ユキ・シオン

それぞれの暮らし

１４P

　また気が緩む。改めて、直也がいない我が家を見渡すと、寂しいな。


「直也は前に、新しい人生を進んでいる。俺達が直也にしてやれることは、見守ることだけだ。シオンは親友をして大学で支えてやって。俺は、魅了の力が早く抜けきるよう協力する」


「なんだろうな。子離れって、きっとこんな感じなんだなぁって思うぜ」


「直也がシオンの子供、か。…………いや、それはそれで嫌だな。直也のこれからはもう、直也自身が考えて決めていく。笑也とも上手くいきそうだし、俺達も前に進もう」


　とりあえずソファーに座って、とても自然に悠一の腕の中に連れ込まれた。温かい。それに悠一の、いい匂い。


「その笑也だけどさ。また、謎が増えたな」


「直也の異変を感知した、アレだろ？俺も驚いたよ。だがたぶん、それだけ笑也は直也に興味を持って意識して見ているってことなんだろう」


「そんなに見てるってことはさ、直也に気があるのかもって思うよな。実際、ソランさんとドクトルもそんな気配を感じていたみたいだしさ。けど、違うんだろうな」


「どうして、違うって思うんだ？俺も、笑也は直也を、無意識だとしても好きだと思ってるんだけど」


　俺は話した。笑也が俺に「可愛い」だの「綺麗」だの言ったり、たまにヤバい目を向けていたり。それに抱きしめたり嘘でもキスしそうになったり。


　悠一奪還戦の時だって、俺のために命がけで参戦してくれた。だから、俺に気があるのかと思った。本気で思った。


　けれど笑也は自分の恋愛はしない、興味がない。恋愛は、自分が書いている小説だけだ。そう言い切った。冷めた目で。そのことを話すと、悠一は俺の頭を撫でた。