[完結】うちの第二隊副隊長さまはモテ過ぎるのでとっとと結婚してほしい

いかくもハル

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仕分け作業は思ったよりもえげつなかった!

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午後はミシェルさんと二人、第二隊の執務室当てに届いた手紙や書類や荷物の仕分けをした。

他のみんなは訓練で出てしまっている。

これは封書?書類かな。大きめの茶色の封書で少し厚みがあり、でグラント副隊長宛で差出人の名前はない。手紙の箱に入れようとした。

「ちょっと待って!怪しいわ、見せて」

私が差し出すとミシェルさんは、くんかくんかと匂いを嗅ぎ出した。

「やっぱり、何か薬品が染み込ませてある」
「ひぇぇぇ!」

慌てて手を離した。机の上にトサリと落ちる。
触っちゃったよ~。

「大きいから開けると催淫魔術とかが発動する仕組みになってるかもしれないわね、これは解析班に回すわ」
「何ですか!そんな物まで送って来るんですか?」

もう犯罪じゃないか!そんなの。

「新人が来たから、うっかり渡すかもしれないって思ったのね。お生憎様!」

フンッ、とミシェルさんは豊かなお胸を逸らす。
なるほど、これは気が抜けない。
確かに慎重にならなくては、うちの副隊長が危ない。
モテ過ぎて一周回って暗殺並みの危険度になっている。
どういうこっちゃ。

もっと精進して、上級探索魔法を使える様になろう。
つくづく、魔術専科に行っといて良かった。

それからは私は探査魔法サーチを駆使して、仕分け作業を行った。

「ミランダちゃんが探査魔法使えて助かったわぁ~。魔術専科なんて凄いのね」
「いえいえ、私は魔力コントロールは得意なんですけど、採用試験の項目の実技が少し苦手で、克服するために通ってたんです」
「そうだったのね。早速役にだったじゃない」
「無駄知識が多いだけですよ」

変な所が父に似たのか、私も通うとなったらとことん極めたくなる気質で、魔術師になるわけでも無いのにここだけの話、常に成績はトップクラスだった。
教授の中には魔術師になるよう本気で説得する人すらいた。

冗談じゃない。私は魔術に興味があるわけじゃ無くて、筋肉に興味があるのだ。
魔術師では妄想が楽しめないでは無いか。
ジャンルとしてはあるのだが、私の好みでは無い。

中には浄化師のレオナルドさんみたいに、討伐に特化した逞しいタイプもいるだろうが、ほんの一握り。
筋肉天国の騎士団とは雲泥の差だ。


執務室の扉が開いて、誰かが入って来て私の隣にに並んだ。

「特に液体には気をつけてくれ」

真横で響きの良い低い声がした。
そ、その声は・・・
顔を上げると、この荷物の山の張本人、グラント副隊長だった。
サッと緩みそうになる顔を引き締める。
不意打ちの副隊長の声はヤバイ。声で妊娠する。しないか。

「液体ですか?」
「ああ、以前ちょっと、な」

口元を押さえて目を逸らす。ほんのり耳が赤くなっていた。
なるほど、混入されたか、飲まされたかしたのですね。そして何某かの被害を被ったと、ふむふむ。催淫系か。

赤くなって恥じらう副隊長など、レア!!ゴフッ!
私は悶えそうになるのを眉根を寄せて唇を噛み締め、太ももをねじり上げて堪えた。
一見すれば悔しそうに見えるだろう。

「大した事は無かったんだ。すぐに医療班に処置してもらえたし」
「わかりました。液体にも今後サーチをかけて処理します」

立て直した私はキリッとして言う。
ふぅ、危なかった。

「そうしてくれ。口に入れる物は信頼してる者からしか受け取らない事にしてるんだ」

こちらをジッと見つめながらグラント副隊長は言った。
ん?信頼している者?じゃあ、今朝紅茶を飲んでくれたという事は、私は信頼されてる?昨日今日の間柄なのに?

まあ、私に他意はないけれども。
だから、あんだけ団長達の面接が厳しかったんだな。
圧の掛け方半端なかったもんな。

自分の事務官信用できなかったら終わりだよね。
うんうん、納得。

「デパルさん」
「?はい」

尚も何か言いかけたグラント副隊長だったが、丁度その時に、緊急出動のアナウンスが流れた。
王都で何か事件でもあったらしい。

「じゃあ、また」
「お気をつけて」

すぐに切り替えてグラント副隊長は出掛けて行った。

グラント副隊長は犯罪検挙率も人命救助もNo. 1なんだという。
若くして副隊長になったのは、父親が隊長だからでは無く、純粋に実力によるものなのだろう。
コネで上がれるほど生易しい世界ではないし、そんな奴に騎士はついていかない。

そんな人に姑息な真似をしてくる輩に本当に腹が立った。
むしろ、一騎士だった頃はどうやって身を守っていたのか。
彼のことだ、華麗にスルーか、周りが協力して守ってくれたのだろう、きっと。

カッコイイ、お近づきになりたいだけで、仕事の邪魔すんな!と思う。

我々の仕事の賃金は税関だぞ!国民の血税でこんな仕分をさせんな!

本来の仕事をさせて欲しい。
私は心の中にイライラが募っていった。

よし、グラント副隊長の信頼に応えるため、今後、一才余計な物を副隊長に近づけん!!




















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