66 / 217
3.元聖女は冒険者として仕事をします。
第65話(ステファン視点)
しおりを挟む
「今日もそれだけ?」
いつもどおり宿屋の食堂でお昼を食べているところだけど……僕は今日もまた山盛りのサラダを注文するレイラを見て、首を傾げた。ここ数日、彼女はこういう風に野菜とパンしか食べてない。
「今日も――サラダをたくさん食べたい気分なの」
レイラはそう言って座った。僕とライガは顔を見合わせる。
こういう風になったのは、あの魔法草狩りに行ってからだ。「何かあった?」とそれとなく何度か聞いてみたけど、彼女は「特に何も」と濁すだけで答えてくれない。
「今日もレタスがシャキシャキしてて、美味しい……」
そう言いながらもしゃもしゃと野菜を口に頬張っている。
――野菜を食べるのは良いことだけど、でもあんなに肉が美味しいって食べてたのに、急にこれは、おかしくないか?
日替わりのメインの肉料理を食べて、「美味しい!」と言ってた時の方が嬉しそうだった気がする……。何より、サラダばっかりというのも栄養面が心配だ。
「そうだ、肉があんまりなら――魚は?」
僕は提案した。動物性のものも食べたほうが良い。
「魚?」
そうだった。レイラとはまだ一緒に魚を食べたことがなかったっけ。
ライガが肉が好きだから、いつも肉料理ばっかりだし――。
「――今日、魚ありますか?」
厨房にいる宿屋の旦那さんに声をかけると、彼は「おう」と答えて、トマトソースで白身の魚を煮込んだ料理を乗せた皿を出してくれた。それをレイラのところへ持って行く。
「どうぞ」
とんっと前に置くと、レイラはしばらくそれを見つめてから、フォークで刺して一口食べた。僕は彼女の「美味しい!」を期待してじっと顔を見た。
「……お肉よりあっさりしてて……美味しいけど……ちょっと塩辛いかも……」
レイラはそう呟いた。
「――このへんは塩漬けが多いからなぁ」
僕はため息をついた。マルコフ王国は海から離れているので、魚の行商人が外から来ない――ことはないんだけど日持ちする塩漬けの魚を持ってくることが多い。美味しくないこともないんだけど、やっぱり魚の味より塩気が勝ってしまう。
この街で肉料理ばっかり食べてるのは、ライガが肉好きっていうのもあるけど、魚より肉料理のが美味しいっていうのもあるな……。
「ルシドドは魚が美味かったよな!」
ライガが横から話に入った。レイラと会う前に、僕らが行商の護衛でしばらく遠出していたのが、キアーラのさらに先にある海辺の町――ルシドドだ。そこは海魚がたくさん獲れるから、魚を生で食べる店なんかもあって、魚介類が本当に美味しかった。
「そうなんだ……!」
レイラが話に食いついた。
……いつもと変わらない感じ……だよな。――良かった。
でも急に肉を食べたくなくなった理由は――聞いておいた方がいい。
心配だし。
「そうだ、今日、釣りに行ってみる? 川魚なら、新鮮なの獲れるし」
僕はレイラに聞いた。山に入れば川で新鮮な魚は釣れる。ゆっくり話す時間も作れるし。
「……行ってみたい……」
僕は「よし、じゃあ午後は釣りに行こう」と頷いた。
いつもどおり宿屋の食堂でお昼を食べているところだけど……僕は今日もまた山盛りのサラダを注文するレイラを見て、首を傾げた。ここ数日、彼女はこういう風に野菜とパンしか食べてない。
「今日も――サラダをたくさん食べたい気分なの」
レイラはそう言って座った。僕とライガは顔を見合わせる。
こういう風になったのは、あの魔法草狩りに行ってからだ。「何かあった?」とそれとなく何度か聞いてみたけど、彼女は「特に何も」と濁すだけで答えてくれない。
「今日もレタスがシャキシャキしてて、美味しい……」
そう言いながらもしゃもしゃと野菜を口に頬張っている。
――野菜を食べるのは良いことだけど、でもあんなに肉が美味しいって食べてたのに、急にこれは、おかしくないか?
日替わりのメインの肉料理を食べて、「美味しい!」と言ってた時の方が嬉しそうだった気がする……。何より、サラダばっかりというのも栄養面が心配だ。
「そうだ、肉があんまりなら――魚は?」
僕は提案した。動物性のものも食べたほうが良い。
「魚?」
そうだった。レイラとはまだ一緒に魚を食べたことがなかったっけ。
ライガが肉が好きだから、いつも肉料理ばっかりだし――。
「――今日、魚ありますか?」
厨房にいる宿屋の旦那さんに声をかけると、彼は「おう」と答えて、トマトソースで白身の魚を煮込んだ料理を乗せた皿を出してくれた。それをレイラのところへ持って行く。
「どうぞ」
とんっと前に置くと、レイラはしばらくそれを見つめてから、フォークで刺して一口食べた。僕は彼女の「美味しい!」を期待してじっと顔を見た。
「……お肉よりあっさりしてて……美味しいけど……ちょっと塩辛いかも……」
レイラはそう呟いた。
「――このへんは塩漬けが多いからなぁ」
僕はため息をついた。マルコフ王国は海から離れているので、魚の行商人が外から来ない――ことはないんだけど日持ちする塩漬けの魚を持ってくることが多い。美味しくないこともないんだけど、やっぱり魚の味より塩気が勝ってしまう。
この街で肉料理ばっかり食べてるのは、ライガが肉好きっていうのもあるけど、魚より肉料理のが美味しいっていうのもあるな……。
「ルシドドは魚が美味かったよな!」
ライガが横から話に入った。レイラと会う前に、僕らが行商の護衛でしばらく遠出していたのが、キアーラのさらに先にある海辺の町――ルシドドだ。そこは海魚がたくさん獲れるから、魚を生で食べる店なんかもあって、魚介類が本当に美味しかった。
「そうなんだ……!」
レイラが話に食いついた。
……いつもと変わらない感じ……だよな。――良かった。
でも急に肉を食べたくなくなった理由は――聞いておいた方がいい。
心配だし。
「そうだ、今日、釣りに行ってみる? 川魚なら、新鮮なの獲れるし」
僕はレイラに聞いた。山に入れば川で新鮮な魚は釣れる。ゆっくり話す時間も作れるし。
「……行ってみたい……」
僕は「よし、じゃあ午後は釣りに行こう」と頷いた。
147
あなたにおすすめの小説
転生幼女は追放先で総愛され生活を満喫中。前世で私を虐げていた姉が異世界から召喚されたので、聖女見習いは不要のようです。
桜城恋詠
ファンタジー
聖女見習いのロルティ(6)は、五月雨瑠衣としての前世の記憶を思い出す。
異世界から召喚された聖女が、自身を虐げてきた前世の姉だと気づいたからだ。
彼女は神官に聖女は2人もいらないと教会から追放。
迷いの森に捨てられるが――そこで重傷のアンゴラウサギと生き別れた実父に出会う。
「絶対、誰にも渡さない」
「君を深く愛している」
「あなたは私の、最愛の娘よ」
公爵家の娘になった幼子は腹違いの兄と血の繋がった父と母、2匹のもふもふにたくさんの愛を注がれて暮らす。
そんな中、養父や前世の姉から命を奪われそうになって……?
命乞いをしたって、もう遅い。
あなたたちは絶対に、許さないんだから!
☆ ☆ ☆
★ベリーズカフェ(別タイトル)・小説家になろう(同タイトル)掲載した作品を加筆修正したものになります。
こちらはトゥルーエンドとなり、内容が異なります。
※9/28 誤字修正
二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?
小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」
勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。
ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。
そんなある日のこと。
何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。
『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』
どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。
……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?
私がその可能性に思い至った頃。
勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。
そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
追放された魔女は、実は聖女でした。聖なる加護がなくなった国は、もうおしまいのようです【第一部完】
小平ニコ
ファンタジー
人里離れた森の奥で、ずっと魔法の研究をしていたラディアは、ある日突然、軍隊を率いてやって来た王太子デルロックに『邪悪な魔女』呼ばわりされ、国を追放される。
魔法の天才であるラディアは、その気になれば軍隊を蹴散らすこともできたが、争いを好まず、物や場所にまったく執着しない性格なので、素直に国を出て、『せっかくだから』と、旅をすることにした。
『邪悪な魔女』を追い払い、国民たちから喝采を浴びるデルロックだったが、彼は知らなかった。魔女だと思っていたラディアが、本人も気づかぬうちに、災いから国を守っていた聖女であることを……
【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません
ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。
文化が違う? 慣れてます。
命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。
NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。
いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。
スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。
今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。
「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」
ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。
そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。
公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる