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檻の中から見える景色
8P
しおりを挟む「悪い、香さんに無理させた。こんなになるまで俺の力を引き受けてくれて、おかげで楽になった」
「まさか私まで猫屋敷さんを魅力的だなんて、強く惹きつけられるなんて思ってもみませんでしたよ。姿を取り戻したら、今度はシオン君ッスか?」
ビクッ。
「どうせ、いい雰囲気だったのに些細なことで喧嘩になって逃げられたのでしょう?はぁ、間違ってるんスよ」
何が?完全にアウトな香さんが、大好きな緋桜に抱き着いて甘えている。それを、まぁ適当にあやしながら俺との会話を続ける緋桜。
物欲しそうに緋桜の股間に手を伸ばしかけた香さんを「もう少しだけお待ちくださいッス。ちゃんと待てができたら……」と、耳元に何かささやいで肩に担ぐ。
おいおい、香さんを肩に担ぐとかすごいなお前。しかも、足をバタバタさせて暴れたらバチンッ!とケツを叩いたぞ。
これで、叩かれて嬉しそうにすればマゾの称号がつくんだが。香さんは「ギャンッ!うぅぅ、あと、少しだけじゃぞっ」と、大人しくなった。
俺達とはまた種類の違うコンビだな。あ、俺達。俺は、ケツを叩く以上に酷いことをしたんだった。
フラッシュバックのようにあの時のことを思い出して、目を閉じ首を横に振る。緋桜が言ったことはほとんど合っている。だが、重さが、事の重大さがわかっていない。
なのに「間違っている」なんて言われれば。お前は、俺とシオンに何があったのかをその眼で見たわけじゃないだろうがって言いたくなる。
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