朝焼けの女神

小笠原雅

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朝焼けの女神⑨ 浄化すると言う事

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朝焼けの女神⑨
 浄化すると言う事

 そこは国道沿いのパーキングエリアの中にある、道の駅のような場所にあった。
 大きな野菜直売所の看板がある、街のスーパーと変わらないぐらいの広さだ。
 ここにはスーパーの様な決まった形の野菜だけって事は無い。
 さっき泣いていたのが嘘の様に明るくなった文子が先頭に立ち店の中をずんずんと歩いて行く。
 店の中に入ると文子がはしゃぐように野菜を手に持ち説明してくれる。
 なんかなぁ野菜ではしゃげるって凄いなぁ。たしかに人参でも種類があるし色も大きさも違う。
「やっぱり畑がしたいなぁ、土の匂いが懐かしいな」
 三浦は関心しながら文子の後ろをついて回った。
 おかげですっかり打ち解ける事が出来て知らない間に言葉も気を使わなくて良くなった。
 買い物が終わり2人でソフトクリーム舐めながら車で帰った。
 「向こうでは食事は全てベジタリアンで味付けもシンプルだし、油もほとんど使っていないのでとてもあっさりしているの。
 1日2回のそんな食事なのに、空腹も感じないし、不思議な満足感があったわ。
 私たちが日常生活で何か食べたいと思う時、必ずしも本当に空腹なわけじゃないでしょ、お腹というよりも、心を満たすために食べていることが多いって感じるの。」
 なるほどって思いながら三浦が答えた。
 「精神が落ち着いているために空腹を感じないのかもしれないね」
 文子はうんうんと頷きながら、
 「ヨガのプラーナの元は宇宙的なエネルギーで、私たちは、このプラーナを食べ物、太陽の光、呼吸からも摂取しているの。
 そう考えると私たちのカラダはエネルギーの通り道だから、余計なモノがとどまらないようにしなければならないのよ。
 滞るものは、腐敗する。
 入ってくるものを考える前に、余分なものを流していくことを優先するの、ヨーガでは、浄化を大切にするわ」
 三浦はへーって感じでうなずいた。
 「グルは言うの、
「常に身を清めることを意識しないとならない」
 だから部屋も常に掃除をして、綺麗な状態を保つよう心がける。浄化することで、身体も心も魂も余計なモノを取り払い、宇宙的なエネルギーと一体となれるようクリアにするの」

「グルが言うには、ヨギーが身を清める方法として、Kriyas(クリヤー)と呼ばれる6つの浄化法があるの。
Neti(ネティ)という片方の鼻腔から、ポットで塩水をもう片方の鼻腔に流して粘膜をクレンジングする方法ね。
 これをすると顔を洗った後のようなサッパリ感がある。しかも空気の通りがよくなるせいか、頭もスッキリする。グルはは朝と夜2回ネティを行ってた。
 カパラバティと呼ばれる呼吸法は、肺を浄化し、頭蓋骨を浄化する。
 アーサナ、メディテーション、ベジタリアンの食事によって、心身を浄化し、自分を健康で健全に保つ事が本来の重要な目的なのよ。それは精神的修行に必要な、強い集中力を養うためだと」
「グルに会うまではアーサナがヨガだって思ってたけど、6つの浄化があってこそ宇宙のエネルギーを体に通していく事が出来るのよ。アーサナはその一つなのね」
 
 文子の家に着き段ボールいっぱいの野菜を部屋に運び入れた。
 さっそく文子は部屋着に着替えてキッチンに立って料理作りに夢中になっている。
「大人数の家族で食事だったから1人の食卓は辛いって感じるわ、でもレストランは嫌だし、実家は職場から遠いし、来てくれてほんと嬉しいのよ」
 
 フライパンの上でギーが焦げる匂いが香ばしくて良い。ニンニクと生姜もダルスープに人参を茹でたものと夏野菜の蒸したものが食卓に並んだ。
 野菜が好きな三浦は蒸しただけの野菜の旨味に驚いた
「これを食べてたら牛丼は食べられないなぁ、あれはほんとに調味料の味しかしないもんね」
「批判するつもりは無いんだけど、お腹の調子を考えるとこの食事になるのよ」
「そうかもね、これもヨガの一つなんだね」
「そうなの、大切な事なの、タントラ的な集団だったから全部なのよ」
 三浦の中にタントラって聞いて一つの思いが浮かんだ。
「タントラってセックスを修業に使うって聞いたことあるよ。グルのお世話をしてたって言ったけど、男女の中になったりしなかったの?」
「グルとセックスしたって事?」
「いや、いきなり本音の質問しちゃったな」
 三浦は慌てて言葉を濁した。
 文子は少し黙って
「年に何回か集会があるの、そこで性エネルギーを使って悟りに近づく為に交接をするの。気が通じているって大前提が出来ていてね、毎日ずっと一緒の生活なのね。
 それは素晴らしい経験よ、宇宙の中で神の懐にいる事がハッキリとわかる。
 内弟子として身の回りのお世話もするし、教室を手伝うし、その間もみっちりと修行が有るの」
「そうなんだね、文子はすごい体験をしていると思とうよ」
「グルには所有って概念が無いの、他にもシスターがいたわ、シスターだけでなく男の弟子もいてみんな繋がりあっていた。中にはグルの子どもをいただいたシスターもいたの、でもみんな中良くてコロニーを盛り上げて行こうって元気だったのよ。グルが生きていればもっと幸せな時間が続いたと思うわ」
「そうだったんだね残念な事をしたね」
「ねえ、セックスを儀礼として扱う集団は悪い事って思う?」
「どうだろう。セックスだからな」
「この話をするのはあなただけ、日本ではとっても難しい話しだけどセックスは子どもを産む為の行為としか考えが無いの、快楽を求めると淫らと言われる。
 でもものすごいエネルギーを獲得出来る神様からの贈り物なのよ」
「贈り物?セックスが神様の?」
「そう、これがわかる人って何人いるのかしら、チャクラエネルギーを背筋から頭頂に抜く時の修行として、交接があるのよ、男性が射精をしたい時、エネルギーは下丹田にあるの、それを呼吸を使って頭頂にあげる射精感が無くなってもっと大きなエネルギーを作り出す事が出来るのよ。グルは私とのセッションで一度も射精しなかった。
 でも私が何度もオーガズムを向かえるエネルギーを彼は吸いとっていくのよ。それで満たされていくの、そのエネルギーがまたグルのシンボルから私に戻って来て私の身体が光り輝く様にエネルギーで満たされるのよ。
 その後のグルのオーラは金色に輝いてますます偉大に見えたわ」
 三浦は文子が話し出している時にオーラの色が変わっていく様に思えた、キラキラと輝く物が文子の周りにある、きっとそれは金色のオーラなんだろう。

「グルが夢を見たって教えてくれたの。
 彼はそれを教えてくれてから3日後2居なくなってしまったけど、はっきり覚えてる」
「なんて言ったの」
「私の運命を決める人が現れるって言われたの、その為に生まれた国に帰りなさいって。
 全く帰るつもりは無かったけど、運命に従いなさいって言われたの、その3日後に事故があったのよ」
「そんな事があったのか」
「運命に従いなさいって、このタイミングで日本に帰りなさいって」シスター達も言うの。






 
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