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伍号
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しおりを挟む普通の蹴りのようだったのに、その威力は絶大で外壁が大きく深く陥没しライトの体が埋め込まれている。気を失ったのか?動かない。
「くそっ」
さらに落下することなく空中に立っている黒い影が拳を振り上げ、とどめを刺そうと壁のライトへ拳を振り下ろした。
とんでもない爆発音が轟きビルが傾き崩れる。が、その拳の先にライトの姿はない。
「ライトッ!!しっかりしろ、おいッ!」
衝撃的な光景に思考が停止していたヒロキが手を振り、その能力でライトの体を自分の腕の中に神速といえるほどのスピードで移動させた。
有り得ないのだ。特殊中の特殊能力を持っているライトがここまで押されるのは。ハクト以上に弱いといえど、有り得ない。絶対に。
だから3人は困惑した。怯えた。ライトが相手をしていた人の形をした黒い影に。あれは一体、何なんだ?
黒い影はビルの壁から腕を引き抜き首をかしげるしぐさをすると、3人を見下ろした。見下ろして、ゆっくりゆっくりと降りてくる。
ライトは……気を失ったまま目を覚まさない。ビルの中でずっと戦闘していたのか、体のあちこちに怪我を負っていて血が流れている。
ライトが負傷している姿を、3人は初めて見た。ここまで攻撃を受けているということはライトの特殊能力を上回る特殊能力を持っている相手、もしくは、わざとライトが攻撃を受けたか。
「ヒロキ。ここはわいに任せて、ハクトとライト連れて早う逃げ。ハウンドはおらんなったし、逃げる時間くらいやったら大丈夫や」
「けどアイツ、たぶん俺と同じ能力だと思うぜ?大丈夫かよ?」
空中浮遊できるあたり、あの黒い影はヒロキと同じ能力か、もしくはそれによく似た性質の能力を有しているに違いない。
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