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【4】聖女 『天使』を倒す

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「扉越しにぼそぼそ話さないでよ。聞こえないってば」

 促されてわたしたちは部屋の中へと入った。

 広い部屋の中には、大きな机と壁の周りに本棚。それと観葉植物が置いてあるだけでガランとしていた。

「え!? 女子がいる!」

 そう声を上げたのは二十代半ばくらいの綺麗なお姉さんだった。燃えるような見事な赤毛をひとつにまとめ、ぱりっとした白いシャツを身につけている。
 彼女は座っていたイスから立ち上がると、チョコレート色の瞳をキラキラさせてこちらを見詰めた。

「しかも美少女じゃんっ!
 えー? どうしたの? 迷子? そこの男にへんなことされなかった? だいじょうぶ?」
「ちょっとぉ! モルガナさん!」

 抗議の声を上げるジェイドは無視して、お姉さん――モルガナさんはまくし立てる。

「お昼もう食べた? 嫌いな物ある? お酒飲める? どこの宿屋に泊まってるの? 歳いくつ? 名前は?」

 こわいこわいこわい! 圧が凄い!

「会長落ち着いて! あんた目がヤベーんですよ! ステイ! ハウス! いいから一回座れ!」

 ジェイドに指さされて、モルガナさんは渋々イスに座り直した。

「ちぇー、見せびらかしたいだけなら連れてくんなよー」
「ちがいます……!」

 ジェイドが苦虫を噛み潰した顔をしているのを見て、わたしは自分の胸に手を当て名乗った。

 さっき聞かれたしね。

「あの、はじめまして。ルチル・プラシオーラと申します」
「ルチルちゃん! 可愛い名前!」
「それしか覚えて無いらしいんですよ」
「は?」

 ジェイドの言葉にモルガナさんが眉根を寄せる。
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