ユキ・シオン

那月

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危険人物はロン毛?

11P

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「あの人はライガーの擬人化種ではなく、幸せの擬人化だろ。って思うくらい、幸せがにじみ出てウザい。胸焼けで吐きそうだったぞ」
 

「あ、よく言われます。昔はこんな、フニャけた締まりのない顔をしてなかったのにとか」

 
「貴様に骨抜きにされていると言ったところか。フンッ、くだらない。……少し直してみたが、どうだ?きつかったりしないか?」

 
 結局裾はほんのわずかに上げ、脇のあたりと首の後ろを少し直したらしい。動いて確認してほしいと言われて体をひねってみたり、腕と足を大きく動かしたり立ち座りしてみて。

 
 向き直って「右より左がちょっとだけ違和感が」って、言い終わる前に針を手に直しに取り掛かる高宮さん。

 
 チクチク、チクチク。「どうだ?」と聞かれ、確認すると違和感が消滅。俺の体も同然ってレベル。少し直しただけなのにさ、初めて着たのに普段着る洋服よりも動きやすい。

 
 過剰表現なんかじゃねぇ、マジなんだ。って驚いて声も出ないでいたら、鏡の前に肩を押された。

 
「う、わ……これ、俺か?サイズも、色も模様も、バランスも全部似合ってる。格好いい要素もあって、綺麗……」

 
「当たり前だ、俺様が作ってやったんだからな。貴様は色が白いし顔が洋風で柄に少々迷ったが、小悪魔そうに見えたんでな。新作のドクロを取り入れて正解だった」

 
「ありがとうございます。本当に、すっごく嬉しくて感動してます。絶対に、近いうちに必ず何かお礼をさせてください!悠一は差し出せないけど、何か作ってきます!」

 
「今回の依頼者は貴様ではなく猫屋敷さんだ。報酬の請求先はあの人。貴様に礼をされる筋合いはない」
 

 そんなに俺の手料理が食いたくないのか?でもな、俺は諦めねぇから。俺の肉料理のレパートリーを増やすためにも、新作を作ってやる。


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