ユキ・シオン

那月

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先生に拾われました

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 なんだ、普通のバイトもしているのか。安心したけど、それでも金が足りないって。親の借金でも肩代わりしているのか?ちょっと先生、本気で心配になってきたよ。


 そしてなぜ舌打ちをした?バイト先が猫カフェなんて、恥ずかしくて言いたくなかったけれど口が滑ってしまったとか?


 ん、猫カフェ?いや、彼女に無理矢理連れられてこの前の休みに、この近くの猫カフェに行っていたんだ。


 その時にこの子の姿は見ていない。その日は大学は休みだったし、大学の休みにシフト組んでいるんなら別の猫カフェか?


「お前の金銭事情は聞かないでおくな。なんか恐ろしくて。というかどうせ聞いても、絶対に教えてくれないんだろう?」


 一瞬の真顔。顔を背けてツーン。そうかそうか、可愛くないな。


「嫌いってわけじゃあないが、オジサンはネコが苦手なんだ。けどこの前、知り合いに連行されて初めて猫カフェに入ってさぁ」


 あ、聞いてない。食べるのに必死で全然聞いてませんよアピールしているけどそれ、ちゃんと聞き耳立てているよねぇ?


 愛想は悪いけれど、礼儀はちゃんとしているし思いやりもある。根は優しいんだよ、シオンは。ただ、素直になれないだけ。


 俺も食べ進めながら、視線を外してなおも話を続ける。


「ちょっと変わった、面白い猫がいてね。もしよかったらシオンも連れていってやろう――」


「行かねぇ。ネコは嫌いだ。あ……ね、猫カフェのバイト、裏方だから……」


 あの猫カフェにいた白猫と、デートの帰り道で出会い家の近くまで道案内してくれた不思議な白猫の話をしようと思ったのに。


 シオンなら「嘘が下手だな」って笑ってくれると思ったのになぁ。


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