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光
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しおりを挟むあぁよかった、俺もシオンもちゃんと生きている。シオンは体中に酷いケガを負っているが、千川原が手を引いてくれたからもう大丈夫だな。
「シオン、俺の過去のゴタゴタに巻き込んで悪かった。けど、助けに来てくれてありがとう。お前がいなかったら俺、ずっと――」
「帰ったらいっぱい怒ってやるから、覚悟してろよ?なんてな、ハハッ。俺達の愛の絆は絶対だ、誰にも、俺達でも断ち切ることなんかできねぇよ。つか、ソランさんを友達にするのはいいけど。ベタベタ触ったりしやがったら俺、我慢せず怒るからな?……俺を待っててくれてありがとな、悠一。愛してる」
褐色の肌、漆黒の髪、金色の瞳のシオンが俺を見上げる。辛そうだ。フラついて、俺にもたれかからせるとそのまま顔を寄せてきて唇を重ねた。
「うわっ!ちょっと、ずっと静観してるからって俺の存在忘れてないか?もう大丈夫になったんならさ、早く病院に行こうぜ。皆、それぞれそれなりに怪我してんだからさ」
あ、存在を忘れていた。存在感ゼロで見守ってくれていたらしい人間の男が、わざとらしく大きな声を上げて出入り口のドアを開ける。
俺は何日も薬漬けにされていたんだし、千川原は人間の男とシオンにやられた怪我がある。シオンは今にもブッ倒れそうなほどに酷い。
ことが終息したというのに姿が元に戻らないシオンを早く休ませたい。瞬間移動が使えればいいのにと、割と本気で思いながらシオンを抱きかかえる。
「なるほど。たしかにシオン君、君は僕以上だ。負けを認めるよ。負けたから、昔のことを含め全ての罪を償う。僕の、死をもって――」
その時、銀色が煌めいた。ハッと顔を上げれば千川原は、力なく笑っている。白い頬にツウと涙を流し、頬から顎を伝い落ちた先。首筋に、押し付けられているメス。
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