ユキ・シオン

那月

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ハッピーバースデー

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 ドクトルは医学の天才、千川原は薬学の天才、そして高宮は呉服の天才。


 高宮は自分が絶対、他人の意見は一切受け入れない。ゆえに、オーダーメイドとなるといつもこうなる。一方的にしゃべって突き返す。


 シオンの頭のてっぺんからつま先までをしっかり2往復、じっくり眺めて。いつも持っているメモ帳に何かを書きなぐって時計の時間を確認。


 自分は今から用事があるからと、さっさとエレベーターに乗って姿を消してしまった。


 昔、俺の着物を作ってもらった時と全く同じ。あの時俺は、香さんの腕にしがみついていたな。俺の方が年上なのに高宮の威圧がすごかったんだ。


 十代なのに大人の色気があり、確かな知識と接客技術もある。超強気でクッソ生意気。誰も寄せ付けないようなオーラが、ヘタレオッサンの俺にはキツかった。


 というか、見ただけでシオンに似合う着物が作れるなんて。しかも絶対的な自信があるって、本当に才能だよなぁ。


「こ、これで帰るのか?あの人、俺……」


「このビルには販売も兼ねた着物の展示フロアがあるんだよ。一緒に見に行こう。あぁ、あいつはいつもあんな感じだから気にするな」


「ん、おう。俺の着物、作ってくれるんだな。じゃあ…………あの人にも何か差し入れを作ろう。何が好物?」


 あ、いつものシオンに戻った。というかお前、出会った擬人化種全員を餌付けする気か?嬉しそうにしてんのはいいけどな。


 俺には喫茶店風の絶品トースト、香さんにはいなり寿司、ドクトルと千川原には卵焼き。そして、緋桜には最近、大きなハンバーグを作っていた。野菜が苦手なあいつのために、バレないように野菜を混入させて。


 ペロリとたいらげた。しかも「大変美味しかったです」とさ。これに香さんが飛びついた。作り方を教えてほしいと、必死に習っていた。


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