社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa

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第1章・綺麗なエルフ族の女の子

018:模擬戦

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 俺の目の前には、フーッフーッと餌を前にした犬かと思う様なアランが立っており、俺の事を今にも殺しそうな目をしている。
 それくらいの感じで来てくれなければ、俺としては目立つところが無いからな。


「メインイベント………スタートだぁあああ!!!!」


 司会者のコールと共にメインイベントの模擬戦が始まる。
 俺としては後手に回って様子を見たいところだが、アランは木刀を握ったまま動こうとしていない。
 それなら俺から動くしか無い、チャンピオンに動いてもらうにはチャレンジャーから仕掛けなきゃな。


「開幕はもらうぞ!!」

・高速移動魔法Level2

「おいおい。まだまだ遅いじゃねぇか………これで英雄に勝てると思ってんのか!!」

・砂魔法Level3《サンド・ハンド》


 高速移動魔法で速度を上げて距離を潰したが、やはり英雄クラスの冒険者で、簡単に俺の動きを捉えていたのである。
 アランは自分のオリジナルスキル《砂男サンド・マン》の能力で、地面から大きな砂の手が出てきて俺を捕まえる。


「これがオリジナルスキルの力か………確かに土魔法よりも遥かに攻撃しづらく防御もしづらい」

「捕まったら終わりだって事を教えてやるよ!!」

・砂魔法Level3《水取り砂ウォーター・トマール


 捕まったら終わりだって?
 ここからの脱出方法なら色々と思いつくが、さっきから口の中がカラカラになってんな。
 まさか!?
 触られているうちは俺の体内の水分を奪っているのか。


「喉乾いちゃうじゃん!!」

・水魔法Level1《ウォーター・ボール》

「ちっ。水魔法も使えたのか………」


 こういう砂を使って戦う人間というのは大抵、水が弱点だというのは鉄則だ。
 そこで俺は大きいウォーターボールを作ると、考えていた通りに俺の体が濡れた途端に砂が壊れていった。


「危ない危ない。開始早々に、干し肉みたいになっちゃうところだった」

「気を抜いてんじゃねぇ!!」

「本当に危なっ!?」


 砂から解放された事に少し気を緩めているうちに、アランは飛びかかって来ており、俺は慌てて真横に飛び避けた。
 するとさすがは英雄さまと言ったところか、地面がドーンッという爆発音と共に抉れていた。
 間一髪で避けられたが、俺の立っているところの地面から何やら嫌な感じがした為に避けると、地面から砂の手が出て来る。


「少しの油断をさせてくれないってわけね………オッケーオッケーッ!! そう来なくっちゃ楽しく無いよな!!」

「そう言ってられるのも、今のうちだぞ………この木刀で、お前の頭をカチ割ってやる」

「そう簡単にはいかないのが人生ってわけよ!!」

・炎魔法Level1:ファイヤーボール
・風魔法Level2:ストーム

――――炎龍の吐息ドラゴニック・ブレス――――


 炎魔法と風魔法を組み合わせた、ドラゴンの炎をアランに向けて打つと、アランは逃げる事なく真っ正面から受け止める。
 どうみたって避けないという事は、防ぎ切る自信があるからで俺は第二の矢に集中をしている。


「甘いんだよっ!! こんなもんで、俺が焦げるとでも思ってんのか………お前の攻撃、行動、言葉の全てが俺を苛立たせる」

・砂魔法Level4《砂の竜サンド・ドラゴン

「うぉ!? アンタ俺に対抗して、ドラゴンを出して来たんだな………中々に盛り上げ上手だな!!」

・水魔法Level2《ウォーターボール》
・土魔法Level2《ゴーレム》

――――泥の竜マッド・ドラゴン――――


 アランが砂の竜を出して来た為に、俺は観客を盛り上げる為に水魔法と土魔法を合わせた泥のドラゴンを合わせたのである。
 砂のドラゴンと泥のドラゴンは、互いに向かって突っ込んでいき、ぶつかって2つとも消滅してしまった。


「なんだと!? たかだか泥の竜に、俺の砂が負けるわけはずがない………」

「そうやって現実をみないから成長しないんだよっ!!」

「なに!? いつのまに死角に入っていた!!」


 アランは自分が出した砂の竜が、俺のドラゴンと相打ちになった事に衝撃を受けていて、俺の存在に気がつくのが遅れる。
 こうなるであろうと分かっていたので、俺は砂が飛び散って視界が悪くなった瞬間に、アランの死角に飛び込んでいた。
 そのまま反応が遅れてしまったアランに、俺は躊躇なく木刀を振るうと防ごうとしたがモロに喰らって吹き飛んでいった。


「思ったよりも吹き飛んでいったな。これにプラスして、筋力増強魔法を使ったら、木刀でも真っ二つにできるんじゃないか?」


 木刀で殴ったとは思えない威力で、俺も少し驚いて木刀でも人を真っ二つにできるのでは無いかと考えた。
 コロッセオの壁まで吹き飛んだアランは、砂埃の中から服は破れて上半身が裸になってはいるが、体は無傷なままだった。


「なに? あれだけ喰らって、体は無傷だってのか………まさか回復系の魔法を持っている?」

「思ったよりも効果があるみたいだな………力が溢れて来るようだ!! お前を殺して栄光を手にするまでは倒れない!!」

・砂魔法レベル5《砂地獄サンド・オブ・ヘル


 アランの目は真っ赤になっており、明らかに常人の目ではなく観客は気がついていない様だが、俺にはハッキリと見えている。
 あまりにもハイになっている事から、俺は警戒する為に木刀を構えると、アランはLevel5の砂魔法を使って来た。
 地面の土は砂に変わって、俺は段々と砂の中に足を取られていき沈んでいく。


「ちっ。蟻地獄ってところか………」

「沈んでしまえ!! Level5を防ぐ方法なんて、お前の様な駆け出し冒険者には無いだろう!!」

「確かにな。魔法のレベルでは、対抗はできやしない………だがな。魔力量では引きを取らないんだよ!!」

・筋肉増強魔法レベル2


 舐められたもんだな。
 魔法レベルは俺のオリジナルスキルの副作用として、どれだけ鍛えても上がる事は無い。
 しかしレベルを補う方法として、俺には常人の人間とは比べ物にはならないくらいの魔力量を誇っている。
 それを証明する為に、俺は筋力増強魔法を使って、全力で地面を木刀で殴ると足周辺にあった砂が空中に舞い上がる。


「なんだと!? ただのLevel2の増強魔法で、俺の砂を蹴散らしただと!?」

「まだまだ、俺のレベルを上げさせてもらうわ………お前の砂魔法を持ってな」

・水魔法Level2《ウォーターベール》


 自分の砂を蹴散らされた事に、勝ったと勝手に思ったアランはショックを受ける。
 俺はアランのスキルをコピーして、さらに高みへと登ってやろうと考えている。
 その為に近づこうと体に水を纏う魔法を使って、アランの砂地獄を簡単に攻略してしまったのである。


「そんなはずは無い………そんなはずは無いんだっ!!」

「そんな真っ向から来てくれた方が助かるわ!!」


 アランは真っ向から魔法を使う事なく、俺に飛びかかって来て今試合において初の超接近戦となる。
 木刀1本分くらいの距離で、互いに木刀を振って致命傷を与えようとするが、さすがは英雄と言ったところで、この集中力と攻撃の密度で疲れなんて見えて来ず隙が現れない。
 ここに来て魔法ではなく剣術で勝負して来るとは、魔法では俺に勝てないと認めた様な気がするが、その気合に付き合う。


「この距離なら水なんて、対して関係なくなるぞ………」

「ま まさか!?」

「突き破れ!!」

・砂魔法レベル3《サンド・スピア》


 アランは俺が至近距離で剣術に集中する事を狙っていた。
 ここまで近づかれていたら、水を纏っていようが突き抜けて俺の体を砂の槍が突き刺さった。
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