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檻の中から見える景色
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しおりを挟む「………………え?ポケット…………なっ、え?そんな…………ない。ないっ、何で……確かに入れていたはず。くそっ!何で、ないんだよっ!」
開いたハンカチには、何も入っていない。広げて振っても何も出てこない。慌ててポケットの中に手を突っ込んでまさぐっても、中身をひっくり返しても、アメが1個転がり落ちただけ。
サアッと顔から血の気が引く。寒い。反対に、心臓がバクバクバクバク、情けない俺を叱るように爆音を轟かせている。
急に、檻の中が暗くなったような気がした。気分の落ち込みで視界まで暗くなって、床を這いつくばって銀色の輝きを探す。
見当たらない。どこかに落とした?いやいや、ポケットの中の、それもハンカチに包んでいた指輪を落とすか?
けど、なくなっている。ポケットに穴が開いているというわけでもないのに、落としたのか。
探さないと。落としたんだとすれば大学か、緋桜の車の中か、この研究所の中か。大学と車を探しに行くなら、緋桜に声をかけないといけないな。
無理だな。絶対、確実に今、あの2人は大絶賛取り込み中だ。諦めよう。
なら、この研究所内を探しに行くか。俺が昔いた時とほとんど変わっていないし、1人でも探せるはずだ。それに、これは俺のせいだから。
俺が自分の力で探し出す。それが、せめてものシオンへの償いか。勝手な解釈。
血の気が下がって、いい具合に頭が冷めた。シオンと、もう1度話がしたい。ちゃんと向き合って、キレずに直也の話をする。
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