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黒衣のオッサンは誰でもお好き
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しおりを挟む「いや、オオコウモリは肉は食わない。まぁ今の時代でも、肉食の擬人化種の中には人間の世界で暮らしながら密かに肉を食らうやつがいる……って、聞いたことがある」
肉を食らうとか、冗談だったのに。擬人化種の世界って恐ろしいな。悠一が最後に目を反らしたの、その理由、今は聞かないでいてやるから。
この悠一が、擬人化種で2番目に最強のライガー王が何度か血を吸われているんだもんな。しかも監禁って、マッドサイエンティストかよ。
これは相当、ヤバいやつだ。そんなやつを俺、受け入れちまったのか。
激しく後悔。でも。それでもドクトルは俺と同じ擬人化種の仲間なんだ。怖いからって拒絶したくない。
チラッと、直也の姿が頭の中に浮かんだ。そうだな。直也、あんたのことも友達だって諦めねぇから。
「気を付ける。それでも危なくなったら、悠一が俺を守ってくれよ。信じて期待してやるから」
「シーオーン、俺の話をちゃんと聞いてた?ドクトルは人間の直也とは違うんだって。あぁもう、そんな顔をするなんて卑怯だぞ」
俺は、笑っていた。ついさっきは悪寒が走って青ざめていたのに。俺は笑っている。
おかげで悠一は敗北。つられて「仕方ないなぁ」と、笑った。笑って、頬にキス。顔を向かせて、俺から唇を重ねた。
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