ユキ・シオン

待ち望んでいた

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　あんな酷いことをされて殺されかけても俺、あんたを放っておけねぇんだ。だって直也はネコヒメの客で、シオンの最初の友達なんだからさ。


「お前は優しすぎるよ、シオン。俺は直也を一生許すつもりはない」


「その直也じゃが。シオン君が擬人化種だと知られただけならば記憶を消してしまえばよい話なのじゃが、問題はネコヤン君の本性に触れてしまったことじゃ」


「…………やっぱり、記憶を消すだけじゃだめなのか」


「記憶消すって便利だな。じゃなくて、どういうこと？なんで２人とも、そんな難しい顔してんだよ？」


　公園で先生がライガーに変身して直也を襲った時。近くにいた運転手の記憶は消したらしい。直也も、もう色々知りすぎているが記憶を消してしまえば。


　でも、事はそう簡単にはいかないのか。香さんはやっと手を止めて、先生に「教えておらんのか？」と目を向けた。


　何を？ライガーの姿の先生に触れてしまったから、直也の記憶を消すだけではだめだって。先生に何かあるのかよ？


　なら知りたい。先生のこと全部。どんなことでも知りたい。俺は先生を、悠一を愛しているから。


「話せば長くなる、できれば話したくない。お前が知らなくても良いことだし。けど知りたいって言うんだろう？」


「当たり前だろうが。どうせ俺を傷つけるからとかアホなことを考えてるんだろうけどな。この期に及んで隠し事なんか、俺を怒らせるだけだぜ」


「………………わかった。あとで全部話す」


　先生が俺に隠すことなんて想像もつかねぇけど、俺が知って嬉しいとか面白いとか思うようなことじゃねぇってことは顔を見ればわかる。