天牙の華~政略結婚から始まる復讐は、最強の【刀】に至上の恋を教える~

八重

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第四章

第六十話「消失」

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 瀬那と蓮人が屋敷の調査に向かっていた頃と同じくして、結月と実桜は街の巡回に出ていた。

「小さな妖魔の出現くらいで、特に大きな異変はなさそうですね」

「そうですね」

 結月と実桜は普段通りの巡回を終えて、宮廷に戻ろうとしていた。

 その時、凛の式神が結月と実桜のもとに降り立った。
 式神は童(わらべ)の様相をしており、そこに表情はない。

「実桜さん」

「はい、凛さんからの伝言ですね」



『セナ、レント、ケハイショウシツ。イソギ、ヒガシノヤシキヘムカワレタシ』



「「──っ!」」

「瀬那さんと、蓮人くんの気配が消えた……」

「向かいましょう」

「はいっ!」

 結月と実桜は瀬那と蓮人が調査に向かった、東の屋敷へと駆けだした。
 目的地へ向かう間に実桜が、凛の式神に指示を出す。

「凛さんに承知と伝えてください」

 式神はこくりと頷くと、再び宮廷のほうへと飛び立った。


──────────────────────────────

 結月と実桜は、東の屋敷に到着した。

「結月さん、気を付けてください」

「はい」

 二人は武器を構えながら、屋敷を注意深く観察する。

 しばらくの間、屋敷を見て回るが、何も異変はない。
 そして、確かにそこに瀬那と蓮人の姿もなかった。

「瀬那さんと蓮人くんは一体どこに……」

 結月が言いかけたその瞬間、二人の立つ床がぐらぐらと揺れだした。

「──っ!」

 二人は崩れ行く屋敷に巻き込まれそうになる。
 結月と実桜は咄嗟に屋敷の外に出ようとしたが、その瞬間に妖魔の気配を感じてそちらを向いた。

 そこには、若い男の霊らしきものがいた。

「実桜さん!」

「はい、あの男の持つ鏡から強い瘴気を感じます」

 結月はあの鏡に禍々しさを感じ、自らの双剣の片方を鏡に向かって投げた。
 結月の投げた刀は見事鏡にあたり、鏡の破片が飛び散る。

 すると、崩れていた屋敷がもとに戻り、ぐらつきもおさまった。

 鏡が割れた拍子に若い男の霊は屋敷の裏口のほうへと逃げていく。

「鏡の幻……」

「はい、おそらくあの男の霊は妖魔で、鏡を使い幻を見せて油断させていたのでしょう」

「実桜さん、瀬那さんと蓮人くんの気配が消えたのは、あの妖魔の仕業でしょうか」

「そう考えるのが自然でしょう。ひとまず、妖魔を追いましょう」

「はい」

 結月と実桜は姿を消した妖魔を追いかけた──
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