ユキ・シオン

那月

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時を超えて受け継ぐ力

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 残ったのは俺と黒の王と悠一と、強く押し出されて悠一に抱きつくようになっちまって顔を真っ青にしているドクトル。
 

 おい、俺の悠一から離れろ。睨みつけてやったら、バッ!と離れた。けど、やっぱり腐りきってもドクトル。離れる直前、服の上からギュムッと悠一の乳首をつねっていった。

 
 で、悠一の鉄拳がドクトルの脳天にズドンッ!一瞬、首がなかったように見えたぜ。

 
 文字通り「ビャーッ!」なんて情けなく泣き叫びながらオオコウモリに変身して、開け放たれていたドアの外へと消えた。

 
「…………香殿は、昔と比べて変わったな。良くも悪くも。あのオオコウモリは、悪く変わらない。全然」

 
 黒の王はドクトルとも生前の付き合いがあったらしい。ドクトルは子供の頃からあんな変態で、けど医学の才能もまた子供の頃からのもの。

 
 意外なのは、昔の香さんはもっと暗くて他人を寄せ付けない攻撃的なオーラを常に纏っていたんだとか。

 
 変わったのはきっと、緋桜さんに出会ったから。それは黒の王にもよくわかっているとか。話して、俺と悠一を交互に見つめる黒の王。

 
 香さんと緋桜さんが気を利かせてくれたんだもんな。でも、それでも今かよ!?

 
「ドクトルはあんな趣味全開で言っていたが、医者としての考えだ。言い方はともかく、手段としては最善。やるなら、我はシオン君の中に戻る」


 俺の拒否権はどこに行った?目が合った悠一が深くうなずいて、黒の王が俺の中にスウッと入ってきた。
 

 悠一の名前を呼ぼうとしたら勝手に口が動いて「「我のことは気にせず、お互いのことだけを想い愛し合えばいい。繋がり次第、我が力を流す」」と声が。
 

 
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