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檻の中から見える景色
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しおりを挟む完全な八つ当たり。だが緋桜は無表情で、冷たい床に座る俺を見下ろす緋桜の真っ赤な目は冷ややか。腹が立つ。
「あなた、後悔してるって顔してるのわかってないでしょう?後悔するくらいならここにいたらいけないんス。たとえ香さんからの命令でも、シオン君を追いかけるべきだった――」
「黙れ。助言してくれるのは感謝する。けどな、これは俺とシオンの問題なんだ。今は、放っておいてくれ。自分でも、怒ったら何をするかわからない」
一瞬、カッ!と頭に血が上りそうになった。それを、硬い床をドガンッ!と殴りつけることによって押しとどめた。
力加減をしたはずなのにさすがライガー。拳の下はクモの巣状のヒビが走って、その態度に緋桜は「わかりました」と呟く。
俺は香さんが差し伸べてくれた手を振り払った。緋桜の手も、せっかくの心を踏みにじる。もう、堕ちるならとことん堕ちてしまいたい。
緋桜が言うこともよくわかる。だが、それでも、俺は悪くないという。俺は悪くないと思いたい。そうでないと、罪悪感に押し潰される。
「んー、うぅぅー。緋桜、『少し』はもうとっくに過ぎたぞ。このわしをこれ以上待たせるというのか?」
俺も緋桜も口を閉ざして、まるで監獄のような地下がシンと静まり返る。5秒ほどで、溶け始めた香さんがまたグズりだした。
「もう行くッスよ。猫屋敷さん。ここで頭を冷やすならいくらでも、あの男にはここに来ないようキツく言ってありますから。それから。…………その左手、これからもそうするのなら、俺も香さんもそれを受け入れるんで」
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