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神楽とチユニ
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しおりを挟む「…………でも、体の衰えだけでこの世界を神のものにしようとなんかするのかい?」
「体の衰え?違う違う、本当にチユニさんは神楽さんのことをわかっていない。鈍感なんじゃなくて、無意識に気付かないふりをしていたんじゃないの?」
「っ、そんな、私は……!」
カラスの言葉はチユニの心に深く深く突き刺さった。さらに奥へと埋め込まれ、中を抉る。他人に言われてようやくわかることはある。
チユニは本気で、無意識に神楽から目を反らしてしまっていたのかもしれない。否、自覚してしまった。
神楽がここまで闇に染まってしまった元凶は自分にあるのではないのか?そうだったら何をした?何を言ってしまった?思い出せない。そんなチユニに、カラスは溜め息を吐いた。
「じゃあ、チユニさんが知ってる神楽さんってどんな人?教えてよ」
「私が知っている、神楽君は――」
チユニと神楽は従弟同士だ。チユニの父親が神楽の父の兄で、2つの家族は何かと対立し合う科学者の家系だった。
幼い頃から優秀な科学者になるべく育てられてきた2人はいつも比べられ、しかし当人達はそんなのおかまいなしで大層仲良くしていた。
というのも、チユニが昔からこの性格だったため、高校を卒業するまでは親の言うことを聞く良い子を演じてきたのだが。
卒業と共に親の後を継がずに独立。同じ境遇の幼なじみだった神楽と共に家出し、一緒に暮らしてきた。
バイトをしながら大学に通い、助け合いながらの生活が続き、チユニが大学を卒業し月のゆりかごに入社した頃。
後を追うように同じ大学に進学し、神楽もまた月のゆりかごを目指す。そして4年後、入社。その頃にはチユニは才能を完全開花させ、すでにかなり出世していた。
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