ユキ・シオン

那月

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肉食と草食と雑食と昼食

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「美味しそうに食べますね、お漬物。フフッ」


 あぁまったくだ。俺が考えを巡らせている時に、パリパリとかコリコリとかとてもいい音が響く。おかげで全く集中できなかったぞ。


「やっぱシメは漬物だな。ここのたくあん、すげぇ歯ごたえが良くて美味いんだよ。熱い、濃いめのお茶が欲しいくらいだ」


 俺の向かいにジジイが出現。白髪なのがよりいっそうジジイ。タイミングよく運ばれてきた熱いお茶に喜んで、早速すする。


 おいやめろ、やめてくれ。湯呑みを両手で持って「はぁぁー、もう少し濃くてもいいのに」とか言うなシオン。


 俺達と同じ漬物だよな?ホルスタイン女と同じタイミングで食べ終わり、最後のたくあんをじっくり味わっていた、パリパリコリコリの奏者はジジイシオン。略してジジオン。


 ジジオンは、俺と目が合うと「顔が引きつってるぜ?」と不思議そうに首をかしげる。自覚なしかぁ。


「どわぁっ!?でっ!う、っ……たったたたた。すみません、お怪我はないですか?あぁよかった、お騒がせしました。いきなり何するんだよ、高宮!」


「昼休憩は終わりだ、仕事に戻る。行くぞ」


「あっあのっ、すすすすすみませんっ!ごめんなさい、失礼しますっ。あっ!あ、あのっ、楽しかったです!」


 不服そうながらもお茶を飲み干すジジオンを見つめていると、脇腹に鈍痛。次の瞬間には俺は通路の床にうずくまって、すぐそばにいた店員が小さく悲鳴を上げた。


 突然、高宮が俺を蹴り飛ばした。振り向くと、着物の裾から結構キワドイ部分まで生足が見えたが。


 床に這いつくばる俺を踏みつける勢いで高宮がシートから出てきて、ホルスタイン女を連れてさっさと行ってしまった。


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