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プロローグ 聖女 あらぶる
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「いいかげんにしろっ!!」
呪詛の言葉と共に瘴気を吐き出し続ける魔王の顔面を、わたしは駆け寄りざまに蹴り飛ばした。
これが、この国最高の錬金術師と呼ばれた青年のなれの果ての姿なのかと思ったら、もう悲しいやら悔しいやら情けないやら……。
いろんな感情で胸がいっぱいになってしまって、堪らなくなったのだ。
あと単純に腹が立った。
「ふべっ」
おかしな悲鳴を上げて、みどりの黒髪の青年――魔王が尻餅を着き倒れる。
そこに歩み寄り膝をついてしゃがむと、わたしは彼の顔に手を伸ばした。
そっとその頬に触れる。
「ひとりぼっちで寂しかったんだね……。辛かったね……」
魔王のルビー・レッドの瞳に、うるっと涙が溜まった。
その瞬間。
「――なんて言うと思ったか! ふっっざけんなぁぁっ!」
バキッ!
わたしは彼の頬をぐーで思いっきり殴った。
「『僕は孤独だ』あぁ!? わたしだって孤独だっての!! 親は居ないし、この前親友死んだわ! お前のせいで葬式間に合わなかったんだよ! マジ許さねえからな!!」
胸ぐらを掴んでがっくんがっくん揺すれば、
「す、すみませ……ごめんなさい……っ」
両手を挙げて降参のポーズを取りつつ謝る魔王。
と、その時。
「あ。」
背後で勇者の小さな呟き。
はっとして振り返る。
目に飛び込んできたのは、巨大な魔方陣と白い閃光。
全てを浄化し、魔王を封じる最強の白魔術。
「間違えちゃった」
てへぺろ。する勇者の顔は、あまりの眩しさに見えなかった。
おま……っ、ゆうしゃああぁぁ!!
呪詛の言葉と共に瘴気を吐き出し続ける魔王の顔面を、わたしは駆け寄りざまに蹴り飛ばした。
これが、この国最高の錬金術師と呼ばれた青年のなれの果ての姿なのかと思ったら、もう悲しいやら悔しいやら情けないやら……。
いろんな感情で胸がいっぱいになってしまって、堪らなくなったのだ。
あと単純に腹が立った。
「ふべっ」
おかしな悲鳴を上げて、みどりの黒髪の青年――魔王が尻餅を着き倒れる。
そこに歩み寄り膝をついてしゃがむと、わたしは彼の顔に手を伸ばした。
そっとその頬に触れる。
「ひとりぼっちで寂しかったんだね……。辛かったね……」
魔王のルビー・レッドの瞳に、うるっと涙が溜まった。
その瞬間。
「――なんて言うと思ったか! ふっっざけんなぁぁっ!」
バキッ!
わたしは彼の頬をぐーで思いっきり殴った。
「『僕は孤独だ』あぁ!? わたしだって孤独だっての!! 親は居ないし、この前親友死んだわ! お前のせいで葬式間に合わなかったんだよ! マジ許さねえからな!!」
胸ぐらを掴んでがっくんがっくん揺すれば、
「す、すみませ……ごめんなさい……っ」
両手を挙げて降参のポーズを取りつつ謝る魔王。
と、その時。
「あ。」
背後で勇者の小さな呟き。
はっとして振り返る。
目に飛び込んできたのは、巨大な魔方陣と白い閃光。
全てを浄化し、魔王を封じる最強の白魔術。
「間違えちゃった」
てへぺろ。する勇者の顔は、あまりの眩しさに見えなかった。
おま……っ、ゆうしゃああぁぁ!!
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