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【2】パーティーでの騒動
36.逃がさない
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「ん……」
エリオットの腕の中でルシアが小さな呻き声をあげた。私は胸をなでおろす。
リアーナを見ると、頭や腕がくっついて身体全体が実体化した姿になっていた。
真っ赤な瞳が地上のルシアとエリオットを見つめていた。牙を剥き出しにしたその姿に理性を感じなかった。
「リアーナ!? どうして、あなたがルシアを襲うの!?」
呼びかけに応じる気配もない。私は彼女に飛び掛かった。とにかく、事情を確認しないと。掴みかかると、彼女の全身が霧に変化した。支えを失った黒いドレスがはらりと下に落下する。
――逃がすわけには、いかない。
私は四散する黒い霧を追いかけた。後ろからエリオットの声がする。
「カミラ、深追いするな!」
「貴方はルシアを館に連れて行って、できればアーノルドを呼んで! アーティたちかお父様も来ると思うから、それまで足止めするわ」
言いたいことを早口でまくしたてて、リアーナの霧を追いかける。
それは、空中から森の中へ降下していった。
――森の中は厄介だわ。
空中であれば、霧の位置が把握しやすいけれど、森の中に紛れてしまうとどこにいるのかわからなくなってしまう。とにかく、実体化させないと埒が明かない。
私はスカートの布地を破った。アーノルドの顔が目に浮かぶ。
『パーティーでどうやって汚すのよ』
コーデリアの声が蘇る。ごめんなさい。先に謝っておこう。こんなつもりじゃなかったのよ。
ため息をついて、森に降下した。川の水音がする。そちらへ行き、布を水に浸した。
霧化している場合、水で湿った布地でくるむと、周囲に飛散できなくなる。
だから土砂降りの雨の日なんかは、あんまり霧になれないから、戦闘向きではない。
これで、できれば頭を捕まえられれば。
森の中は木々の葉っぱが月光を遮って、立ちこめる霧に混ざったリアーナの黒い霧の判別がつかない。私は目を閉じて、気配に頼った。
――そこ!
水を滴らせた布地を広げ、一点に飛び掛かると、そこにあるリアーナの霧をくるむように包んだ。
頭、頭、頭だといいけど。布が跳ねる。ぎゅっと丸めて胸元で押さえつけた。布の中に固体の感触が生まれた。ビリっという布の裂ける音。胸元に痛みがはしる。見ると、布の間から牙が飛び出して、私の左肩から胸元にかじりついていた。
――当たり。
私はその頭に自分をかじりつかせたまま、布の上から逆に相手にかみついた。リアーナの首と思われる場所に私の牙がささる。一気に彼女の血を吸い上げる。霧化できないくらい、先にこっちが吸ってやる。どうせ頭だけだ。
その時、視界の隅に、白い女の裸体が映った。首のない身体が闇に浮かぶ。リアーナの本体が頭を取り戻しにきたんだ。それは、爪を光らせ、私に向かって飛び掛かってきた。
どんなホラー映画よ……怖いわよ!
リアーナの頭部に牙を立てていたので、反応が遅れる。
引き裂かれる、そう思った瞬間、灰色の毛並みが前を横切った。
「ヤラ!」
私の可愛い狼が、首なしの女の身体を跳ね飛ばした。
「カミラ様!」
アーティの声がした。後ろから、獣化したアーティと狼が5頭現れ、間合いをとって跳ね飛ばされたリアーナの身体を取り囲んだ。
――あなたは、本当にタイミングが良い。
私にかじりつくリアーナの牙は既に緩んでいた。それを抜き取り、布で包みなおす。
「これは」
アーティーが目の前の、頭のない女の裸体に絶句している。
普通そうよね。首から上がないんだもの。
地面に倒れたリアーナの身体はすぐに起き上がると、私めがけて飽きずに飛び掛かってきた。狼たちが飛び掛かるが、跳ね飛ばされる。
ギャン!と痛そうな鳴き声が響いた。――ひどい!
「アーティ!! それを捕まえて!」
全身茶色い毛だらけの獣化したアーティがリアーナの身体に飛び掛かる。地上での動きは、人狼の彼の方が速かった。彼の腕が、リアーナの身体を羽交い絞めにする。
私は布でくるんだ頭を抱えたまま、その身体に飛び掛かると、鎖骨のあたりに噛みついた。
一気に血を吸い上げる。リアーナはびくん!と体を跳ねさせ、強い力でもがくけれど、それ以上の力でアーティが押さえつける。やがて、だらりと腕と足が垂れ下がった。
私は牙を抜くと、口元をぬぐい、はあ、とため息をついた。
「カミラ様、これは」
アーティの身体が人間の身体に戻る。顔には驚愕の表情が浮かんでいた。
獣化していたせいか、彼のシャツはボタンが飛んで用をなしてない状態になっていた。
ジャケットは着ていない。きちんと脱いできたのかしら。妙に感心してしまう。
「ちょっと、シャツを借りてもいい?」
動けないほど、血は抜いたけど、念には念を入れないと。私はアーティの脱いだシャツを受け取ると、動かなくなったリアーナの身体を担いだ。代わりに彼に、私のスカートの布地でくるんだ頭部を渡す。
「ちょっと持ってて」
「持ってて――って……これ、生きてるんですか」
「生きてるのよ」
それだけ言って、急いでさっきの川の方へ戻った。
これ以上先は彼に見せたくなかった。苦笑して思う。――これからやることを見られたら、さすが引かれそう。
水辺の近くに行くと、身体の両腕と両足を爪で切り裂き切断する。本体から離すと、腕と足は黒煙になって消えた。さっき、血を残らず吸い上げたので、出血はなかった。
私たちの身体は、頭部と心臓さえあれば、腕や足がなくなっても元通りに回復できる。
吸血鬼を殺す方法は、今回みたいに霧化できないように、動けないように身体を実体化した状態で無効化して、心臓に杭を打ち込んで破壊するのみ。
アーティのシャツを水でぬらすと、リアーナの胴体をくるんだ。念のため、霧化しないように。
「いったん、屋敷に戻りましょう」
擦り寄ってきたヤラの毛をなでる。先ほど吹き飛ばされた狼は、足が変な方向に曲がっていて、尻もちをついたまま動けなくなっていた。
私はその子に近づくと、足の向きを直して、首筋に噛みついた。傷を治すため、血を流し込む。
すると、その狼は「キャン!」と一声鳴いた後、元気に駆け出した。
「カミラ様……」
アーティは何か未知のものを見る目で私を見ていた。
「――彼女は生きてるわ。私は先に屋敷に戻るわね。“頭”を持っててくれて、ありがとう」
彼からリアーナの頭部を受け取って、胴体と一緒に抱えた。
翼を出し、空へ舞い上がると、屋敷に向かって飛んだ。
エリオットの腕の中でルシアが小さな呻き声をあげた。私は胸をなでおろす。
リアーナを見ると、頭や腕がくっついて身体全体が実体化した姿になっていた。
真っ赤な瞳が地上のルシアとエリオットを見つめていた。牙を剥き出しにしたその姿に理性を感じなかった。
「リアーナ!? どうして、あなたがルシアを襲うの!?」
呼びかけに応じる気配もない。私は彼女に飛び掛かった。とにかく、事情を確認しないと。掴みかかると、彼女の全身が霧に変化した。支えを失った黒いドレスがはらりと下に落下する。
――逃がすわけには、いかない。
私は四散する黒い霧を追いかけた。後ろからエリオットの声がする。
「カミラ、深追いするな!」
「貴方はルシアを館に連れて行って、できればアーノルドを呼んで! アーティたちかお父様も来ると思うから、それまで足止めするわ」
言いたいことを早口でまくしたてて、リアーナの霧を追いかける。
それは、空中から森の中へ降下していった。
――森の中は厄介だわ。
空中であれば、霧の位置が把握しやすいけれど、森の中に紛れてしまうとどこにいるのかわからなくなってしまう。とにかく、実体化させないと埒が明かない。
私はスカートの布地を破った。アーノルドの顔が目に浮かぶ。
『パーティーでどうやって汚すのよ』
コーデリアの声が蘇る。ごめんなさい。先に謝っておこう。こんなつもりじゃなかったのよ。
ため息をついて、森に降下した。川の水音がする。そちらへ行き、布を水に浸した。
霧化している場合、水で湿った布地でくるむと、周囲に飛散できなくなる。
だから土砂降りの雨の日なんかは、あんまり霧になれないから、戦闘向きではない。
これで、できれば頭を捕まえられれば。
森の中は木々の葉っぱが月光を遮って、立ちこめる霧に混ざったリアーナの黒い霧の判別がつかない。私は目を閉じて、気配に頼った。
――そこ!
水を滴らせた布地を広げ、一点に飛び掛かると、そこにあるリアーナの霧をくるむように包んだ。
頭、頭、頭だといいけど。布が跳ねる。ぎゅっと丸めて胸元で押さえつけた。布の中に固体の感触が生まれた。ビリっという布の裂ける音。胸元に痛みがはしる。見ると、布の間から牙が飛び出して、私の左肩から胸元にかじりついていた。
――当たり。
私はその頭に自分をかじりつかせたまま、布の上から逆に相手にかみついた。リアーナの首と思われる場所に私の牙がささる。一気に彼女の血を吸い上げる。霧化できないくらい、先にこっちが吸ってやる。どうせ頭だけだ。
その時、視界の隅に、白い女の裸体が映った。首のない身体が闇に浮かぶ。リアーナの本体が頭を取り戻しにきたんだ。それは、爪を光らせ、私に向かって飛び掛かってきた。
どんなホラー映画よ……怖いわよ!
リアーナの頭部に牙を立てていたので、反応が遅れる。
引き裂かれる、そう思った瞬間、灰色の毛並みが前を横切った。
「ヤラ!」
私の可愛い狼が、首なしの女の身体を跳ね飛ばした。
「カミラ様!」
アーティの声がした。後ろから、獣化したアーティと狼が5頭現れ、間合いをとって跳ね飛ばされたリアーナの身体を取り囲んだ。
――あなたは、本当にタイミングが良い。
私にかじりつくリアーナの牙は既に緩んでいた。それを抜き取り、布で包みなおす。
「これは」
アーティーが目の前の、頭のない女の裸体に絶句している。
普通そうよね。首から上がないんだもの。
地面に倒れたリアーナの身体はすぐに起き上がると、私めがけて飽きずに飛び掛かってきた。狼たちが飛び掛かるが、跳ね飛ばされる。
ギャン!と痛そうな鳴き声が響いた。――ひどい!
「アーティ!! それを捕まえて!」
全身茶色い毛だらけの獣化したアーティがリアーナの身体に飛び掛かる。地上での動きは、人狼の彼の方が速かった。彼の腕が、リアーナの身体を羽交い絞めにする。
私は布でくるんだ頭を抱えたまま、その身体に飛び掛かると、鎖骨のあたりに噛みついた。
一気に血を吸い上げる。リアーナはびくん!と体を跳ねさせ、強い力でもがくけれど、それ以上の力でアーティが押さえつける。やがて、だらりと腕と足が垂れ下がった。
私は牙を抜くと、口元をぬぐい、はあ、とため息をついた。
「カミラ様、これは」
アーティの身体が人間の身体に戻る。顔には驚愕の表情が浮かんでいた。
獣化していたせいか、彼のシャツはボタンが飛んで用をなしてない状態になっていた。
ジャケットは着ていない。きちんと脱いできたのかしら。妙に感心してしまう。
「ちょっと、シャツを借りてもいい?」
動けないほど、血は抜いたけど、念には念を入れないと。私はアーティの脱いだシャツを受け取ると、動かなくなったリアーナの身体を担いだ。代わりに彼に、私のスカートの布地でくるんだ頭部を渡す。
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「持ってて――って……これ、生きてるんですか」
「生きてるのよ」
それだけ言って、急いでさっきの川の方へ戻った。
これ以上先は彼に見せたくなかった。苦笑して思う。――これからやることを見られたら、さすが引かれそう。
水辺の近くに行くと、身体の両腕と両足を爪で切り裂き切断する。本体から離すと、腕と足は黒煙になって消えた。さっき、血を残らず吸い上げたので、出血はなかった。
私たちの身体は、頭部と心臓さえあれば、腕や足がなくなっても元通りに回復できる。
吸血鬼を殺す方法は、今回みたいに霧化できないように、動けないように身体を実体化した状態で無効化して、心臓に杭を打ち込んで破壊するのみ。
アーティのシャツを水でぬらすと、リアーナの胴体をくるんだ。念のため、霧化しないように。
「いったん、屋敷に戻りましょう」
擦り寄ってきたヤラの毛をなでる。先ほど吹き飛ばされた狼は、足が変な方向に曲がっていて、尻もちをついたまま動けなくなっていた。
私はその子に近づくと、足の向きを直して、首筋に噛みついた。傷を治すため、血を流し込む。
すると、その狼は「キャン!」と一声鳴いた後、元気に駆け出した。
「カミラ様……」
アーティは何か未知のものを見る目で私を見ていた。
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