけ人が多いと入れ違いになりそうだし大人しくしてようぜ。その内ラグルス達が迎えに来てくれるだろ」
「そ、そうだよね」
うぅ、ダグにあれだけ逸れるなって言われてたのに逸れちゃったのです……いや、逸れるつもりはなかったんだよ? でもね、人波に揉まれて揉まれて、あっという間に離されて……そのまま流されて現在に至ります。焦った表情で手を伸ばしたダグが頭から離れません。
不幸中の幸いは土地勘のあるサダン君も一緒に流されたことかな。もしもいつまでたってもダグ達と合流できなければサダン君と学園へ戻ることもできるからね。見つからないってなったらダグ達の内の誰かしらが学園へ様子を見に来たりするだろうし。
とりあえず逸れたら動かないのが迷子の鉄則。今は大人しく迎えを待ちましょう。
……なんて思ってる時に限って悪いことっていうものは起こるもので。
「おやおや、こんなところに身なりのいい坊ちゃんが2人も」
「おまけに見目がいいときた。いいねぇ……」
突然現れた2人組は明らかにまともではない雰囲気を纏っていた。品定めするような視線にゾクリと来て、身の危険を感じた僕は麻痺を展開────
「悪いな、坊主」
「ユーキッッッ!!!」
────しまった、3人組だった……
気付いた時にはもう遅く、首に衝撃を受けた僕は焦ったサダン君の表情を最後に意識を飛ばした。
ダグ、助けて────
応援ありがとうございます!
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