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アイデンティティ
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しおりを挟むおい、10年前の俺達。どんだけ深く埋めたんだ?50センチ以上は掘ったにもかかわらず、スコップはガキンッ!と言わずにどんどん掘り進んでいく。
少し横に掘り広げてみても、やっぱり何もない。ここじゃないのか?庭の手入れはしていないし、誰かが掘り起こしたとは考えられない。
じゃあなぜだ?考えろ、俺。そうだ、これを埋めたのはたしかマリアンだった。忘れねぇようにメモを書こうと紙とペンを取りに行っていて。
で、俺が戻ってきた時にはすでに埋め終わっていてマリアンがあのバツ印を石でガリガリ書いていたんだ。
そのメモ書きはどこへ行った?まぁいいか。つまり…………ここには埋めていない!
「こっちだッ!!」
当時のマリアンのことを考えると、素直に印の下に埋めるとは思えない。おそらくはバツ印、の真裏だ。掘った穴はそのままに裏に回り全力でスコップを振り下ろす。
ガッキィンッ!いや、早くねぇか?まだ掘ってすらいない、スコップを刺しただけなのにガッキィンッ!ってなぁ。
手が痺れたぞ。後ろで「あー、見つけちゃった」なんて聞こえた。ほう、あとで仕置きをする必要がありそうだな?
地表から15センチくらいとかなり浅いところにそれはあった。空気に触れていないからかほとんど錆びていない、アルミの筒状の容器。
鍵はついていなく、土まみれの軍手を外しフタをひねりながら顔を輝かせているマリアンの元へ。
「なんだ、紙ばっか……これはお決まりの手紙か。あとは?何だこれ、テスト……?」
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