ユキ・シオン

黒衣のオッサンは誰でもお好き

５Ｐ

「落ち着け。あいつはオオコウモリの擬人化種だ。香さんとは腐れ縁、遊びの関係でもあったらしい。たしか２００歳を回ったらしいけど」


「に、２００歳……１０００年を生きた香さんにとっては若造か。絶倫と絶倫で遊びの関係……」


　けどさ、今はさすがにその関係は終わってるだろ？香さんには緋桜さんって恋人がいるんだし。そうじゃねぇと緋桜さん、ドクトルを殺していそうだもんなぁ。


「おーい、想像するな？モザイクがかかるから。それで、ここからが大事な部分だよ。ドクトルはエッチも吸血も好きだが、特に…………若い子の血が好みなんだよ」


　瞬間、悪寒が走った。２度の悪寒よりもずっと寒い、血の気が引く。お、俺が積極的に狙われるってことかよ。


　思い出してみたらドクトル、「新入りの子猫ちゃんを味見したい」て言ってたもんな。俺ってそんなに美味しそうか？


　今いるメンバーでは最年少、ギリギリ１０代だし。血なんか吸われたことねぇけど、血を吸われるってどんななんだろうな。


　いや、別に興味があるとかじゃねぇぜ？あ、また顔に出ちまってたか。悠一がフルフルフルと首を横に振っているぜ。


「俺も出会った当初は、珍しいからってよく…………麻酔銃を撃たれて監禁されてたんだよ。俺の血を飲んだら体が大きくなるのかとか、力が強くなるのかとか」


「か、監禁……そんな、ファンタジーすぎる発想がよく浮かぶもんだな。そのうち、血じゃあ満足できなくなって肉まで食ったりして」