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【04】
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突然に現れた旧友に戸惑う結希をアキヒロは半ば強引に自室へ案内させる。
アキヒロを自室へ案内した後、結希は台所からジュースとお菓子を持ってきた。
アキヒロが待つ部屋へと入った途端、結希の目の前に不可思議な文様と輝きが目に入る。
そうして、結希は寝起きの様な呆けた顔で棒立ちになった。
「凄いぞ…っ!!成功したっ!…よなっ!?」
呆けて起立している結希の姿を前にして、アキヒロは歓喜の声を上げた。
「あっ!!早く指示しないと、催眠が解けちゃう…っ!!」
アキヒロは、アプリの取説にあった【命令待ち時間】が、1分間の制限であった事を思い出す。
催眠状態になった結希の姿を見て、すっかりアキヒロは舞い上がっていた。
ここに来るまでに熟考してきた段取りが、完全に彼の脳内から掻き消えている。
演劇の舞台でセリフを忘れた俳優の様に、アキヒロは軽いパニックに陥って慌てた。
催眠指示を待つ時間が1分間という制限も、彼の焦りを助長する。
「あ、ぁ...っ、ユ、結希っ!!」
「あっと、お前は俺の事が、好き…っ!!」
しどろもどろにアキヒロは結希へ告げる。
「ヴぁ!?ぃゃ、違くてっ!!」
アキヒロの脳内にあった計画は、ドミノ倒しの様にバタバタと崩れた。
「ぁ~…っ、セックスっ!!そうだっ!お前は俺とセックスしたくて堪らなくなるっ!!」
これが脳内で散乱した残骸から、なんとか取り出せたセリフだった。
「…エットッ…わかった…?」
恐る恐るアキヒロは結希の顔色を伺う。
だが、結希は呆然としたままで、立ち尽くして居る。
"…失敗した…かな…?"
結希を見て、半ばアキヒロは計画失敗を覚悟した。
何の反応も返さない結希の前髪へアキヒロは触れてみる。
結希の前髪を止めていたヘアクリップを外す。
サラリッとボブショートの前髪が流れ、アキヒロの指先は結希の白い額へと触れた。
「なぁ、結希?」
「俺の事…、わかるよね?」
あまりに魂が抜けた様な表情の結希が心配になり、小さく囁く様に声かけしてみる。
アキヒロの背筋に蛇が這う様な、ゾロリッとした冷たい物が駆け下りた。
"…催眠、失敗…?"
足元まで流れ落ちた冷たい感覚は、アキヒロの足元から体温を奪って行く。
"どうやって、ごまかす…?"
"もし、催眠を仕掛けたと結希に気づかれたら…?"
"警察?学校?親?"
"捕まる?前科1犯?"
"…どうする?"
アキヒロの脳内を断片的な思考がグルグルと回る。
催眠状態にして、セックスを強制する。
相手にバレなければ、大した事は無い。
アキヒロは、そう楽観視していた。
アキヒロを自室へ案内した後、結希は台所からジュースとお菓子を持ってきた。
アキヒロが待つ部屋へと入った途端、結希の目の前に不可思議な文様と輝きが目に入る。
そうして、結希は寝起きの様な呆けた顔で棒立ちになった。
「凄いぞ…っ!!成功したっ!…よなっ!?」
呆けて起立している結希の姿を前にして、アキヒロは歓喜の声を上げた。
「あっ!!早く指示しないと、催眠が解けちゃう…っ!!」
アキヒロは、アプリの取説にあった【命令待ち時間】が、1分間の制限であった事を思い出す。
催眠状態になった結希の姿を見て、すっかりアキヒロは舞い上がっていた。
ここに来るまでに熟考してきた段取りが、完全に彼の脳内から掻き消えている。
演劇の舞台でセリフを忘れた俳優の様に、アキヒロは軽いパニックに陥って慌てた。
催眠指示を待つ時間が1分間という制限も、彼の焦りを助長する。
「あ、ぁ...っ、ユ、結希っ!!」
「あっと、お前は俺の事が、好き…っ!!」
しどろもどろにアキヒロは結希へ告げる。
「ヴぁ!?ぃゃ、違くてっ!!」
アキヒロの脳内にあった計画は、ドミノ倒しの様にバタバタと崩れた。
「ぁ~…っ、セックスっ!!そうだっ!お前は俺とセックスしたくて堪らなくなるっ!!」
これが脳内で散乱した残骸から、なんとか取り出せたセリフだった。
「…エットッ…わかった…?」
恐る恐るアキヒロは結希の顔色を伺う。
だが、結希は呆然としたままで、立ち尽くして居る。
"…失敗した…かな…?"
結希を見て、半ばアキヒロは計画失敗を覚悟した。
何の反応も返さない結希の前髪へアキヒロは触れてみる。
結希の前髪を止めていたヘアクリップを外す。
サラリッとボブショートの前髪が流れ、アキヒロの指先は結希の白い額へと触れた。
「なぁ、結希?」
「俺の事…、わかるよね?」
あまりに魂が抜けた様な表情の結希が心配になり、小さく囁く様に声かけしてみる。
アキヒロの背筋に蛇が這う様な、ゾロリッとした冷たい物が駆け下りた。
"…催眠、失敗…?"
足元まで流れ落ちた冷たい感覚は、アキヒロの足元から体温を奪って行く。
"どうやって、ごまかす…?"
"もし、催眠を仕掛けたと結希に気づかれたら…?"
"警察?学校?親?"
"捕まる?前科1犯?"
"…どうする?"
アキヒロの脳内を断片的な思考がグルグルと回る。
催眠状態にして、セックスを強制する。
相手にバレなければ、大した事は無い。
アキヒロは、そう楽観視していた。
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