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【1】聖女 目覚める
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…………。
「…………はい?」
長い長い沈黙のあと、わたしはやっと一言声を絞り出した。
「あの時封印された――……、」
「いやいやちがうちがう」
顔の前でぱたぱた手を振る。
聞き取れなかった訳じゃない。
「?」
小首を傾げる、自称魔王。
……くっ、可愛いじゃないか。
「ああ。なぜ僕がこんな姿なのかと、そうおたずねなのですね」
良かった。話し通じて。
「それにはおそらく三つの理由が。
一つ目は『封印の魔術が不完全だった』」
人差し指を立てて――……指か? それは? 白くて丸まっこいフェルトの腕をふりふり魔王が言う。
「あー……まじゅつがふかんぜん、かぁ」
わたしは頭を抱えた。
思い当たる節がありすぎる。
主にあの勇者……! アイツは本気でアホだった……!
「二つ目はそこに『あなたという想定外の要素が入り込んだ』こと」
それも勇者のせいじゃないか……!
人のこと、後ろから撃ちやがって……!
「それらが重なってなぜか『ある種の呪い』のような状態になってしまったんだと思います。これが、僕が人形の姿でいる三つの理由ですね」
よし分かった。
わたしはすっくと立ち上がると、こぶしを握りしめてぬいぐるみに言った。
「勇者、ぶん殴りに行こうぜ!」
これは鉄拳制裁を入れても怒られない案件。
「あー……」
しかしぬいぐるみは頬をぽりぽり――……いや、ふにゅふにゅ掻くと、眉を下げた。
「それは無理だと思いますけど……」
「なんでよ? まさか封印の影響でこの部屋から出られない、とか?」
「いえ、そうではなく……。
……勇者さん、もうお亡くなりになってます」
わたしは再び言葉を失った。
動きを止めたわたしに、魔王は申し訳なさそうに続ける。
「ルチルさん……ボク達が封じられてから大体百年くらい経ってるんです。
勇者さんは、五十年ほど前に……」
ひゃく……っ、
「百年!?」
「…………はい?」
長い長い沈黙のあと、わたしはやっと一言声を絞り出した。
「あの時封印された――……、」
「いやいやちがうちがう」
顔の前でぱたぱた手を振る。
聞き取れなかった訳じゃない。
「?」
小首を傾げる、自称魔王。
……くっ、可愛いじゃないか。
「ああ。なぜ僕がこんな姿なのかと、そうおたずねなのですね」
良かった。話し通じて。
「それにはおそらく三つの理由が。
一つ目は『封印の魔術が不完全だった』」
人差し指を立てて――……指か? それは? 白くて丸まっこいフェルトの腕をふりふり魔王が言う。
「あー……まじゅつがふかんぜん、かぁ」
わたしは頭を抱えた。
思い当たる節がありすぎる。
主にあの勇者……! アイツは本気でアホだった……!
「二つ目はそこに『あなたという想定外の要素が入り込んだ』こと」
それも勇者のせいじゃないか……!
人のこと、後ろから撃ちやがって……!
「それらが重なってなぜか『ある種の呪い』のような状態になってしまったんだと思います。これが、僕が人形の姿でいる三つの理由ですね」
よし分かった。
わたしはすっくと立ち上がると、こぶしを握りしめてぬいぐるみに言った。
「勇者、ぶん殴りに行こうぜ!」
これは鉄拳制裁を入れても怒られない案件。
「あー……」
しかしぬいぐるみは頬をぽりぽり――……いや、ふにゅふにゅ掻くと、眉を下げた。
「それは無理だと思いますけど……」
「なんでよ? まさか封印の影響でこの部屋から出られない、とか?」
「いえ、そうではなく……。
……勇者さん、もうお亡くなりになってます」
わたしは再び言葉を失った。
動きを止めたわたしに、魔王は申し訳なさそうに続ける。
「ルチルさん……ボク達が封じられてから大体百年くらい経ってるんです。
勇者さんは、五十年ほど前に……」
ひゃく……っ、
「百年!?」
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