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月子の取扱説明書
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しおりを挟む「…………」
「やけに遅かったな。報告は?どうした、犯人と戦闘になったか?」
突然シュンッとライトの背後に姿を現したシャノンは、遅かった割にはどこも怪我をしていない。戦闘、というわけではないようだ。
「…………わからない。覚えてないんだ……ごめん……」
うつむき誰とも目を合わそうとしないシャノンは、現場に到着してからのことを全て忘れてしまっていた。
ただかすかに覚えているのは、到着した時にはまだ卵は壊されていなかったということ。リンクスもハウンドもいなかったという。
ただし、代わりに何者かがいた。そこからの記憶は完全に抜け落ち、次に気付いた時には遠く離れた森の中だった。
一体何が起こったのか?自分がどこにいるのか?状況が何もわからなかったため戻ってくるまでに時間がかかってしまったのだという。
シャノンは、確実に犯人に会っている。なのに忘れてしまっているということは、犯人は記憶を消せるということ。人間ではない確率が極めて高くなった。
「そんなに自分を責めないで。今回初めて、前に進んだよ。だからもう今日は帰って休もう。カラスが何か情報を仕入れているかもしれないしね?」
「…………」
「おぉー、主はわいに負けへんくらいポジティブやなー。ほな、わいは先に帰るでー。読みかけの漫画がわいを待っとるんやーっ!」
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