社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa

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第4章・ロリっ子な吸血鬼の女の子

140:惨劇の要因

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 俺たちは馬に乗って、さっきまで綺麗な街並みだったところに急いで向かう。その街にはエッタさんたちがいるはず、パニックになってはいけないと分かっているが落ち着けないのである。


「くっそ。どうなってんだよ………ほんのさっきまで、異変なんて無かっただろ」


 目の前の光景が、ほんの数時間前までとは異なり過ぎている為に動揺が隠せない。倒壊する音や地震など、異変なんて俺たちは感じられなかった。
 今までよりも遥かに俺が余裕ない事に、イローナちゃんとルイちゃんの間には緊張感が走っている。そしてファミリーになって日が浅いローズちゃんすらも、俺たちの焦りように、少し冷や汗をかいてるくらいだ。


「ミナト殿っ!! あそこに人の影がっ!!」

「なにっ!! 何か様子がおかしくないか………」


 ルイちゃんは瓦礫の上に立っている人を見つけた。それを俺に報告してくれて、直ぐに俺も目線を移動させて確認するが、その人間の様子がおかしかった。
 危険かもしれないと俺は思って、全員の馬を止めさせて警戒を高める。もしかしたら生存者ではなく、この街の惨状を作った張本人かもしれないからだ。


「俺が、あの人間に接触するから3人は、街の中に生存者がいないか確認してくれる?」

「了解でござるが、ミナト殿は1人で大丈夫か?」

「おう。3人を危険に晒す方が嫌だからね」


 犠牲になるとするのならば、俺だけで良いと思っているので怪しい人間に接触するのは俺だ。他の3人には街に犠牲がいないかという調査に行ってもらう事にした。
 俺とイローナちゃんたちは、互いに円陣を行なってから役割に沿って解散していく。皆んなが、こっそり街の中に向かうのを見届けてから、俺は怪しい人間のところに行って接触を試みる。


「おいっ!! そこのアンタ………そんなところで、何をやってるんだ!!」

「誰だ?」

「それは、こっちのセリフだ。そんなところで何をやってる誰だ!! この惨劇は、お前の仕業か?」

「惨劇だと? これは制裁だ。この国の国王である《ギン=オーイン》様に対する不敬な態度をとった罪でな」


 近づいて分かったのだが、瓦礫の上に立っていたのは国印のマークが入れられている鎧を着た、このノースカリクッパ王国の騎士だった。顔も20代前半と言った顔つきで、けっこう若い男なのだと分かった。
 それと同時に、この瓦礫の山を作った人間が、この目の前にいる若い騎士だと分かった。しかも戦争を起こした事に対する制裁だと言っているのだが、あまりにも酷い行為なのではないかと眉を歪める。


「じゃあ、お前がやったという事で良いんだな。今から俺にやられるって事で良いんだな!!」

「誰が、誰にやられるって? この俺《カン=ジョンチョル》様が、お前みたいなガキに何ができる?」


 どうやら俺の事をガキだと思って侮ってくれているみたいだ。そんなに侮ってくれているのなら、俺の勝率が上がるだけだから良いのだが、1つ気になる事が俺にはある。それは、この男が街を破壊するだけの力を持っているのかという事だ。
 相当な魔力量を持っている俺が、この街を壊そうとしても破壊した後は動けなくなるモノだ。しかし男は元気そうに俺に対して喧嘩を売ってきている。それだけの力が、この男にあるというのが信じられない。それか何らかの行為を行なって破壊行為をしたのか。それは今の段階では判断しかねるが、とにかく男を駆除しなければいけないのは事実だろう。


「そんなに自信があるってんなら、俺とのタイマンを受けてくれるよな?」

「当たり前だ。お前程度のガキなんて、俺が本気を出さなくても勝てるわ!!」


 思っている以上にプライドが高い男だと分かる。そんなに自分に自信があるという事は、それなりの実力を持っているのも確かな事実ではあるだろう。そうでなければ、これだけの破壊行為とは理由が繋がらない。


「じゃあ始めようか………俺も少しイラッとしてるから手加減できるかは分からないわ」

「何を強がってるんだ? 本物の強者にあった事がないから、俺の強さが分からないんだろうな!!」

「とにかく直ぐに黙らせてやるよ………」


 さすがの俺でも弱い人間に、適当なマウントを取られるのにはイラッとしてしまう。
 力加減ができるかは、分からないがカンに向かって一気に飛び出した。カンの想定していた速さよりも遥かに速かった為、ガードする事ができずにクリーンヒットして、カンは瓦礫の中に突っ込んでいくのである。


「はぁ? どうなってんだよ………これだけの破壊行為ができるのに、こんなに弱いのか?」


 あまりにもプライドだけが高いカンに、俺はビックリして終わりなのかと困惑してしまった。こんな破壊行為ができるのに、俺の拳1つでKOなんて驚くだろ。


「おいおい。うちの取引先の人に何してくれてんの?」

「誰だ、お前は………なっ!? そうか。この惨劇を作ったのは、お前の方だったか」


 俺が驚いて立ち尽くしているところに、黒い服を着た細身の男が現れた。
 誰なのかと思って見てみたら、俺は直ぐに理解したのである。この街を破壊したのは、カンという男ではなくて目の前にいる、この謎の男という事を。
 それにしても男は、このカンの事を取引先と言った事が気になる。取引先という事は、この謎の男はノースカリクッパ王国の人間では無いんじゃないか。


「おっ? 俺がやったと気がついたのか………それなりに戦える口というわけか」

「それなりかは分からないけど、アンタに勝つくらいには強いと思うぞ」


 向こうは完全に俺の事を下に見ている。それならばと俺も強気に、相手を煽るようなセリフを吐いた。そんな事を言われたモノだから怒ると思ったが、表情は何1つ変えないという余裕を見せる。


「言ってくれるじゃ無いか。首領からは、面倒ごとを起こすなって言われてるけど………これはやってみたいって思わなきゃ男じゃないな!!」


 どうやらやる気になったみたいだ。こっちとしては強さの底が見えないというのが、少し怖いところではあるが引けないというのも事実だ。
 だからこそ俺は右足をジジジッと下げて、謎の男が向かってくるのを待つのである。


「良い構えだ。さっきのを見てるから、俺は手を抜かずに最初から本気で行くぞ!!」


 俺がカンを瞬殺しているのを見て、最初からマックスで戦ってやると笑みを浮かべながらいう。俺も構えているので、戦う準備は万全だ。
 そして男は俺に向かって飛び出してくるのだが、最近は弱い奴としか戦っていなかった為に感覚が鈍ってしまっていた。瞬きをした瞬間、目の前に男が現れて拳を振るってきた。何とかギリギリのところで、俺は腕を顔の前に持っていきガードをしたが相当なダメージが入ってしまったのである。


「へぇ、今のを受け止められるのか。俺が想定していたよりも強くて驚きだなぁ」

「速いな。それにパワーも申し分ない………さっきのカンとかいう奴とは比較にならないな」


 ガードできた事に男は想定していたよりも、俺の強さに驚いて素直に褒めてしまう。俺の方は腕がピリピリしてダメージの大きさを感じる。
 何よりもカンとかいう男よりも遥かに、この男の方が数十倍は上の相手である。
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