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参号
16P
しおりを挟むレンマは「大丈夫や」と何度も優しく囁きながら、少女の白く小さい震える手を取るとチユニの頬に触れさせた。見えるわけでもないのに、少女は不安そうにレンマを見上げる。
「もう大丈夫や。わいらは皆仲間や、お兄さんお姉さんが8人もおるんやで。ほら、これがわいらの主、チユニさんや。わかるやろ?」
「初めまして。気づけなくてごめんなさい。今から私が君を責任を持って守るよ。うん、何も怖くない。だから一緒に帰ろう?私達の家に……」
心を落ち着かせ、深呼吸をしたチユニは微笑んだ。すると少女の小さな手がチユニの顔をなぞるように撫で、口元へいくと笑っているのがわかったらしい、表情が和らいだ。
そのまま少女の手は顔を這い回り、手の感覚でチユニの顔を覚えていく。人間でも、目の見えない人はたまにする行為のようだ。
少女の手はチユニから離れると、今度はレンマの顔に伸ばされた。が、すかさずライトが優しくつかんだ。
「とりあえず帰ろうか?街はまたいつ敵が現れるかもしれない。お風呂に入って温かくして栄養も摂って。落ち着いたら自己紹介もしなきゃいけないし、君の名前も早々に決めたいからね」
ん、今、ちょっと残念そうな顔をしたか?眉間に小さいしわを寄せた少女は渋々手を下ろし、再びレンマにしがみつく。
レンマと少女を中央に、左右にチユニとライトが並ぶ。前後左右を他の月子達が囲み、一行は月子研究所へと戻っていった。
やっと、待ちに待った10番目の月子だ。もう失うわけにはいかない。
チユニとルカとレナでお風呂に入れ、新しい服を着せて。震えは治まり顔色も良くなったので。
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