天牙の華~政略結婚から始まる復讐は、最強の【刀】に至上の恋を教える~

八重

文字の大きさ
59 / 62
第四章

第五十九話「調査」

しおりを挟む
 夜──

「霊か……」

「なんだ? 怖いのか?」

 瀬那が顔を歪めながら歩く蓮人に、からかうように話しかける。
 二人は昼間の会合で指示された、西の森の屋敷に向かっていた。

「怖くねえっての!」

「ほお~?」

 にやにやとしながら、蓮人を覗き込む瀬那。

「こっちみんなよ気持ちわりぃ」

「気持ち悪いってひどいっしょ」

 このような掛け合いも二人にとっては日常茶飯事。
 仲がいいのか、悪いのか……。
 守り人たち一条家の人間を含めた大半は、この口喧嘩を温かい気持ちで見守っていることを二人は知らない。

 そうして口喧嘩をしているうちに屋敷に到着した。
 今は使われてないというだけあり、木の老朽化が激しい。
 屋敷の部屋のところどころは屋根から崩れ落ちている。

「今のところはその『霊』とやらはいないようだな」

「火の玉も見えねぇ」

「とりあえず、屋敷のまわりから調査進めていくか」

「おう」

 相談した結果、屋敷を右回りに、蓮人が左回りに見て回ることにした。

 同時に瀬那と蓮人が屋敷の庭と外周を中心に、見て回る。


 しばらく見回っていると、瀬那と蓮人が再び屋敷の裏口辺りで合流した。

「なんか異変あったか?」

「いや、何も」

 二人は念入りに確認をしたが、ひとまず庭や屋敷周りと外から軽く屋敷の中を見る分には、何も異常はなかった。

「じゃあ、本格的に中見てみるか」

 瀬那がそういうと、ゆっくりと二人は屋敷の中に足を踏み入れた。
 二人が歩くたびに、床が悲鳴をあげる。

「武家屋敷……か?」

「ああ、刀も鎧もある、小さめだが武器倉庫もあるな」

 各部屋をくまなく調査していく。


 二人は最後の一室にたどり着いた。
 この屋敷の主人であった人物の部屋のようだが、掛け軸、刀、鎧、骨とう品が置かれている。

「何もおかしなところねえよな」

 すると、蓮人の問いに瀬那が真剣な顔で答える。

「いや、おかしい。これだけの老朽化、10年はくだらない年数たってる。なのに、骨とう品やら何やら揃っているのはおかしくないか?」

「──っ!」

 瀬那の推察通り、通常であれば野盗に物品などはおおよそ盗られ、何もないことが多い。
 しかし、あまりにこの屋敷のものは建物のわりに【揃いすぎている】。

 
 その時、瀬那と蓮人の立っている床がぐらぐらと揺れ始めた。

「なっ!」

 瀬那と蓮人は咄嗟に受け身を取るも、態勢を崩され膝をつく。
 突如として起こった揺れは、さらに勢いを増し、柱が大きく崩れてゆく。

 崩れ行く柱が瀬那と蓮人を襲う。

「やべえ!!」

 瀬那が慌てて結界を張るも、一足遅かった。
 柱や崩れ行く天井が瀬那と蓮人の上にのしかかる。
 
 その一瞬、瀬那は、掛け軸の前に目を見やった。

 そこにはにやりと笑う若い男の霊が佇んでいた──
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

女性が少ない世界に転生した控えめ伯爵令嬢、なぜか五人の婚約候補に選ばれて少しずつ恋を知っていきます

ノッポ
恋愛
女性が極端に少ない異世界に転生した私は、気づけば伯爵令嬢になっていた。 前世は日本で普通に生きていたせいか、貴族令嬢らしい強気な振る舞いがどうしても苦手。 社交界デビューを迎えても、「どうして私が選ばれるの?」と戸惑うばかりだった。 けれど今年デビューする高位令嬢はわずか三人。 家同士の思惑も重なり、騎士団長家の息子、宰相子息、魔術師団長の息子、幼なじみの侯爵子息、そして英雄騎士―― 五人の若きエリートとのお見合いが次々と始まってしまう。 遠慮がちで控えめな性格は、この世界では珍しく、気づけば少しずつ距離を縮めていく彼ら。 異世界での恋愛に戸惑う日々。けれど出会いを重ねるたびに、私は少しずつ変わっていく――。 女性希少世界で、自分の幸せを選べるようになるまでの逆ハーレム恋愛ファンタジー。

拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました

星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎ 王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝―― 路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。 熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。 「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」 甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。 よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、 気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて―― しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!? 「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」 年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。 ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。

猫なので、もう働きません。

具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。 やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!? しかもここは女性が極端に少ない世界。 イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。 「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。 これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。 ※表紙はAI画像です

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について

えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。 しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。 その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。 死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。 戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...