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第三章
第五十一話「忠誠心」
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「朔様っ!」
琥珀(こはく)に乗った朔が、結月と瀬那を一瞥する。
白く長い毛をなびかせて、琥珀は主人が降りやすいようにと伏せる。
自身を軽く預ける程度で進行方向に対し、横向きに乗っていた朔。
そのままゆっくりと右足から地面に降り立つと、魔夜をじっと見つめる──
「お前が【俺】か」
朔が【自分自身】に化けた魔夜を鬱陶しそうに眺めると、そのまま太刀を抜いて駆けだした。
(攻撃しては、魔夜が強くなってしまう……!)
結月は心の中で思い、朔へ言葉を発しようとしたが、その瞬間に気づいた。
【朔への忠誠心】で強くなる魔夜だが、【朔自身】の攻撃はどうなのか。
朔自身が攻撃をすれば、その【忠誠心】も無効になるのではないだろうか。
「──」
「……」
朔と魔夜、どちらも言葉を発することなく、刃がぶつかり合う。
何度も角度を変え、攻防を繰り返す刃、二人の朔。
背丈や攻撃の動きは素人目には同じに見えるだろうが、結月や瀬那にはやはり違ってみえた。
「……朔様……」
「やはり、さすが朔様だぜ……、動きがまるで違う」
瀬那の言葉の通り、事実戦況の利は朔にあった。
朔の振るう刃が、魔夜の右肩を斬りつける。
「……」
「痛みも感じぬのか」
朔の言葉の通り、魔夜は『痛み』すら感じていなかった。
自分自身が斬られようと、魔夜はその能面のような顔を止めない。
一方、結月のもとには朔を降ろした琥珀が来ていた。
近くに寄ると、そのまま右肩の傷を舐めた。
まるで癒すように──
「ありがとう、琥珀。いい子ね」
結月がひとなですると、琥珀は気持ちよさそうに目を閉じた。
「琥珀、瀬那さんをお願い。瀬那さんの傍にいて」
琥珀は結月の言葉の意図を問うように、結月の目を見つめる。
「私も……行かなきゃ」
結月は右肩を抑えながら、戦う朔のもとに向かった──
琥珀(こはく)に乗った朔が、結月と瀬那を一瞥する。
白く長い毛をなびかせて、琥珀は主人が降りやすいようにと伏せる。
自身を軽く預ける程度で進行方向に対し、横向きに乗っていた朔。
そのままゆっくりと右足から地面に降り立つと、魔夜をじっと見つめる──
「お前が【俺】か」
朔が【自分自身】に化けた魔夜を鬱陶しそうに眺めると、そのまま太刀を抜いて駆けだした。
(攻撃しては、魔夜が強くなってしまう……!)
結月は心の中で思い、朔へ言葉を発しようとしたが、その瞬間に気づいた。
【朔への忠誠心】で強くなる魔夜だが、【朔自身】の攻撃はどうなのか。
朔自身が攻撃をすれば、その【忠誠心】も無効になるのではないだろうか。
「──」
「……」
朔と魔夜、どちらも言葉を発することなく、刃がぶつかり合う。
何度も角度を変え、攻防を繰り返す刃、二人の朔。
背丈や攻撃の動きは素人目には同じに見えるだろうが、結月や瀬那にはやはり違ってみえた。
「……朔様……」
「やはり、さすが朔様だぜ……、動きがまるで違う」
瀬那の言葉の通り、事実戦況の利は朔にあった。
朔の振るう刃が、魔夜の右肩を斬りつける。
「……」
「痛みも感じぬのか」
朔の言葉の通り、魔夜は『痛み』すら感じていなかった。
自分自身が斬られようと、魔夜はその能面のような顔を止めない。
一方、結月のもとには朔を降ろした琥珀が来ていた。
近くに寄ると、そのまま右肩の傷を舐めた。
まるで癒すように──
「ありがとう、琥珀。いい子ね」
結月がひとなですると、琥珀は気持ちよさそうに目を閉じた。
「琥珀、瀬那さんをお願い。瀬那さんの傍にいて」
琥珀は結月の言葉の意図を問うように、結月の目を見つめる。
「私も……行かなきゃ」
結月は右肩を抑えながら、戦う朔のもとに向かった──
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