ユキ・シオン

那月

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先生に拾われました

13P

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「そっか、ごめんね。……あーあぁ。上手いこと誘って、シオンの連絡先をゲットしようと思ったのに。失敗したなぁ」


「あんた、俺に関わりたがり過ぎ。キモイ。変態。ストーキングしやがったら警察に通報してやる」


 うっ。素晴らしい言葉の暴力に完敗。頼むから、本気のドン引きの目で見ないでください。オジサン、地味に傷つくから。


 ……それにしても、嘘が下手だな。


 ネコヒメの噂を聞いて、商売を立ち聞きしていただけのあの頃は、ただ金が欲しいだけのクソガキだと思っていた。


 でも信じていた男に罠にはめられて、傷つけられて。いざ拾ってみたら案外普通の男の子で。


 普通じゃないのは、金への異常な執着。何か深い事情を抱えているのは、この子の表情を見ていればわかる。嘘が下手だから、本当が顔に出る。


 何をそんなに1人で抱え込んでいる?


 大人の手を借りられないことなのか。なら、普通の大人じゃあない俺なら?この子の、シオンの力になりたい。


 無意識の偽善だったとはいえ助けて、1日一緒に過ごして。どうにも放ってはおけなくなった。目が離せなくなっていた。


 どこか、自分に似ているものを感じる。


 誰の手も借りない。他人に嘘を吐き続けて、自分にも嘘を吐いて、最後には自分が壊れる。シオンがそうなってしまう未来が、俺には見える。気がする。


 そんなのだめだっ!辛いのも苦しいのもわからなくなる未来を、シオンには迎えてほしくない。守りたい。俺がシオンを守りたい。


 ……なんて。この子に、この世界にも大きな嘘を吐いている俺が言えたことじゃあないな。



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