ユキ・シオン

先生に拾われました

１１Ｐ

「あー……そういうことは彼女にでもしてやりなさい。オジサン相手にするんじゃない」


「え、そうなのか？ばっちゃんは食うのが下手だから、家ではよくやってたんだけどな。嫌な思いさせちまったんなら悪い、もうしねぇから」


　おいおい、この子は俺を何回驚かせれば気が済むんだ？彼女にもされたことがないぞ。したこともなかったけど。


　キョトンと首を傾げ、バツが悪そうにモグモグ。ミルクなし、砂糖だけが入ったコーヒーをすすって目を窓に向ける。


　自分からするのはいいのに、自分がそういうことをされるのは恥ずかしくて嫌なのかい。変な子だねぇ。


　ばっちゃん、か。綺麗に布団がたたまれてシーツのしわも伸ばされていたし、料理が上手い感じからして両親が共働きのおばあちゃんっ子か。


　早く自分で全部できるようにならないといけないような生活だったのか。シングルか、はたまた両親ともにいないのか。


　この子の家庭内環境がどんななのかはわからない。けれど、この子は金のために体を売っている。


　この前保健室で寝ていたのも、もしかして前日に遅くまで商売をしていて寝不足だったからか？そこまでしてでも金が必要なのか？


　遊ぶための金なら、そんな物欲のあるような子に見えないんだけど。どっちかというとマメに貯金するような感じに見えるし。


「シオンはさぁ、バイトはしてないの？ヤバい方じゃなくて、普通のアルバイト」


「してる。猫…………チッ。猫カフェで、大学が休みの日は全部。それでも足りねぇから、ネコヒメやってる」