ユキ・シオン

那月

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譲渡会

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 病院の待ち合いに入ると、早速ドクトルがお出迎え。挨拶代わりに「子猫ちゃーーーーん!!」って、両腕を広げて飛びついてきた。


 もちろん、シャッ!と間に入ってきた悠一が「俺のだ!」って、威嚇。俺、顔面爆発。


 何言っちゃってんの悠一!?守ってくれたのは嬉しいけどさ、そんなクソ恥ずかしいセリフ、普段の患者さんや見舞いの家族がいる前で大声で言う?


 そんでもって、標的を俺から悠一に切り替えたドクトル。広げていた両腕を、勢いをそのままに前に突き出して。ギュムッ!と、的確に悠一の両乳首を服の上から抓った。


 やばい、悠一のことを言えたもんじゃねぇな。危うく俺の口から「俺の悠一にいやらしいことすんなっ!」なんて言葉が飛び出そうになった。


 グッと飲み込んで、悠一の前に出るとドクトルの眼前に袋を突きつける。これ、ドクトルへの手土産。すごいいい匂いがする、俺お手製のカレー。超甘口。


 足が出そうになったけどさ、暴力はよくねぇだろ?だから、人質ならぬ物質ってな。早く退かねぇとコレ、床に叩きつけるからな。


 ……まぁ、ドクトルなら床に叩きつけても「もったいない!」って這いつくばって床をペロペロしそうだけどな。うげぇ。


「か、カレー……子猫ちゃんが作ってくれた。子猫ちゃんのカレーっ!!うごぉっ!?」


 ドクトルへの餌付けは完璧だな。大人しく1歩下がって、カレーが入った袋を受け取ろうとしたドクトルが突進。30センチも離れていない、変態ドクトルが仰け反りながらちゃっかり抱きついてきた!?


 いやらしい両腕が俺の体を絡め取る寸前、背後の悠一が俺の腰を抱きながらグンッ!と引っ張った。

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