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【4】聖女 『天使』を倒す

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 ファイドウッドの町は百年前とはだいぶん様子が違っていた。

「ずいぶん人通りがありますね」
「前は人間より牛の数の方が多いような所だったのにね」

 小声でゴーシェとやりとり。
 今はメインストリートにたくさんのお店が並んでいるし、人通りもそこそこある。
 ただ――……、

「……何だかどう見ても堅気じゃない人たちがいるんだけど……」

 通りを歩く半分くらいの人が、妙に薄汚れていたり、腰に剣を提げていたり。

 平和な田舎町だったはずなのに何故……。

 ファイドウッド冒険者協会は、町の中心、メインストリートの四つ辻にあった。
 レンガ造りの三階建てだ。

「着いたぞー」
「立派な建物ですねぇ」
「一階が受け付け。仕事の斡旋とか観光案内もやってるんだ。あ、ここでちょっと待ってって」

 ジェイドはカウンターの方に行くとそこにいた女の子に何やら二三言話した。ちらりとこちらを見る女の子と目が合う。目礼をするとジェイドがこちらへ戻って来た。

「おまたせ~。冒険者協会の会長さんに会いに行こうねー」
「え!? 会長!?」

 声を上げるわたしに、背中でひらひら手を振りつつジェイドはのんきに笑う。

「だいじょーぶ。だいじょーぶ」

 ずんずん奥へ進んで階段を上る彼に続く。

「二階が事務所とか自警団オレ達の詰め所とか。会長の部屋は三階ね」

 最上階まで上り、廊下を進む。突き当たりの扉の前に立って、ジェイドがどんどんノックした。

「かーいちょー、今ちょっと良いっスか~? 困ってるんスけどー」
「……はぁぁ!? 今度はなに壊したのよ!?」

 聞こえてきたのは若い女性の声。

 ジェイド……破壊神だって言われてるよ……。

「ちが……! ちがいますよっ!
 いや、違わないか……? 現に棺無くなっちゃってるしな……」

 それについては本当に申し訳ない。
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