【完結】追放された元聖女は、冒険者として自由に生活します!

夏灯みかん

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7.元聖女は辺境の地を訪れました。

第173話

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 アイザックさんの騎士団の兵士の人に馬車を走らせてもらって、私たちは彼らの宿営地に一緒に向かった。ライガも人間の姿に戻って一緒に乗ったので、中はとっても狭い。

たたた」

 馬車でステファンはエドラさんに右腕に回復魔法をかけてもらいながら、すごく痛そうな声で呻いた。……聞いてるだけで、私も腕が痛くなってくる気がします。

 私は手を組むと、痛みがなくなるように祈った。
 そうすると、ステファンは、はぁと息を大きく吐いて笑った。

「凄いね。痛みが全然しなくなった……。ありがとう……」

「骨が砕けてるな。下手に直すと、変に繋がってしまうから、落ち着いてから治療させてもらう」

 エドラさんは険しい顔でそう言った。
 
「――でも、オーガって言葉を喋るんですね」

 私はステファンが痛そうじゃなくなったので、安心して話を振った。
 言葉を話す魔物なんて初めて見ました。

「意味のある言葉を話すオーガは相当、人や他の魔物を喰らって変化したやつだけどね。――やっぱり、あの鬼、はっきり言葉を話してたよね……」

「『見つけた』、『かたき』、『殺す』――と叫んでいた」

 エドラさんの言葉に、ステファンは目を大きく広げる。

「――言ってること、わかるのか?」

 ライガがさっきの私と同じことを聞いて、エドラさんは「大体、だ」と同じように答えた。

「あれは私たちに目もくれず、お前に襲い掛かって行った。お前を見て我を失ったように怒っているように見えたが――」

 ステファンは少し考え込むように俯いて、ゆっくり口を開いた。

「――オーガ小鬼ゴブリン――鬼の魔物は、群れで意識というか、記憶を共有するんだよね」

「え?」

「前にライガと訪れた村で、増えた小鬼が赤毛の身体の大きい男ばかり喰らうっていうことがあったんだ。――討伐の依頼を受けたんだけど、森の中に潜んでどこにいるかわからなかったから、赤毛のカツラを被って行ったら、興奮した様子で襲い掛かってきて。普通、力の弱い子どもや女性を襲うことが多いんだけど、どうしてかなと思ったら、以前にその村で小鬼退治をした冒険者が赤毛の大柄な男だったんだ」

 ライガは「そんなことあったな」と呟いた。

「前に退治した相手を覚えたってことですか?」

「魔物には、雄・雌の区別があって、普通の動物と同じく繁殖で増えるのが多いけど、鬼類の魔物は、単為生殖って言っていいのかな――雌雄の区別がなく、増える。単体で卵産んで増えるんだよ、あいつら。まあ、もともとが自然発生だから動物とはちょっと違うけど」

「卵……産むんですか……、あれが!?」

 私は鬼が卵を産んでいるところを想像して、気持ち悪くなった。

「気持ち悪いよね」

 ステファンは笑って言った。横でライガが喉を押さえて吐く真似をする。

「こいつが小鬼ゴブリンが増えるとこ見たいって言うもんだから、巣の近くに潜んで観察させられたことあるんだぜ。――しばらく飯食えなくなったんだ俺」

「――増えた鬼は、親のコピーなんだ。記憶も継承してて、どんどん賢くなる。その村の場合、以前にその赤毛の冒険者が小鬼を捕まえて、すぐにトドメを刺さず、かなりいたぶるような方法で討伐してたんだ。――その時取り逃がした鬼がまた増えて、赤毛の男を襲ってたんだよ。いたぶたれた恨みを継承して」

「――つまり、あの鬼がお前を狙って襲ってきたのは?」

 ステファンは眉をひそめて、思案顔で呟いた。

「もしかしたら、僕の父親が、昔取り逃がした鬼が、時間をかけて大規模に増えているんじゃないかと、思ったんです。——僕を『仇』と言っていたのだとすれば……」
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