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朝のひと時、推しの副隊長様とのティータイム
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さあ、今日から通常勤務だ。
それにしても、昨日の筋肉祭り・・・じゃなくて、入隊式は圧巻だったなぁ。
さすが騎士団、皆、素晴らしい軍服の着こなし。
もう、妄想が捗る捗る。
ちょっとでも仲良く話してる様を見てたら、みんなカップルにしてやったわ!!!
わっはっは。
あー楽しい!天国だよ、天国。妄想天国。
あ、いかん、もうすぐ着くから顔、引き締めないと。
スン、として、第二隊の門を通る。
入り口で守衛さんに挨拶を交わし、パスを見せて建物に入って行った。
昨日は女性新人騎士たちと私で先輩騎士について、ロッカーやトイレの場所、食堂や救護室など、必要な場所を案内してもらった。
体術訓練などを行う武術道場などもあるのが騎士団らしかった。
第二隊の執務室へ入る。
「おはようデパルさん」
びっくりした。私が一番早いかと思っていたら、既に副隊長が机に座っていた。
「おはようございます。ロックス副隊長。早いですね」
「それを言うならデパルさんも早いだろう」
「いや。私は新人ですので・・・」
「新人だらからといって、特に早く来る必要はない。私は朝に鍛錬をしているんだ」
「こんな朝早くからですか?」
「ああ、人が少なくて捗る」
「なるほど。さすが副隊長ですね」
「まあ、昼間は何かと時間を取られるからな」
「そうなんですね」
昼間ではきっと騎士たちの訓練や何かで、自分が鍛錬する暇も無いのだろう。
だから早朝に鍛錬していると、ふむふむ、噂に違わぬ勤勉ぶり。
うちの父に爪の垢を煎じて飲ませたいくらいだ。
まあ、その代わり、家事は父がやってくれてはいるが。
席に座る前に、鍛錬後なら喉が渇いているだろうと、お茶を淹れようと備え付けの給湯室に入った。
おっと、訓練後なら冷たい方が良いかな?一応聞くか。
給湯室には立派な冷蔵庫もある。
「ロックス副隊長、お茶淹れますが、暖かいのと冷たいの、どちらが良いですか?」
「そんなに気を使わなくていいぞ、それぞれ勝手にするから」
「いえ、私も飲もうと思って、ついでにいかがですか?」
フッとグラント副隊長は笑みを浮かべて
「それならお言葉に甘えて、暖かいのをいただこう。カップはどれを使ってもらっても構わないから」
「承知しました」
学生時代だったら、こんな風に話してたら大変だったな。
後から先輩達に呼び出し食らうかもしれない。
紅茶を淹れながら、改めて、事務官試験に受かって良かった、と思った。
父が朝ドラの喫茶店マスターの役が来た時、またしても無駄にプロ意識が高い父は、何と紅茶マイスターなる資格まで取った。
数分も映らないのに。
本気か?と思ったが、案外とその時の父の演技が評判良く、それ以降、仕事が増えていった。
プロ意識という物は一見無駄に見えて侮れないものがあるなと思った。
その父にお茶の淹れ方がなってないと、しごかれまくったために、私までお茶を淹れるのが上手くなってしまった。
まぁ、グラント副隊長に飲んでいただけるなら無駄ではなかったようだ。
うん、よし上出来だ。
良い香りが給湯室に漂った。
給湯室を出て、どうぞ、とお茶をグラント副隊長の右手に置く。
左利きなのは確認済みだ。
書類を見ていた顔を上げる。
「ありがとう」
ニコリと優しげに微笑みながら言われた。
うおっ、これか!これが関わる人を虜にする笑顔か!
なるほど、普段のクールな表情からのギャップが凄い。危険だな。
慌ててニヤけない様表情を引き締めた。
「いえ、お口に合うかどうかわかりませんが」
これ以上話すとボロが出そうで危険だ。撤収、撤収。
それにしても、ちゃんと話したの初めてだけど、良い声だな。顔が良いと声も良いのかな。
自分の席に着いて、紅茶を飲む。
うん、良い出来だ。
「上手いな」
顔を上げると、驚いたような表情のグラント副隊長がこちらを見ていた。
いえいえ、それほど・・・ですね。父の特訓に感謝だ。
思わずニコリと笑ってしまった。
「お口に合ってよかったです」
「ああ、また、頼みたい」
「はい、いつでもどうぞ」
いいな、朝のひと時、推しの副隊長様とのティータイム。
これくらいのご褒美、バチは当たるまい。
毎日この時間に来ようと、密かに決意した。
その後すぐに同僚達も次々とやって来た。
慌ただしい一日が始まる。
私も先輩事務官のミシェル・エメルさんから引き継ぎを行った。
彼女は旦那さんが第一隊の騎士で、めでたく妊娠したが、つわりが酷く、大事を取って早めに出産休暇を取るとのことだった。
彼女も事務官試験を突破しただけあって優秀な方で、教え方も丁寧でわかりやすかった。
気さくで目元の黒子が色っぽい美人だった。
「うちはロックス副隊長になってから、事務官の雑用が増えたのよ」
ハァァァ、とため息をこぼしたミシェルさん。
お昼休みの食堂で、席に着いた途端にそうこぼした。
一通り仕事の説明が済んだら、丁度昼になったので、そのまま食堂でご飯を一緒に食べる事になった。
「どういう事ですか?」
「副隊長は王都中の独身女性に狙われてると言っても過言ではないわ」
ひぇぇ、ここでもか!
しかもさらにパワーアップしてる。
まあ、優良物件が過ぎるから仕方ないのか。
「モテすぎるのも大変よね。事務官は毎日届く手紙だのプレゼントだのを捌くだけで終わる日もあるわ」
「そんなに!」
「それだけじゃ無いのよ。私は既婚者だから平気だけど、独身女性がうっかり親しげに近寄ろうものなら、周りのファンから抜け駆けするなと釘まで刺されるらしいわ」
ごくっ。それって私、危険なんじゃ・・・
「だから、ミランダちゃん、気をつけてね」
「はい。仕事以上の接触は気をつけます」
「それでも同じ執務室ってだけで警戒されるから。ミランダちゃん可愛らしいし」
「いえいえ、私は恋愛にも結婚にも興味がないので大丈夫です。仕事に生きます!」
「そうは言ってもねぇ」
やや垂れ目がちな目元を心配げに細めて、フウと息をつく。
「とにかく、副隊長宛の物にはには気をつけてね。仕事にかこつけて何でも送ってくるから。まずは新人は副隊長宛の物の見極めからよ。午後から実践しましょう」
「はい」
やれやれ、事務官試験のための勉強は何だったんだ。
モテ過ぎる副隊長様自体に罪はないが、とほほ。
それにしても、昨日の筋肉祭り・・・じゃなくて、入隊式は圧巻だったなぁ。
さすが騎士団、皆、素晴らしい軍服の着こなし。
もう、妄想が捗る捗る。
ちょっとでも仲良く話してる様を見てたら、みんなカップルにしてやったわ!!!
わっはっは。
あー楽しい!天国だよ、天国。妄想天国。
あ、いかん、もうすぐ着くから顔、引き締めないと。
スン、として、第二隊の門を通る。
入り口で守衛さんに挨拶を交わし、パスを見せて建物に入って行った。
昨日は女性新人騎士たちと私で先輩騎士について、ロッカーやトイレの場所、食堂や救護室など、必要な場所を案内してもらった。
体術訓練などを行う武術道場などもあるのが騎士団らしかった。
第二隊の執務室へ入る。
「おはようデパルさん」
びっくりした。私が一番早いかと思っていたら、既に副隊長が机に座っていた。
「おはようございます。ロックス副隊長。早いですね」
「それを言うならデパルさんも早いだろう」
「いや。私は新人ですので・・・」
「新人だらからといって、特に早く来る必要はない。私は朝に鍛錬をしているんだ」
「こんな朝早くからですか?」
「ああ、人が少なくて捗る」
「なるほど。さすが副隊長ですね」
「まあ、昼間は何かと時間を取られるからな」
「そうなんですね」
昼間ではきっと騎士たちの訓練や何かで、自分が鍛錬する暇も無いのだろう。
だから早朝に鍛錬していると、ふむふむ、噂に違わぬ勤勉ぶり。
うちの父に爪の垢を煎じて飲ませたいくらいだ。
まあ、その代わり、家事は父がやってくれてはいるが。
席に座る前に、鍛錬後なら喉が渇いているだろうと、お茶を淹れようと備え付けの給湯室に入った。
おっと、訓練後なら冷たい方が良いかな?一応聞くか。
給湯室には立派な冷蔵庫もある。
「ロックス副隊長、お茶淹れますが、暖かいのと冷たいの、どちらが良いですか?」
「そんなに気を使わなくていいぞ、それぞれ勝手にするから」
「いえ、私も飲もうと思って、ついでにいかがですか?」
フッとグラント副隊長は笑みを浮かべて
「それならお言葉に甘えて、暖かいのをいただこう。カップはどれを使ってもらっても構わないから」
「承知しました」
学生時代だったら、こんな風に話してたら大変だったな。
後から先輩達に呼び出し食らうかもしれない。
紅茶を淹れながら、改めて、事務官試験に受かって良かった、と思った。
父が朝ドラの喫茶店マスターの役が来た時、またしても無駄にプロ意識が高い父は、何と紅茶マイスターなる資格まで取った。
数分も映らないのに。
本気か?と思ったが、案外とその時の父の演技が評判良く、それ以降、仕事が増えていった。
プロ意識という物は一見無駄に見えて侮れないものがあるなと思った。
その父にお茶の淹れ方がなってないと、しごかれまくったために、私までお茶を淹れるのが上手くなってしまった。
まぁ、グラント副隊長に飲んでいただけるなら無駄ではなかったようだ。
うん、よし上出来だ。
良い香りが給湯室に漂った。
給湯室を出て、どうぞ、とお茶をグラント副隊長の右手に置く。
左利きなのは確認済みだ。
書類を見ていた顔を上げる。
「ありがとう」
ニコリと優しげに微笑みながら言われた。
うおっ、これか!これが関わる人を虜にする笑顔か!
なるほど、普段のクールな表情からのギャップが凄い。危険だな。
慌ててニヤけない様表情を引き締めた。
「いえ、お口に合うかどうかわかりませんが」
これ以上話すとボロが出そうで危険だ。撤収、撤収。
それにしても、ちゃんと話したの初めてだけど、良い声だな。顔が良いと声も良いのかな。
自分の席に着いて、紅茶を飲む。
うん、良い出来だ。
「上手いな」
顔を上げると、驚いたような表情のグラント副隊長がこちらを見ていた。
いえいえ、それほど・・・ですね。父の特訓に感謝だ。
思わずニコリと笑ってしまった。
「お口に合ってよかったです」
「ああ、また、頼みたい」
「はい、いつでもどうぞ」
いいな、朝のひと時、推しの副隊長様とのティータイム。
これくらいのご褒美、バチは当たるまい。
毎日この時間に来ようと、密かに決意した。
その後すぐに同僚達も次々とやって来た。
慌ただしい一日が始まる。
私も先輩事務官のミシェル・エメルさんから引き継ぎを行った。
彼女は旦那さんが第一隊の騎士で、めでたく妊娠したが、つわりが酷く、大事を取って早めに出産休暇を取るとのことだった。
彼女も事務官試験を突破しただけあって優秀な方で、教え方も丁寧でわかりやすかった。
気さくで目元の黒子が色っぽい美人だった。
「うちはロックス副隊長になってから、事務官の雑用が増えたのよ」
ハァァァ、とため息をこぼしたミシェルさん。
お昼休みの食堂で、席に着いた途端にそうこぼした。
一通り仕事の説明が済んだら、丁度昼になったので、そのまま食堂でご飯を一緒に食べる事になった。
「どういう事ですか?」
「副隊長は王都中の独身女性に狙われてると言っても過言ではないわ」
ひぇぇ、ここでもか!
しかもさらにパワーアップしてる。
まあ、優良物件が過ぎるから仕方ないのか。
「モテすぎるのも大変よね。事務官は毎日届く手紙だのプレゼントだのを捌くだけで終わる日もあるわ」
「そんなに!」
「それだけじゃ無いのよ。私は既婚者だから平気だけど、独身女性がうっかり親しげに近寄ろうものなら、周りのファンから抜け駆けするなと釘まで刺されるらしいわ」
ごくっ。それって私、危険なんじゃ・・・
「だから、ミランダちゃん、気をつけてね」
「はい。仕事以上の接触は気をつけます」
「それでも同じ執務室ってだけで警戒されるから。ミランダちゃん可愛らしいし」
「いえいえ、私は恋愛にも結婚にも興味がないので大丈夫です。仕事に生きます!」
「そうは言ってもねぇ」
やや垂れ目がちな目元を心配げに細めて、フウと息をつく。
「とにかく、副隊長宛の物にはには気をつけてね。仕事にかこつけて何でも送ってくるから。まずは新人は副隊長宛の物の見極めからよ。午後から実践しましょう」
「はい」
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